三ヵ月の空白
■ 菅直人の退陣表明の後、次の民主党代表が決まったら、何かを書こうと思っていたら、三カ月も経っていた。
「論じ甲斐のないものを論じても仕方がない」。そう思い続けた三か月である。
実質上、此度の民主党代表選挙は、前原誠司か海江田万里かである。
■ 菅直人の退陣表明の後、次の民主党代表が決まったら、何かを書こうと思っていたら、三カ月も経っていた。
「論じ甲斐のないものを論じても仕方がない」。そう思い続けた三か月である。
実質上、此度の民主党代表選挙は、前原誠司か海江田万里かである。
■ 本日14日、菅直人は、内閣改造に踏み切るそうである。
「わざわざ、仏滅の日を選んで、やる必要もあるまい…」と思うのだが、民主党内閣は、そういう「縁起かつぎ」には関心がない性質なのか。自民党内閣時代は、冗談でも、内閣の前途洋々たることを祈って、、改造内閣発足は、大安吉日の日に行っていたはずである。
■ 民主党が「直近の民意」に揺さぶられるとは…。「4の字固め」をかけたつもりが、逆にひっくり返されて悶絶の表情を浮かべるレスラーのようなものである。
□ 補選敗北、首相の求心力低下は否定できず
今回の衆院選北海道5区補選は、民主党にとって小沢氏が選挙戦に関与せずに臨んだ国政選挙という意味合いもあった。
党内には「候補者の知名度不足は決定的で、敗北は織り込み済みだ」と菅首相を擁護する声もある。岡田幹事長は24日午前、徳島県小松島市で記者団に「補選で一喜一憂することはない」と強調した。
中略。
首相の求心力低下は否めず、首相に近い議員からも「菅首相のもとで早期に衆院を解散しようという意見は完全に消えた」との声が上がっている。(2010年10月25日01時08分 読売新聞)
■ 奇々怪々とは、このことか。
□ Chinese Protest Against Japan .WSJ ASIA NEWS OCTOBER 16, 2010. 「ウォール・ストリート・ジャーナル」が配信した記事である。
記事中に添えられた二つのロイター通信提供の動画の内、上のものには、興味深い光景が映ってある。
その動画は、先週末、東京都下で行われた「反中デモ」で、いきなり中国人と思しき若い男が二人ばかり、引きずり出される光景から始まっている。そして、シュプレヒコールを挙げる日本人参加者が映っている。
その後に、西村真悟氏や日本人女性がインタビューに応じている。
最後には、成都での反日デモが映っている。ランニング・シャツ姿の若い男は、日本のテレビ局の映像にも頻繁に映っていた。
■ お決まりのパターンであろうか。
□ 中国各地で大規模反日デモ=成都の日系スーパーでガラス破損-東京集会に反発
【北京時事】尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐり、中国四川省成都市、陝西省西安市、河南省鄭州市で16日、数千人規模の大規模な反日デモが起き、成都市では日系スーパーのガラスが割られる被害が出た。東京で同日行われた中国大使館への抗議活動と集会に反発し、中国国内でデモの呼び掛けが行われていた。
中国外務省は、同大使館に対する抗議活動について日本側に重大な関心を伝え、大使館員と施設の安全確保に有効な措置を取るよう要求した。
9月7日に尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突する事件が起きた後、中国で反日デモが確認されたのは満州事変の発端となった柳条湖事件から79年となった同月18日以来。今回はそのときを上回る規模で、修復に向かっていた日中関係に影響が出る恐れもある。後略。(2010/10/16-22:32)
■ 菅改造内閣発足である。
北澤・防衛、前原・外務という布陣には、率直に安堵した。
nhkニュースで、尖閣諸島絡みで波風が立った日中関係の鎮静化が、新内閣の最初の課題だと報じていたけれども、それは、おそらくは誤りであろう。新内閣が取り組むべき最初の対外政策課題は、「対米関係jの修復」である。下手に中国に甘い顔を見せれば、フィリピン、ヴェトナムといった南シナ海沿海諸国が不安になる。既に、政策のトレンドは転換している。
北澤・前原の「安保ライン」に一任する形で、外野が彼らの足を引っ張るということをしなければ、かなり安心できる。
大体、鳩山以来、「米国に距離を置き、中国に接近する」という方向を打ち出してきたのだが、中国は、尖閣でそれを裏切ったわけである。ならば、対外政策路線でも、「逆流」が始まる。雪斎は、幾度でも書く通り、集団的自衛権の政府解釈を見直すという決断を菅内閣で下せれば、それは、「普天間の失点」を大部分を取り返すものになるであろうと見ている。
■ 終わってみれば、何ということもない結果である。
菅直人内閣が今後も継続するためには、二つの条件が要る。
① 民主党における「非小沢化」の徹底
② 特に自民党が受け容れられるレベルまでの政策路線の転換
①は、直近の内閣支持率反転上昇の意味を考えれば、当然のことである。今後、奇妙な党内妥協の産物として、小沢一郎の影響力を残すようJなことになれば、一気に人心は離反する。
②は、「ねじれ国会」状況の打開のためには、大事なことである。今のままならば、執政のよりどころである法案が通らない。
この二つの条件を満たさない限り、菅の執政は、「剣が峰」である。
来年の三月には、予算案が通っても、関連法案が通らない。
そこで、菅の政権運営は暗礁に乗り上げる。
■ 尖閣諸島での衝突に絡んで、中国がエキサイトしている。
丹羽駐中大使を深夜に呼びつけるとは、尋常ではあるまい。
方や、米国では、キリスト教原理主義者がコーランを焼くという暴挙に走ったようである。
「身の毛がよだつ」光景である。
こういう狂信者が米国の保守主義の一翼を担っている。
オバマがカイロで行った「イスラムとの和解」演説の効果も、著しくそがれるであろう。
これだけ、国際情勢がおかしくなりつつあるときに、日本の「統治能力」が底を這っている。
資源もろくに持たない国が生き延びるための前提は、まともな「統治能力」なのだが、どうしたものか。
■ 北海道は、九月に入れば一気に涼しくなる。
東京で十一月過ぎに着るツィードのジャケットを札幌では九月過ぎに着ていた。
スズキ・ムネオ議員が有罪確定、近日収監と相成った。
雪斎が札幌にいた時も、「永田町」にいた時も、この政治家に対する「よき評判」を聞いたことがない。
ムネオ氏は、今では、「権力の横暴」の被害者のように語っているけれども、往時は、その「権力」をかさにきて強引なことをやっていたはずである。彼に関する「評判の悪さ」というのは、その「強引さ」が絶えず「下品」の趣を漂わせていたということにある。彼は、特に橋本、小渕両内閣期に何をやっていたか、それが外からどのように見られていたかを自省したほうがいいかもしれない。「因果は巡る」ということであろう。故に、雪斎は、彼の境涯には全く同情しない。
ムネオ氏の政治家としてのタイプは、多分に、世良修蔵に近いところがある。奥州人に蛇蝎のごとく嫌われる名前である。幕末、官軍の威光をかさに着て奥州諸藩に高圧的に振る舞い、奥州人の恨みをかった挙句、斬首された長州人のことである。斬首される前の命乞いは、まことに見苦しいものだったようである。ムネオ氏も、自分の保身のためなら、最高裁判決が出ても全く神妙にしないというというのは、政治家の姿勢として、見苦しいこと、この上ないと思うのだが…。
さらにいえば、こういう振る舞いは、「法の権威」に対する侮辱ではないのか。自ら「法」を立てる立場にある政治家が、「法」の権威を貶めるような振る舞いに及んでいいのか。
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