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May 25, 2009

鳩山・民主党のもう一つの「アキレス腱」

■ 前に、民主党の「軍師」の立場であれば、代表に現職知事・知事経験者を呼び寄せる策を考慮すると書いた。
 結局は、鳩山氏が代表復帰である。
 「オーナー」が「CEO」に戻っただけの人事である。
 さて、ここからは、自民党の「軍師」ならば、どうするかという視点で書いてみよう。

 次の総選挙の争点は、何か。
 それは、「小沢一郎の裏支配の政治」に終止符を打てるかどうかということである。
 過去二十年、日本の政治は、宰相の座に就いたわけでもなく、ただ一度だけ閣僚を務めただけの政治家の影響力に振り回されてきたのである。
 「裏支配の政治」とは、要するに、「権勢は振るうけれども、責任は取らない」というスタイルの政治である。細川内閣時代、「国民福祉税」構想というのが打ち上げられたけれども、それは、細川総理の意向というよりも、閣僚ですらなかった小沢氏の意向を反映させたものであったとされる。この構想は、唐突のものであったが故に、細川総理が批判の十字砲火を浴び、政権の失速につながった。そのとき、小沢氏の「「責任」は、問われたのであろうか。
 故に、もし、民主党政権ができても、それは、「裏支配」の構図を残した「前近代的な」代物になるであろう。
 こうしたことを自民党サイドが突っ込んできたら、民主党は、どうするのか。雪斎ならば、政策云々よりも、こうしたことを間違いなく突っ込むであろう。選挙が「戦争」であるならば、「最も触れてほしくない」ところを突っ込むのは、定石である。「今時、小沢の『裏支配』政権ですか。ホントに、これでいいんですかぁ」。こうした問いかけは、民主党政権への選択に二の足を踏ませる材料にはなるであろう。
 昔、「目白の闇将軍」、今、「水沢の闇将軍」か。小沢氏は、師・田中角栄の「真似する必要のない」ところを真似してはいないか。
 印象の悪さは、率直に否定できまい。民主党は、本来、こういうところから手を切って出発した政党であったはずである。
 早速、下の記事が配信されている。
 □ 鳩山民主、「開かれた党」に立ちはだかる黒い目隠し扉
                 5月24日13時1分配信 読売新聞
 民主党本部(東京・永田町)の役員室入り口のガラス扉に張られた目隠し用の「黒いフィルム」が、にわかに注目を集めている。
 鳩山代表が「開かれた党運営」の象徴としてはがすよう指示したが、保安上の理由などで実現していないからだ。
 役員室には鳩山氏のほか、小沢代表代行、菅代表代行、岡田幹事長らの個室があり、担当職員が常駐している。フィルムが扉の大半を覆うように張られたのは、小沢代表時代の2008年1月。前年秋に自民党との大連立騒動が持ち上がり、報道各社がガラス越しに役員室内を撮影したことなどが理由だった。その後、小沢氏の党運営が不透明だという批判が強まるにつれ、「黒フィルムは小沢体制の象徴だ」とやゆする声が出ていた。
 鳩山氏はこうした小沢氏の「負のイメージ」を払拭(ふっしょく)しようと、記者団のぶら下がり取材に毎日応じるなど、風通しの良さをアピールしている。フィルムも就任直後にはがすよう指示したが、「セキュリティーの問題がある」などと反対されている。党内では「小沢氏の影響力を排除できるかどうか、鳩山氏の指導力の試金石になるかもしれない」という見方も出始めている。 .

 鳩山氏が小沢氏を執行部に残した時点で代表交代の効果は、半減した。自民党には、攻撃のネタが残された。決着への「砂時計」の砂は確実に落ちている。

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Comments

全く同意です。
「フレッシュ民主党」「首相にふさわしい人は?アンケートで鳩山代表1位」などと喧伝されていますが、個人的には違和感が有ります。
ただ選挙を前にしていながら、自民党から戦いの気概を感じないのも確かですが。

Posted by: バッファロー66 | May 26, 2009 04:59 PM

櫻田氏は余程、政権交代に怯えているようである。世襲制限に内心不服なようである。
それは何故か?
それは氏の身の程知らずな貴族憧憬に端的に現れているだろう。
「東大法学部出身」?「牧野伸顕の曾孫」?「英国上流階級の感覚」?
それらを自明のことのように有難がる時代錯誤のお目出度さが櫻田氏を政権交代という、先進諸国には当たり前の変化を怖れさせてしまう。
それは英国の名門大学に学んだというだけで、占領下の敗戦国民に過ぎない白洲次郎が、明白な統治者である「GHQ将校連中」を「粗野な田舎者」と見做し得ていたという、まさに夜郎自大と言うしかないな推測を思わず吐露してしまうところにも表れているだろう。
そう、櫻田氏は現実が見えていない。保守と退嬰を取り違えている。「真正保守」とはまた別の夜郎自大な、あるいは事大主義的な保守である。
90年代以降の主に自民党政権下における度重なる経済失政による国家的損害は櫻田氏の視力では把握できないであろう。焦土のように可視的ではないから。90年代後半以降繰り返された補正予算が、現在では日本経済の潜在成長力を低めこそすれ、高めなかったのは事実である。麻生政権はまたも同じ愚を繰り返している。正確に堂々と間違えている。貴族的な麻生太郎も貴族的なキャリア官僚による官僚内閣制も、氏の貴族趣味から見れば憧憬あるいは保守の対象になる、変わってはならないのだ。
然して氏の見做す貴族的なる者等は間違え続け、国家は衰亡の速度を弥増す。

Posted by: 苔口誠也 | May 26, 2009 11:58 PM

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