自民党総裁選挙の見方
■ 自民党総裁選挙である。
報道によれば、谷垣禎一総裁の再選に「黄信号」だそうである。
だが、「谷垣総裁の何が問題なのか」という疑問は残る。政権喪失後の野党党首というそれ自体としては、「労多くして報われない」仕事を谷垣総裁が三年も務めたのは、ひとつの「義挙」である。「政権奪回」が近いからといって、首を挿げ替えるような印象を世に与えるのは、いいことではない。
雪斎は自民党員ではないので選挙に関われないけれども、筋としては「谷垣再選」支持である。
とはいえ、名前が出ている政治家に対する雪斎の評価は、以下の通りである。
町村信孝氏― 谷垣総裁の対抗馬という意味でならば、もっとも相応しい候補だと思う。国民的人気という点で厳しいという見方もあろうけれども、次の総裁に問われるのは、「政権奪回」後、すぐに官僚組織を動かす行政手腕である。
石破茂氏 ― 谷垣、町村両氏に並んで、「今、でるべき資格」のある政治家だとおもう。国民に対する「発信力」は随一である。
石原伸晃氏― 谷垣執行部の「番頭」が「惣領」を飛び越すというのは、どうもよくわからない。十年以内には、確実に「宰相」になっているはずだが、旗を上げるのは、今なのか。
安倍晋三氏 - 政権奪回の五年後に「再登板」してもらえばよろしい。今が「再登板」を図るタイミングだとは思われない。橋下徹大阪市長との提携というのも、「危うさ」が付きまとう。「どっしりとした感じ」が、彼には欲しい。外務か財務で実績を積んでもらいたいものである。
林芳正氏 - 大車輪の活躍をしてほしい政治家である。そのことに参議院という立場が相応しいのか。
ただし、雪斎の本音としては、「小泉純一郎総理」か「麻生太郎総理」を、もう一度、観てみたい気がする。そうなっときは、日本が愈々、追い込まれている局面であろう。
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Comments
選挙の顔として谷垣氏ではと言う打算と、解散総選挙に持ち込めなかったこと。この二点で黄信号になっているのでは無いでしょうか?
ただ、経験が必要とはいえど、外野から見れば自民党の総裁選は「老害」といえる長老達の影響が強い。まあ、谷垣氏はお公家さん的な印象が強いってのもマイナスなのでは無いかと思います。超労連が一切手を出さないと宣言し、その通りにでもしないと、誰が選ばれようとも「老害」を取り除けない自民党にもう一度政権をと思えないでしょうね。
Posted by: almanos | September 05, 2012 07:22 PM
谷垣氏が、急にこのところ総裁戦においてあぶなくなってきたのは、以下の理由から、わかるような気がする。1.政治的戦略眼に欠け、いざという時に馬力が出ない。この点、先日小泉青年局長が噛みついたように、他の野党が出した不信任案への賛否を取引条件にして野田氏からの解散の言質を引き出すことが出来たはずだ。野田氏はこの局面では、震えがとまらなかったのだからかなりの条件をのんだ筈だ。しかしこの絶好な機会に、財務省、財界、アメリカやIMFなど資金支援国、国際機関などの強力な消費増税の援護射撃に負けてしまい中途半端な野田氏の”そのうちに”発言に騙されてしまった戦略眼のない愚かな男ということになる。2.あまりにも財務省に依存し過ぎており全体的バランスを欠く。3.政策立案能力にみるべきパワーがない。4.いわゆる人柄はいいといわれるが、それだけで足を使っての気配りの人間関係調整能力が低い。だから、森氏や古賀氏など長老格の重要人物に愛されないのだ。以上酷すぎる評価をしてしまったが、財務省に遠慮し過ぎて宰相になれるチャンスを逸しそうな同情すべき政治家なのだ。
Posted by: 原優治 | September 05, 2012 11:09 PM
石原氏と安倍氏については私も今回は動くべきでは無いと思います。と言うよりは動いてはいけないと思います。まわりの人が「お待ちください」とは言わなかったのでしょうか?今、石原氏と安倍氏が総裁選に出ると言ったとしたら、お諌めして二人の名声に傷がつかないようにお守りするのがスタッフの役割なのではないでしょうか?
私は、今回は立候補されないようですが、小池百合子氏に期待しています。政権奪回後は外交、安全保障の立て直しが必要だと思います。また慰安婦問題で韓国はかなり動くと思います。女性の権利保護と人権の二つと絡めて国際問題化していこうとするはずです。小池氏には(河野談話の見直しはすこしの間棚上げにしていただいて、)こちらの分野で暫く頑張っていただきたいと思います。
Posted by: KAMURO | September 05, 2012 11:39 PM
谷垣氏の再選がにわかに厳しくなったとの報道が活発だが、私は次の理由からわかるような気がする。
1.政治家的戦略眼がないように思われる。というのは、先日野党の提出した内閣不信任案の賛否を
取引材料にして、野田氏から有利で具体的な解散の日取りを確約させることができたのに、野田氏の「近いうちに」という言葉に簡単に騙されてしまった。小泉青年局長の方が戦略眼あるといえる。この
局面では野田氏は恐怖におそれおののいていたはずだからかなりの条件を引き出せたはずだ。2.出身母体の財務省に依存し過ぎている。1.で述べた大事な局面で中途半端な和解のお膳立てをされたのもこのせいだ。3.いわゆる好感度は抜群だが、こまめに歩き回っての人間関係調整力が弱い。だから肝心なところで森氏や古賀氏の支持を取りつけられないのだ。4.政策立案能力にみるべきパワーが少ない印象をうける。まとめて言えば、さして失点のない谷垣氏なのが、財務省に遠慮し過ぎて会期中の解散を逸してしまい、総裁選の勝ち星をはずしそうな
同情すべき政治家に見える。
Posted by: 原優治 | September 05, 2012 11:48 PM