TMAXデベロッパーに初挑戦
プレスト400亡き後、代替品となるISO400フィルムを見つけるのは困難だった。スナップならフォマパン400でもケントメ400でも構わなかったのだが、粒状性や諧調表現が女性モデルポートレイト写真となると満足でなかったのだ。ISO100フィルムなら迷わずアクロスが使える。しかし、条件が必ずしもアクロスに適するとは限らない。そんな時にはISO400フィルムが必要なのだ。無論、TMAX400やイルフォードなら満足な結果を得られるのは承知していたが、いかんせん高い。TMAX400がプロパー価格で1本1000円程度。これは、かなり躊躇する価格帯だ。
だが、結局、TMAX400しか選択肢は無いと結論付けた。イルフォードは全く手が出ないし、TMAX400ならキタムラネット会員で僅かながら安く買えるからだ。ところが、いつの間にか「かわうそ商店」さんがTMAX400を3本で2520円で売っているのを発見した。これなら1本850円くらい。オリエンタル400と同じくらいの価格帯だ。勿論、気さくに使える程に安いわけではないが、購入や使用のハードルはかなり下がった。
しかし、現像はD-76で行っていた。場合によってはSPDによる現像も躊躇しなかった。理由は拙僧がケチでやっつけ仕事だからである。TMAXはTMAXデベロッパーを使わないと意味がないと言われていたが、拙僧には高額で扱いづらい現像液という印象があったのだ。しかし、TMAX400が3本で2520円なら主力をTMAX400にして、店頭購入が楽で荒っぽい現像に耐えてほしい時にはオリエンタル400を使い分ける運用が現実化した。そうなると、折角だからTMAXデベロッパーを使ってみようかと思ったのだ。そして、ビック.comの注文・入金から数日も経たずにTMAXデベロッパーは届いた。
まず、原液を溶き始めてから出来上がりが3.8Lなのに気づいた。最初によく箱を読めって話だよな。慌ててボトルを追加したのだが、結局、原液は3.2Lくらいになってしまった。しかし、原液を希釈して使うと聞いていたので、希釈の段階で調整すればよいと気さくに考えていた。そう、拙僧はTMAXデベロッパーは原液を4倍に希釈して使うと認識していたのだ。なので、その時は「なんてリーズナブルな現像液なんだろう」と思ったのだ。
しかし、実際に4倍に希釈した現像液でペトリ7で撮影した楽凱ラッキーパンSHD100を処理すると、かなりアンダーだった。まるで適切な現像液を4倍に薄めたかのようだった。いや、それはイイ加減なラッキーパンSHD100だからかもしれない。実際のTMAX400なら結果は違うのではないかと思ったのだ。
手元にあったTMAX400のネガは3本。同じ日に同じMDロッコール50mmF1.7で撮影したものだ。絶対に失敗したくないネガは、例の拳銃女子のガンガールズのネガだ。しかし、パトローネにはレンズ名しか書いていない。失敗の可能性は高い。そして、絶対失敗したくないネガを選んでしまうのは1/3の確立だ。ちょっとした、ロシアンルーレットである。
それで、ちゃんとロシアンルーレットに負けましたよ。泣きたいよ本当に。
ネガは、完全に「適正な現像液を4倍にしたくらいの薄さ」だったのだ。なんなんだよ。拙僧ってバカ?いや、そんなことは分かっているんだけど、どのコンテンツのデータを読んでも4倍に希釈って書いてあるはじゃない。いや、拙僧が何かしらの勘違いをしたのが悪い。それは分かるんだけど、よりによってガンガールズのネガをダメにしてしまうとはねえ。トホホ。 それで、希釈をやめて原液(なの?)でアクロスをテスト現像したら満更でも無かったので、それ以降の現像を続けた。無論、拙僧はケチだから同じ現像液で8本のネガを現像したが、それなりに絵は出てきた。何となくスッキリしない感じはあるのだが、TMAX400をTMAXデベロッパーで現像すると定着後の水洗が難しらしい。それなりに長い時間をかけて水洗したのだが、仕方ないな。
それでも、パソコンというのはありがたいモノで、スキャナーでPCに読み込むとそれなりに鑑賞できる画像になったのは幸いだ。満足とは言わないが、完全にパーになるよりはましだ。それにしても気になるのが、ゴミの付着とネガのダメージ、それに虹色の楕円だ。ゴミの付着に無頓着な拙僧からしても、なんだかゴミの付着が多い気がする。また、ネガのダメージや虹色の楕円が写りこむのが気になる。ネガ自体を確認するとダメージは無いのだ。この「虹色の楕円」の正確な名前は忘れたが、この現象を抑えるためにフラットヘッドスキャナーのネガキャリアは存在し、場合によってはガラスの板でネガを挟むのだ。要するに、ネガのカーリングが酷くて、何かしらの悪影響をスキャニングに及ぼしているのだろう。ネガが印画に耐えられないのは確実なので、これで満足するしかないな。
感材の高額化や選択肢の縮小も確かに困る。実際にはモノクロネガフィルムは思ったほど選択肢は少なくないのだが、キタムラで買いたいとか価格とパフォーマンスのバランスからして、個人的な選択肢が少なくなっているのだけど。
そういうのは、致命的なモチベーションへの打撃にはならないのだが、撮影時に現れないカメラの故障と、フィルム現像時の失敗は本当に凹むなあ。
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コメント
あ、こちらのほうにいらっしゃいましたか。
私はイルフォードXP2専科でしたが、高騰とRikieさんの影響でアクロスに移籍して、フラッシュなんかを買い込んだりしたのですが。
実をいうと今のデジカメGH1がガキが生まれたときのものは壊れ、昨年中古で買ったのも怪しく、粒子など800が限度なんですが、今のμ3/4は本当に良くなったんです。G8がほしいです。G8.でもへそくりで中古の楊琴に手を付けちゃった。奥様の出張伴奏いたしまっせ。
投稿: 横須賀与太郎 | 2017年2月16日 (木) 21時29分
う~ん、現像の失敗は本当に凹みますよね。これまでの苦労が……と。
T-MAXデベロッパーのRSは使ったことがないのでちょっとわからないのですが、説明書もわかりにくいですね。溶解して1ガロン・3.8Lになったのをそのまま薄めずに使うんでしょうか。
あとT-MAXはハレーション防止層があるので、現像前の前浴をだいたい20℃くらいで2,3分行っています。
排水すると、紫色の液体が出てきてギョッとします。これをやっておくと、定着後の水洗時間も、予備水洗30秒、フジQW1分、水洗5分、くらいです。
前浴には精製水を使う方がいいらしいですが、普通に水道水でやっています。
前浴を行うと、現像中も温度が安定する気がするので、他のフィルムでもおまじないを兼ねて行うことが多いです。
Tri-Xのときはゴミをつきやすくて困っていたのですが、T-MAX変更+きれいなスポンジで水滴をとるようにしてからは、ゴミはあまりつかなくなりました。けど、なにが原因かは確定はできないですが。
とりとめがないコメントですいません。
投稿: だいきちボンバー | 2017年2月17日 (金) 01時39分
どもども、横須賀与太郎殿。
イルフォードXP2は高くなりマシよねえ。
拙僧はどっちかと言うとBW400CNというか、T400CN時代ですが、あの頃は自分で現像していなかったので、よく使ったんですよね。独特の精密感が女性の肌をむっちり表現して、拙僧が20代の頃に撮ったT400CNのネガは少なくないです。BW400CNも一度期限切迫で安売りしていた時に買いましたが、ちょっと手の出る価格ではないですね。
拙僧の影響なんておこがましいですよ。実際、アクロスが一番リーズナブルなモノクロフィルなのですが、これが1本800円を超えたら、拙僧のフィルム趣味も考えどころですね。そういう意味でもTMAX400が850円くらいで買えるようになったのは、本当に朗報です。
マイクロフォーサーズはGF5の稼働率が結構多いんですよね。EVFの無いカメラなんて、特にリズム感を大切にしたポートレイト撮影には使いモノにならないと思っていたんですが、案外、ザックリとした撮影を組み合わせるのも良い効果を生むこともあります。
お陰でEOS-MやNEX5など、EVFの無いミラーレス一眼に対応できるようになりました。
しかし、EOS-Mの反応の遅さはポートレイト撮影にはなんとか対応できるのですが、スナップ撮影だと3秒間の停止を余儀なくされるので、狙撃兵んに撃たれますね。
既に我が師団の装備は旧式ばかりとは言え飽和状態なので、新しいカメラを買うことはできません。ルミックスDMC-GシリーズはG3を持っています。この辺りが拙僧には相応で、使いモノになります。
投稿: Rikkie | 2017年2月17日 (金) 05時37分
どもども、だいきちボンバー殿。
現像の失敗は本当に泣きたくなります。折角のネガがパーですからね。それでも、PCに読み込むとソフトウェアのパワーで鑑賞できる画像になるのですが、やっぱり印画紙に焼きたいですから痛いですね。
コダックの薬剤は英語表記のモノに和訳したシールがべたっと張り付いているだけで、ちょっと分かりづらいところがあります。それでも、今回はちゃんと読まなかった拙僧が悪いですね。
3.8Lに溶いた原液を4倍に希釈して使うと、色々なコンテンツに書いてあるし、実際にパワーポイントで開くコダックの公式の取扱説明書からも、そう読み取れるのですが、どうも何か拙僧が勘違いしているんでしょうね。拙僧の使い方は決して適切ではないです。
不思議なことにTMAX400の現像結果はイマイチなんですが、アクロスとかオリエンタル400とかは満足なんですよね、楽凱ラッキーパンSHD100なんてSPDやD-76で現像したよりもイイ感じで、残ったTMAXデベロッパーの原液(と言っていいのかなあ)は密封状態なら半年は持つそうなので、楽凱を使った時に積極的に使う現像液としてとって置くのも、案外実用的かもしれません。
フジフィルムのQWってフィルムの水洗時にも有効なんですか。実はたくさん持っているのですが、バライタ紙を水洗する時にしか使わないと思っていました。今はバライタ紙は時間的な制約も価格の高騰もあて使っていないのですが、今後はフィルムの水洗にも使ってみます。
拙僧は水洗って次のフィルムの処理まで続けますから15~20分くらい行っています。水の無駄遣いですね。もっとも水洗促進剤を使っていませんから、その位は必要かもしれません。
前浴は拙僧も行っています。勿論、水道水です。あの廃棄する紫色の水の色味がフィルムによって違うのは、ちょっと面白いですね。120判フィルムだと、ぎょっとします。その後の現像に影響があるとは思えないのですが、120判フィルムの現像は後回しにしますね。しかし、1分くらいを目処にします。前浴は丁寧に行っておらず、今の時期でも水温管理はせずに冷たい水道水です。TMAX400の前浴が20度の水道水で2~3分となると、随分乱暴だったと言うことになりますね。
TMAX400のネガの出来は決して満足ではないので、やはりTMAXデベロッパーの扱いは丁寧に行うべきなんでしょうね。拙僧には向かないかなあ。
確かにTMAX400はゴミがつきやすい気がします。あるいはゴミの影響が大きいですね。スポンジで水滴をとるのはガサツな拙僧がやるとネガを傷めるような気がするし、かえってゴミがつくような気がして躊躇するのですが、これもスポンジのコンディションに気を使って丁寧に行うべきなのでしょうね。
改めて思うのは、やっぱりアクロス+SPDの組み合わせはタフですね。
投稿: Rikkie | 2017年2月17日 (金) 06時03分
こんにちは。
冒頭の画像を拝見すると、現像に用いたのは T-MAX RS Developer ですね。
小生が使うのは、T-MAX Developer です。微妙に違うのですね。
http://www.yodobashi.com/%E3%82%B3%E3%83%80%E3%83%83%E3%82%AF-Kodak-T-MAX-%E3%83%87%E3%83%99%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E3%83%BC-5L/pd/100000001001869449/
投稿: WeekendOutdoors | 2017年2月21日 (火) 23時28分
どもども、WeekendOutdoors殿。
げげ!違うんですね。
全く知りませんでした。
ネットで検索したのですが、「TMAXデベロッパー」のコンテンツは数多くありますが、「TMAX RSデベロッパー」を取り上げたコンテンツはとても少ないですね。
英語のコンテンツは多いですが。
数少ない日本語コンテンツと拙僧の拙い英語能力で読む限りはTMAX400以外のフィルムも現像するならRSの方が都合がいいけど、希釈はしないんですね。
無知は罪ですねえ。
ありがとうございました。
投稿: Rikkie | 2017年2月22日 (水) 04時40分