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 経営の危機に陥った下町の洋食店が新たなシェフを迎えたことで巻き起こる騒動。
 そこへチェーン店が近隣へ進出してきていよいよ存亡の危機に。
 内輪でごたごたしている場合でもないと、一致団結してこの危機に立ち向かっていく……という物語?


 主人公兼ヒロインのあきらは派遣社員で働いていたところ契約終了となって無職状態。
 セレクトショップ?のような店を持ちたいという夢を持ってはいるものの、その夢に対して実際的ななにかを動き出しているわけでもなし。
 こういう主人公像はワナビにも通じて苦々しい親しさ(笑)を覚えるのですけれど、しかし彼女は父から受け継いだ料理の才能があってそれをもとに洋食店を盛り上げていくことになるのですよね、結局は。

 なんちうか、人生は秘められた才能を誰かに認められて開花させる場所をもらわなければどうにもならないのですか?……というような寂寥感が。
 努力とかそういうものは全く役に立たないわけではないだろうけれど、それでも才能の前には無力に近いものでしかないのだなぁ……と。


 チェーン店の攻勢に対しても従業員みんなで一致団結して戦ったから勝てたというものでもないですしー。
 相手の内情を探って問題点を暴いたから自滅した……というだけのような。

 作品のタイトルからはペスカトーレのレシピをめぐって試行錯誤するような印象を持ったのですけれど、そのレシピも結局は天から降ってきたようなもので主人公たちはそれを手にするまでになにかを引き替えにしていないわけで。
 それではレシピに到達したとしても感慨はないわー。


 描き方として洋食店サイドの視点だけでなく、もうひとつ、チェーン店にも関わる謎?の部分からの視点もたびたび挟まれてくるのですが、これがまた物語を分断している印象を。
 ふたつの物語?が最後にひとつへ集約されるというような効果を狙ってのことかと思うのですが、物語の裏設定というか展開に対する理由付け以上の意味はなかったように思えたりして。
 「ペスカトーレ」が「逆転」するための言い訳、ちうか……。



 つまるところ、物語のガジェットとして以上の料理への愛を感じない……ということかもしれません。
 もちろんガジェットに対して物語を生み出す以上の愛を注ぐ必要も「常に」は無いことだとは思いますけれど、ね。


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