成功の望みが薄い手術を受けるオンナノコを励ますために、幼なじみだとウソをついて久しぶりに会うフリをする。
この出会いはウソなのだから、本気になってはいけない。
彼女を励ますために近親者が仕組んだ「仕事」に乗っただけ。
だから、どれだけ親しくなってもいいけれど、本気になったら、そのときは自分が辛い思いをする――。
えー、あー、うー……。
見える、見えるよ、オチがーっ!!!
ウソをついているなら、そのウソがバレるのが物語!!!
ぎゃーっ!(><)
ウソをついて病身の真純に会いに来た輝幸ですけれどー。
分別付いた人間のようでいて、しかし大人になりきれていない子どもでもありましたなぁ。
「仕事」だなんて言い続けて自分を納得させるつもりでも、だけれど自分の直感――ひと目ぼれを信じて動き出してしまうというあたり。
本気になってはダメだと忠告されていたのに、その忠告を無視しても自分はだいじょうぶだと思い込んでしまう理由の無い自信とか。
もしくは、どんなことになろうとも、自分と、そして真純とは、その障害を乗り越えられると無邪気に信じているのかも。
ああ、もちろん、世界はそんなふたりにけっして優しくはなくて(T△T)。
わかってた。
わかっていたともさ、あのオチは!
でもなぁ……やぱし納得いかないよ、できないよ。
そのとき、その瞬間を描いたりせず、少し時間を進めてみんなが落ち着いて「結果」を見られるようになったところか始まるエピローグ。
この手法で描かれたからこそ最後まで世界の選択肢はふたつ残されていて、そして終わってしまえば世界はひとつに収束されているのですよね。
箱の中の猫のように。
最後の最後まで読み手の意識を引き留めるこのやりかた、ヤラレター。
ちーぃきしょぉ~(TДT)。
主人公が食事中の皿に唾を吐き捨てるヒロインってすごいなぁ……と思っていたのですけれど、そんなの些細なことでしたー。
いや、ほんとに。
ラストシーン。
慟哭する輝幸を他の誰にも触れさせないように、守るように囲んでくれていた深田と島の立ち振る舞いが素敵すぎ。
誰にも慰めることができない傷があることをふたりは知っていて、それは自分たちにも癒すことはできないからアンタッチャブルでいるけれど、それでも自分たちはそばを離れないという意志を示している姿が、が、がっ!
悲しみを他の人間とわけあうことのできた幸福な子供時代は、彼らにもすでに、遠い昔のことだった。
改めて気付かされる幼年期の終わり。
切なさと痛みをともなう通過儀礼。
だけれど、それは、ひとつの愛の物語でした。