ビクトリアっぽい英国風なお国(英国なの?)を舞台とした貴種流離譚。
もちろん物語類型が正義漢をたどるものだからというだけでなく、ビーンズ文庫の少女向け作品の主人公のオンナノコの熱いハートは相当なものだと思うー(笑)。
今作のアネットも、育ちで苦労していたからといって卑屈にならず、正しいことと間違ったことを区別できて、そして他人の倖せを願うことができる性根の持ち主なんですよねー。
ちと熱くなりすぎるきらいがあるのは、主人公としての愛嬌ってなもんです。
突然にお嬢様になれと言われて戸惑うアネットも大変かと思いますけれど、そんな彼女に振り回される執事のリチャードと弁護士のユージンのふたりも大変ですよねぇ(^_^;)。
ポジションとしてはリチャードとは愛情で、ユージンとは友情で結ばれているのかな?
互いの領域を侵さない立ち位置が物語に安定感を与えているなーと思ったりして。
いたずらに展開の枠を広げるための駒を配しているという雰囲気ではなくて。
ユージンとはその態度に腹を立ててけんか腰で付き合ったりしてますけれど、なかなかどうして相性の良いふたりだと思うのですよー。
そもそも気があったりしなければ喧嘩なんてできやしませんし。
物語……ちうか、事件解決においては仲間はずれにされてしまったユージンですけれども、日常的には彼のほうがアネットと距離が近いのではないかなー。
精神的な距離感とでもいいましょうか(笑)。
下町で育ったアネットが、リチャードとユージンに囲まれてどのようなお嬢様へと変貌していくのか楽しみです。
もちろん、アネットがどんな破天荒なことをしでかして社交界に騒動を巻き起こすのかも、です(笑)。