その手段はともかくとして、暴力を真っ向否定する姿勢は素晴らしいなぁ。
……と、違うか。
姿勢が素晴らしいなんて言うと非暴力主義を礼賛しているみたいに聞こえますけれど、賞賛したいのはそこではなく。
そういう尖った思想を真面目に受け止めて描写していることに拍手を送りたいのですよ。
言い訳も誤魔化しもなく、ただ本当に心から否定していることを。
暴力の存在に屈して、その価値を認めるくらいなら、そんな世界にもそんな自分にも意味は無いと言い切ってしまうところを。
作中では勇者として人々の賞賛を集めている人たちが登場していますが。
そんな勇者たちが理不尽な試練に対して「自分にはほかにやるべきことがある」とかなんとか理由をつけて試練を降りていく様は非常に滑稽。
勇者だなんだと持てはやされていても、所詮、人は人。
そういう自己欺瞞で取り繕うような弱さと醜さを持っていて当然なのに、さも自分こそは重要人物であるがゆえに小事にこだわることはできないのだと言い訳している様がとても下らないなーと。
そんな人たちが人格者として崇められるくらいなら、突き抜けたバカのほうがよっっぽど貴い存在であるなぁ……と思えるのですよ。
まぁ、でも、それを表現して貫き通す手段がゼンラーマンってのは、ちょっとなぁ……と首をかしげてしまったりして(^_^;)。
わたしの中の理屈では、それで道が開けるとは思えないので。
んでも、このあたりの世界法則は人それぞれですし、そして林センセのこういった世界の見方は好きなので、結局は大枠で受け入れられるんですよねぇ。
でもジェスの言動は勇者とかそういうところとは別に器の小ささを感じてしまったりして。
帝国領内で己が成したことがあまりにも大それたことで誰にも信用されるはず無いと思ったからこそ言葉にするのを封じていたのに、マヒロが発したあまりにも大それた言葉の中身をさして吟味もせずにあっさりと拒否したってのは、どうにも言動不一致な気がするのですよー。
どれだけ信じられないことであっても、人が言葉を紡ぐときにはそこに真実が紛れているということを身をもって知っているハズなのに、しかしジェスは他人の言葉を信じようとはしないんですよね。
ここがなぁ……。
まぁ、べつに彼に対して絶対な正しさを求めるところでは無いと思いますし、そういう矛盾点をはらんでいる存在だとしてもキャラクターとしてはむしろ人間性が富んでくるのかなぁ、と。
それにしても長谷部キタッ!(≧▽≦)というカンジです。
沙耶香のいじられやすさは翔香さんより翔希の血筋な気がするー(笑)。
『おりがみ』と『マスラヲ』の関係よりは薄いつながりですけれど、同じ世界の中での物語ということで、このあとも共有される設定が登場してくると嬉しいなっと。
次巻は帝国第一皇女ですか?
白薔薇姫も楽しみですけれど、三番姫の再登場もお願いします(^_^;)。