世界恐慌まっただ中のアメリカ史もついでに学べてしまう(そーかぁ?)「グレイス&フェイヴァー」シリーズ第4弾。
邸宅を下宿にするだけではなかなか収益があがらないのは毎度のことで、いよいろリリーもロバートも手に職を……ということで、ふたりが選んだ職というのが小学校の先生だったというお話。
こういう題材としての職業選びにもセンセのセンスが感じられて好きなんですよねー。
突飛すぎず、日常的すぎず……という塩梅が。
謎解きに関しては終盤にたたみかけるように開陳されていくというペース配分も相変わらず。
それでも今回は用意されたトリックに対して、そこへ至るよう推理するための情報の出し方がいつになく丁寧だった印象が。
質というより、それを印象付けるための説明回数……かなぁ。
なんども言及されていれば、さすがにお馬鹿なわたしでもわかりますぅ、と(^_^;)。
加えて言うなら、今回用いられたような「同じことを指しているのに、見る人、受け取る人によって違う事柄のように思い込んでしまう」勘違いや誤解を題材にしたトリックは好きなタイプだったりして。
仕掛けられた誤解(というか作為?)に気付いたときの爽快感ったら!(笑)
さらに今回は警察署長のウォーカー氏が目立ってました~。
事件聴取の都合上、リリーともずいぶんと接近してましたし、もしかしてもしかしますか?
ジェーンのシリーズでもお相手は刑事ですし、そういう組み合わせが好みだったりして。
でもウォーカー氏はもっと年齢が上の人かと思っていたので、今回の接近はちょっと意外だったっちうか。
そもそも彼をリリーの相手として考えていなかったのですよね。
ああ、でも、あちらの物語ですと20歳差くらい平気で飛び越えてカップル成立したりしますし、彼の年齢は関係ないのかもですねぇ。
そんな次第でリリーとウォーカー氏の関係も楽しみになりましたし、グレイス&フェイヴァーへの住人も巻を追うごとに増えてきていますし、ますます物語が賑やかになっていく予感を。
プリニー夫人と新しく住人となったターキントン夫人って、『赤毛のアン』のマリラとリンド夫人みたいだなー……とか思ったりして(^-^)。
取り巻く世界は不穏な空気に包まれていく時代ですけれど、そんな時代にあってこそ残されている楽しい日常を描いたコージー・ミステリーであってほしいです。