少年と少女の終わらない旅。
どにたどり着くのかという結果ではなく、どうして一緒にいるのかその気持ちを探るあたりに力点があるので、一見したところにあるロードムービー的な解釈では間違いなのかなーとか。
旅をして得られる「何か」に希望を見いださせるのではなくて、広い世界のなかですぐそばにいる大切な人の気持ちに気づけるのかどうかを問うっちうか。
答えが明らかにされない分カタルシスには欠けるのかもしれないけれど、ふたりの気持ちがゆっくりと醸成されていっている様が感じられて好感。
人が存在自体を徐々に失っていく「喪失症」に冒された世界。
名前も過去も、およそ物語にあって当然のもろもろの記号が無いということもあって、自然、物語の流れは感情の部分に依っていく次第。
派手で複雑な設定を披露していくことで物語ることの少なくないラノベの昨今、この割り切り方は好きー。
主人公の過去が生い立ちがどうあれ、いまここにいることに対しての物語を見せてくれているわけで。
まぁ、目立った記号が無いことで電撃大賞という「商品を選び出すコンテスト」のなかでは、抜きん出る決め手に欠けていたのだろうなぁ……ということも想像に難くないのですけれども。
イラストを用いたビジュアル展開も必須となるライトノベル業界において、さしてイラストの必要性を感じさせないのもアタマ痛いところかもー。
そういう点では、ライトノベルより一般文芸な雰囲気を持っているのかもですが。
……主人公の決意だけを残して、旅という行為には終わりを見せないあたりも一般文芸寄りかな(わたし基準)。
んでも、嫌いじゃない。
むしろ好き。
普段ならそういう投げっぱなしな結び方に眉をひそめるわたくしですけれども。
ふたりが導き出した決意が「一緒にいたい」というものであるならば、それはもう応援するしかないでしょう!みたいな!(≧▽≦)
少年が少女のために全てを賭けるのは当たり前ですし、少女が少年を自分のそばに誘うのも当たり前です。
そういう当たり前のことを、ほかのゴテゴテとした修飾的設定で隠さずに、まっすぐ描いてくれたことをわたしは嬉しく思うのです。
VIVA!(≧▽≦)