うひゃー。
やってくれるわ、藤森くんってば。
実際、もうこの巻では藤森くんの気持ちはがっちり固まっていたワケで、あとはそれを皆に告知するだけであったけれども。
だもので物語としてはどうにもムリクリ引っ張った感がなきにしもあらず。
んでもんでも。
そんな自分の気持ちを、臆せず、惑わず、自信を持って伝えたという彼の姿勢にはなんだか勇気づけられます。
ええ、まぁ、藤森くんの気持ちは決まっていたワケですから、吉野ちゃんと黒河さんのどちらかがふるい落とされるのは、もう、始まる前から自明の理であったといいましょうかー。
このあたり、いろいろと設定がらみで伏線を築き上げようとしていたようにも思えるのですけれど、タイムアップ、なのでしょうか?
あまり掘り下げられることもなく、設定だけの深い関係になってしまっていたことが残念です。
でも、この件については「もう少しシリーズが続いてくれれば……」と思うより「どうして前巻でこの辺りの状況を扱わなかったのかなぁ……」という疑問を。
そもそも「中学生の頃の藤森くん」が、今作、いうなればシリーズのクライマックスになんの影響も及ぼしてこないことからも、前巻の位置づけは知れようもの。
むしろ無くてもいいくらいだと思ってしまうのですけれどー。
やぱしあれはドラゴンマガジンでの連載を鑑みてのネタや構成だったのかなー、とか。
ビジネスが理由では仕方がないなー、もー。
……だから富士見はダメになっているような気がしますけれど、もっ!(><)
にしても「失恋」をここまで明確に暑かったラノベというのも珍しいような。
恋が成就するお話は多々ありますけれど、きちんとライバルとして関係を築いた上でハッキリと選択を受けるのは。
むしろラノベのパターンとしては、最後までどっちつかずでいるか、ふられても諦めないパターンとか?
先述のように設定がらみで初めから報われることが難しい恋でしたけれど、その気持ちをきちんと伝えて、それを真正面から受け取ってもらえて、そして答えを返してもらったというのは天晴れと感慨深く思ったりして。
藤森くんにも、そして「彼女」にも、よくやった!と褒めてあげたいです。
ところで。
壱乗寺センセがあとがきで吉野ちゃんのことを「恋人にすると重いかも……」と書かれていますけれど、これ、わたしも同じことをを思ったりして。
うーあー……なんていうのかなー。
相手に100%の気持ちを求める代わりに、自分は120%の気持ちを返そうと自助するタイプ……とでも申しましょうか。
逆に黒河さんはお互いに均等であることを願う、ような?
それが100%であろうと80%であろうと。
ちうかですね。
吉野ちゃんの本質を時間で表すと「継続」で、黒河さんは「一瞬」なのではないかなーと思うのですよ。
いつまでも共にあることを願うのか、この瞬間だけでも共にあることを願うのか。
線と、点、ちうかー。
だからこそ物語としては黒河さんのほうが栄えて、吉野ちゃんのほうが強かった……のかも?(^_^;)
あら、やだ。
あまり書くことがないと思っていたのに、またいつものように書き進めてしまえましたことよ(笑)。
壱乗寺センセのキャラ付けのセンスは、ほんとわたし好みやわ~。
今シリーズはこれで幕ですけれど『さよならトロイメライ』は富士見ファンタジアで継続されるようですし、楽しみ楽しみ。
「梅園」「榊」のように設定で共通する部分もありますし、シリーズを越えてあちらでも登場……とかあったりしませんかね~。
今作での「それはまた――別の話」という最後の言葉に、そういう部分を期待してしまったりして(^-^)。