定番、王道……なんとでも言え!ってカンジ。
退屈で低俗だった日常が、ひとりの異邦人の登場で崩されて。
周囲に溶け込めず、しかし誇り高く生きていた女の子を前にして男の子が見せた勇気。
互いの傷を見て見ぬふりをしながら送っていた生温い毎日とは決別して、自分自身のため、彼女のため、正しいと思ったことを迷い無く生きていこうと始めた男の子の行動が、少しだけ世界を美しい方向へ導く物語。
ひゃー、もうねもうね!
10代の少年少女たちの簡単でありながら複雑な心境が痛切に描かれているっちうか!
学校って、もうそこは独立した「社会」なんですよねー。
だからみながその維持に腐心しているという。
で、そこへ現れた異邦人たる女の子。
女の子の美しさと個を押し通す潔癖さが安定していた社会に不和を生み出して、あげく彼女は社会から認められない存在となって。
そこへ現れるオトコノコ!
彼女の恋心がきかけだったとしても、なにが正しいのか間違っているのか、最後はそこでの判断が彼を動かすのですよねー。
カッコイイ!
正しいことをして非難されるようであれば、それは社会のほうが間違っている。
もちろんそれだけで全てが許されるものではないでしょうけれど、正しさを信じて行動することは美しくあると思うのです。
そんな男の子の行為が、かたくなすぎた女の子の心を少しだけ開かせてくれましたし、やがてその行為は波紋のように彼の周りへと広がって。
卒業までの短い「社会」。
その全てを変革することはできなかったですし、むしろ男の子はそんな高尚な望みを抱いていたワケではないでしょう。
男の子が望んだのは、女の子と一緒に歩んでいけること。
ただそれだけなんですよねー。
うーわー(≧▽≦)。
でも、彼の行為は彼と彼女を巡るひと握りの関係者には伝わって、それがきっかけとなって変わることが出来たワケで。
世界は少しだけ美しく正しく変わることが出来た。
それは男の子の小さな勇気から始まったことなんです。
ラストの着地点は収まり良すぎたきらいはあるかも。
んでも、男の子の勇気から始まった物語は、その勇気に見合うだけのあるべきところへ収まったと思うのです。
変に斜めに見たような送り手側からの主張も無く、ただ、こうなったら素敵だよねって関口センセの優しさが描かれているようで。
ハッピーエンド至上主義ではないです。
そもそも彼らの世界にはまだまだ苦しみや悩みが溢れているのですから。
それでも彼らは1年前より少しだけ倖せな世界を手に入れた。
それが嬉しいのです。
彼らの、そして勇気を出した全ての人に幸いあれ!
そんな願いを抱いてしまう素敵な作品でした。