赤坂7丁目の散策
気仙沼ニッティング公式Facebookより(クリックでジャンプ)
出張1回目となった3月4日、私ははじめてコーネルコーヒーを訪ねました。草月会館のある赤坂7丁目付近は、30数年前30歳ぐらいまでつとめていたオフィスがあった場所なのです。本日は、訪問の直後に〈忘れないうちに〉とつづっておいた印象記です。ちょっとというか、かなり長いのでとばし読みをお勧めします。
草月会館は地下鉄〈青山一丁目〉と〈赤坂見附〉の中間ですが、私は以前の通勤ルートにしたがって青山一丁目から。まずは駅のある新青山ビル〈青山ツイン〉の地下1階。飲食中心のフロアで、以前からの店が結構のこっています。ニュートーキョー運営の居酒屋〈庄屋〉もまだあった。料金が手頃で同僚やアルバイトの学生たちとよくいきました。物販フロアで津川雅彦さんが経営していた幼児向けの玩具店〈グランパパ〉がすでになくなっていることは知っておりました。
地上に出て赤坂御用地を左に見ながら青山通り沿いを歩きます。赤坂郵便局を過ぎたあたりのビルには監査法人の〈アーサーアンダーセン〉が入っていたのですが、いまは〈ユナイテッドアローズ〉の本部が。アーサーアンダーセンは紆余曲折の後、コンサルティング会社〈アクセンチュア〉として発展、このビルには収まりきれない規模になりました。
その先にあるカナダ大使館を過ぎると、大蔵大臣や総理大臣をつとめた〈ダルマさん〉高橋是清の邸宅跡〈高橋是清翁記念公園〉です。ここはほとんど変わっていません。通勤時に公園のなかを通っておりましたが、樹木の根っこが地上に露出している様子までもがそのままという印象。
そして草月会館の正面玄関から2階のコーネルコーヒーへ。気仙沼ニッティングさんは入口付近のスペースでお客様の採寸や試着などで接客中です。私はドリップコーヒーを。カウンターからはさきほどの是清公園の緑が見えます。つまり、以前にレストラン〈薔薇〉があったところが〈コーネルコーヒー〉になったのですね。
是清公園からながめた草月会館/コーネルコーヒー
コーネルコーヒーからも見ることのできる石庭〈天国〉は今も変わることなくそこにありました。イサム・ノグチの傑作とされています。このイサム・ノグチの天国が、私にはいつもとてもさびしく感じられるのはなぜでしょう。
美味しいコーヒーをいただいたあと、気仙沼ニッティングのスタッフ遠藤さんにちょっとだけ声をおかけした後、青山通りに面したラウンジスペースへ。草月会館の案内を見ると〈談話室〉となっています。テイクアウトした飲み物をここで楽しむこともできるのでしょう。雰囲気は元のまま。
お次は、草月会館と是清公園の間を奥に入っての〈ドイツ文化会館〉OAG(オーアーゲー)ハウス。〈オアゲ〉と呼んでおりました。1階のレストランは以前のままにありましたが、料金がちょっと高くなったかもしれない。それでも草月会館のついでに寄るのもよろしいかと。オアゲのもっと奥の方に、餃子やレバニラをお昼に食べた中華〈珉珉(みんみん)〉があったはずですが、この日は確認できず。
ドイツ文化会館の隣が、私がつとめていたオフィスがあったマンション。その赤坂パークハウスは、三菱地所のマンション事業第1号として1970年に竣工した高級マンションらしいのですが、働いていたころの私はそんなこととはつゆしらず。今はビンテージというか、昔のまんまの姿に正直おどろきました。
当時、駐車場で島倉千代子さんをみかけることがありました。というのも、このパークハウスの向かいには日本コロムビアの本社ビルがあったのです。島倉さんはコロムビア所属でしたから、至近のマンションに住んでいたのでしょう。面する通り〈薬研(やげん)坂〉は、〈コロムビア通り〉とも呼ばれていました。
この通りで、気仙沼高校の同級生にばったり会ったことがあります。北(きた)君。岩手県の中学から気高に進学し、佐々木徹君(3年1組)の家に下宿していました。九州芸術工科大学で工業デザインを学び、コロムビアでは製品デザインを担当していたはずです。昼飯どきにばったり会ったときには驚いた。どうして君がこんなところにいるのかと。お互いに。そのコロムビアの場所にはいま高層ビルが建っています。そして向かって左方向の青山通り沿いのたしか〈東北新社〉があった場所にも同様の高層ビル。風景がすっかり変わってしまいました。
帰りは赤坂見附駅に向かいます。レトロな味わいがあった〈赤坂支所〉の建物は既になく、赤坂区民センターになってしまった。ま、古かったからねえ。大きな暖簾(のれん)が印象的だった和菓子の名店〈とらや〉赤坂本店は、建て替えのために休業中でした。その近くにあったイラストレーター安西水丸さんの実家だったビルは見当たりません。水丸さんも2014年に亡くなりましたね。思いついて、青山通りの向かいにある〈豊川稲荷〉さんへ。諸事の安寧を祈りました。
コーネルコーヒー/気仙沼ニッティング出張をきっかけとしての赤坂七丁目/草月会館訪問。30数年前の記憶を眼前の風景に重ね合わせながらの散策は、私にとってちょっとしたタイムトリップでした。もう一度訪れても、この不思議な感覚〈奇妙な味〉を感じることはできないでしょう。
「CONNEL COFFEE by Mother Port Coffee」公式HP
3月2日ブログ「コーネルコーヒー」
テーマ : 東日本大震災支援活動
ジャンル : 福祉・ボランティア