モネのなまり指導
このドラマで感心することは沢山あるのですが、そのひとつがモネの言葉づかいの〈なまり〉です。
ドラマのなかに登場する〈気仙沼弁〉については地元民からのいろんなご意見があるでしょうが、モネ(というかモネを演じる清原果耶さん)のちょっと気仙沼の色をつけたイントネーションは実に案配/塩梅がいい。
「おかえりモネ」の方言/宮城ことば指導は、宮城県出身の俳優で方言指導経験もある鹿野浩明(かのひろあき)さんをチーフに、気仙沼出身のフリーアナウンサー佐藤千晶さんがサブで加わっています。5月4日のブログでも紹介しました。
私は、実際の方言指導というのはどのようにするのだろうかと思っていたのですが、5月27日の河北新報配信記事を読んで納得しました。つぎのツイートをクリックして記事をお読みください。
温かい気仙沼弁、誇りに 「おかえりモネ」方言指導のフリーアナ <気仙沼・南三陸ウイーク> | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS https://t.co/E7bvnrrOSi
— 気中20/小田 (@kechu20) May 26, 2021
千晶さんの指導内容の説明のなかに〈台本のせりふを方言に書き換え、俳優の手本となる発音を録音。撮影現場での指導も一部サポートした〉とありました。
なるほど、台本にある言葉を方言に書き換えるんですね。しかし、気仙沼の人にしか通じない言葉にするわけにはいきません。千晶さんも〈当初、控えめにしたつもりの方言も「きつすぎて意味が通じない」とスタッフに突っ込まれた〉と語っています。また、これは脚本をいじることにもなるため、相当な注意をはらわなければなりませんね。一種の〈翻訳〉です。
そして千晶さんは〈イントネーションだけで方言になる。私自身も奥深さを再認識した〉と。具体的には、〈例えば、宮城の方言では「海」や「登米(とめ)」といった単語は2音目が強くなる。人名の「サヤカ」などは、真ん中にアクセントがくる〉というのです。
まさにこれ。私がモネのイントネーション/なまりで感心したのはこの2音目へのアクセント移動です。それがわざとらしくなく、とても自然。
なんていうのかな、あえていえば、気仙沼から東京に出てきて、本人は標準語をしゃべっているつもりでも、どうしても消えないなまり加減とでもいうか(笑)。
清原果耶さんは、そのあたりの微妙な調整がホント上手です。付け加えれば、清原さんの余韻を感じさせる演技、そしてそれを生かす演出もすばらしい。
気仙沼を離れて今は登米に暮らすモネ。気象予報士をめざしているということは、これから東京に行くのでしょうか。もしそうであれば、上京して間もないころ、標準語を話しているなかにさりげなく気仙沼のなまりをまぶしてくれないでしょうか。
清原果耶さんならきっとできるはず。どうぞよろしくお願いいたします。
5月4日ブログ 「モネ」の方言指導