〈無印良品〉は、1990年に西武流通グループの〈西友ストアー〉自社開発製品ブランドとしてスタートし、現在は(株)良品計画が展開する人気ブランドです。
〈無印良品〉はレトルトなどの食品も開発・販売していますが、そのなかの「ごはんにかける ふかひれスープ」に対し、インターネット上でその販売中止を求めるキャンペーンが今年3月ごろから展開されていると知り、驚きました。
〈無印良品〉ネットストア上の商品画像これは鯨の保護と同様にサメ(フカ)の乱獲防止を求める立場からのフカヒレ加工や販売を規制すべきというキャンペーン、反対運動のひとつです。最近もサメの漁獲規制がニュースで伝えられましたが、鯨をめぐる保護の動きがサメにも広がっています。
このフカヒレスープの販売中止を求める動きに対し、〈無印良品〉の良品計画は6月7日付けでニュースリリース(報道発表)を行っています。
2013年6月7日ニュースリリース
少し長いのですが、内容が正確に伝わるように前半部をそのまま引用します。
◎無印良品「ごはんにかける ふかひれスープ」の販売中止を求めるご意見について
本年3月頃より、全国の無印良品の店頭およびネットストアなどで販売する「ごはんにかける ふかひれスープ」の販売中止を求めるキャンペーンが、インターネットのサイト等を中心に展開されています。
これまで、弊社では静観の姿勢を保ってまいりましたが、この度のキャンペーンにおいて販売中止を求める主張の根拠とされている主たるポイントの中には、一般消費者の皆様に対して誤解と混乱を招くのではないかという懸念を抱かざるを得ないものも含まれており、今般、弊社の見解を以下のように申し上げることといたしました。
今キャンペーンのサイトなどからの引用によれば、販売中止を求める主たる根拠は以下の2つです。
「フカヒレスープの需要により殺害されるサメの数は何と年間約1億匹」
「同社の利用するヨシキリザメは国際自然保護連合(IUCN)により準絶滅危惧種に指定」
上記、1、2に対する弊社の見解を以下のとおり申し上げます。
1、弊社製品に使用するふかひれは、約70%以上の量が宮城県気仙沼港の他、日本国内にて水揚げされたサメからのものであり、残り30%弱がスペイン産のものです。
この気仙沼港で水揚げされるヨシキリザメは、主にマグロ延縄漁の‘混獲魚’として水揚げされたものであり、その混獲されたサメは水揚げされたのち、その身は各種練り物製品へ、また軟骨は健康食品、皮革は工芸品等にと、さまざまなものへ利用されています。このことは、弊社商品開発担当者が現地の港にて、サメの水揚げから加工までの工程を実地検分にて確認が済んでおります。
すなわち、弊社製品に使用されているふかひれの入手方法は、一部の地域で行われているようなFinning(ヒレだけを取るためにサメを殺戮し、その他の部分は海上で投棄する)によるものとは明らかに一線を画す手法であり、同一視されるべきものでもありません。
なお、弊社では原料のトレーサビリティーを一層向上させるため、出来るだけ早い機会に全ての原料を国産のみに切り替える方針ですが、現在使用しているスペイン産につきましても、すでに1年前よりヨーロッパとアメリカでもサメのヒレを切り離してリリースすることは禁止されていますので、ふかひれは日本のものと同様の入手方法です。
以上が、1に対する良品計画の見解の引用です。これに続き、2のヨシキリザメが国際自然保護連合(IUCN)の「保全状況の評価リスト」における準絶滅危惧種に指定されているということについて、これが「低リスク」に分類されていることと、ヨシキリザメはその中でも下位に位置づけられていることを述べています。また、日本の所管省庁への確認のみならず、日本の法令によっても何ら漁獲規制のないことは確認が済んでいるとしています。なお、Finningに関する規制は存在するとのこと。
ニュースリリースはつぎのように結ばれています。
「私たち無印良品は常に生産者の皆様と共に、世界のお客様に向けて最適な商品のご提案に努めております。〈ごはんにかける ふかひれスープ〉については、以上の理由に加え、生産者である宮城県の気仙沼を中心として行われてきた伝統的地場産業の一助となることからも、販売を継続することが妥当と考えております」
無印良品/良品計画さん、ありがとうございます。〈気仙沼を中心として行われてきた伝統的地場産業の一助となることからも、販売を継続〉というところに多くの気仙沼関係者が拍手していることと思います。
ただ、低リスクとはいえ、ヨシキリザメが国際自然保護連合により準絶滅危惧種とされていることは事実です。将来に向けてのフカヒレ産業の発展のためにも資源の保護やマグロを含む漁獲規制という課題に取り組む必要があることを私たちもしっかりと認識しておくべきでしょう。
販売中止を求めるキャンペーンサイト
なお、この問題についての2011年までの経過についてはつぎのブログ記事が詳しく解説しています。
2011年2月Red Fox「ガーディアンの気仙沼サメ漁批判記事の背後にグリーンピース」
テーマ : 東北地方太平洋沖地震義援金、災害援助
ジャンル : 福祉・ボランティア
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