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(3)森光子の放浪記の作者・林芙美子記念館

IMG_3342.jpeg 養子・泰(たい)がピアノを弾いているところ。

 自画像は、撮り忘れた。画家になることも考えたことがあった芙美子は、アトリエで絵筆を取ることもあった。藤田嗣治、梅沢龍三郎など画家との交流もあった。

 23歳、画学生の手塚緑敏(てづか・まさはる)と知り合い、同棲、生涯の伴侶となる。私は、林芙美子はオトコ癖が悪く、生涯独り身だと思っていた。

 今回、記念館を訪れて、原稿を書きながらも、家族を愛する家庭的な人だということがわかった。

 オトコ癖の悪さは、宇野千代と勘違いしていたのかもしれない。

 23歳(1926年)、『放浪記』、『続放浪記』が改造社より刊行され、ベストセラーになる。

 28歳(1931年)、『風琴と魚のまち』、『清貧の書』をそれぞれ雑誌『改造』に発表。この頃より、流行作家として、多忙になる。

 同年、渡欧。パリ、ロンドンに滞在。

 29歳(1932年)、欧州旅行から帰国。

IMG_3875.jpeg 32歳(1935年)、『牡蠣』を刊行。自伝的作風から脱却する。

 34歳(1937年)、毎日新聞社特派員として、上海、南京に行く。

 35歳(1938年)、内閣情報部による「ペン部隊」の一員として、上海に派遣され、その後、陥落直後の漢口に行く。

 36歳(1939年)、下落合に土地を購入。家屋新築工事に着手。

 38歳(1941年)、完成し、新居に移る。

 同年、軍部の文壇統制が厳しくなり、『放浪記』、『泣虫小僧』などが発売禁止になる。

 39歳(1942年)、陸軍の報道班員として、シンガポール、ジャワ、スマトラなどに滞在。

 40歳(1943年)、生後間もない男児を養子に迎え、泰(たい)と名付ける。

 41歳(1944年)、同棲していた緑敏と泰を正式に林家に入籍。子供のことを思ってのことだろう。

 同年、母と泰を伴い、信州などに疎開。

 42歳(1945年)、疎開先を引き上げ、自宅に戻る。

 43歳(1946年)、『吹雪』を雑誌『人間』に発表したのを皮切りに、旺盛な執筆活動を再開。流行作家としての地位を確立する。

 44歳(1947年)、『うず潮』を毎日新聞に連載。

IMG_3877のコピー 45歳(1948年)、『晩菊』を雑誌『別冊文藝春秋』に発表。

 46歳(1949年)、『晩菊』により、第三回女流文学賞を受賞。

 48歳(1951年)、『めし』を朝日新聞に連載。

 同年、『主婦の友』の取材後帰宅。就寝後間もなく、苦悶し始め、翌日、永眠。47歳。死因は心臓麻痺。

 もともと、心臓弁膜症を患っているにもかかわらず、夜通し、原稿書きをしていたのがたたったのだろう。

 自宅で告別式を行う。葬儀委員長は川端康成。戒名は、純徳院芙蓉清美大姉。

IMG_3873.jpeg 曹洞宗萬昌院功運寺(中野区上高田四丁目)の墓所に川端康成の銘により、墓碑が建てられた。

IMG_3359.jpeg 芙美子写真アルバム、『めし』の原画、芙美子が使用した角型小皿など。

IMG_3362.jpeg アルバムの写真。

IMG_3479.jpeg「あの人に会いたい」。NHKアーカイブス。女学生を前に質疑応答を交え、ラジオ放送が収録された時の映像。

IMG_3378.jpeg「わたしというものにがっかりしないで、愛読してくださるようにお願いいたします」と言って、会場の笑いを誘った。

IMG_3388.jpeg 若い頃の芙美子。美人だった。

IMG_3390.jpeg『放浪記』の初版本。

IMG_3392.jpeg 林芙美子、宇野千代、吉屋信子、佐多稲子。女流作家が集う。

IMG_3396のコピー 1951年(昭和26年)、47歳で亡くなる四日前の貴重な映像。

IMG_3403.jpeg「わたしは今、家庭を持っておりまして、子供もいるんですよ」。

「女だから、男だからというのは、今の時代にはないと思う。私たちの時代はあったかもしれないですけどね」。

IMG_3406.jpeg 画家の夫・緑敏と一緒の写真。「25年結婚しているんですよ。もう銀婚式が始まるんですけど」と言うと、会場がまた沸いた。素敵な夫婦だった。
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カエルのロビン

Author:カエルのロビン
フリーランスの記者&編集者。星野源と加瀬亮が好きといえばオシャレだと思っている。何歳からアラフィフか母親と協議中。数年分の旅行記と食べ歩き日記を順次アップしていきますので、よろしくお願いいたします。
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