インドで一番人気のあるスポーツはクリケットである。
理由はスポーツが一般的でないインドにおいて唯一、
国際大会レベルであるスポーツであるからだ。
さてホッケーである。オリンピックにおいては、
1980年のモスクワ大会での金メダルを最後に活躍はしていないが、
1920~1980年代までは世界最強と言われ、
オリンピックでの金メダル8個はダントツの1位である。(男子)
ちなみに2位はオランダで金メダル5個。
この映画は第二次世界大戦をはさんだ1947年のインドの独立の前後で、
インドのナショナルチームがどう変わったのかを描いてる。
<ストーリー>
物語は1936年のベルリンオリンピックから始まる。
ドイツとの決勝戦へ向かうインドチームのバスに2人のインド人が駆け寄り、
独立旗をひるがえそうとして、ドイツ官憲に捉えられる。
ホッケーチームのマネージャーのタパン(アクシャイ・クマール)は、
その旗を服の中に隠しスタジアムに入る。
鍵十字の旗が翻りヒトラーが見守る中、
ドイツチームは反則し放題で前半は1-0でリードしていた。
タパンはインターバルでインド国旗を見せ、
それにより士気が高まったインドは後半猛攻をみせ逆転優勝した。
しかし・・・表彰式ではユニオンジャックが揚りイギリス国歌が流れた。
戦争の為に1940年、44年とオリンピックは中止となった。
酒浸りになり賭けレスリングで負けてボコボコにされ、
路上で倒れ込むタパンの前に新聞が舞ってきた。
そこにはインドの独立も見えてきた2年後の1948年にロンドンで、
オリンピックが開催されると言う記事が載っていた。
タパンはオリンピックに向けてインドチームを作ろうとする。
独立後初めてインドチームとして参加し、金メダルを取るために、
タパンは国内を回り有望選手を集め合宿を行う。
ところがインドとパキスタンが分離独立と決まったため、
チーム内のムスリム選手はパキスタンに、
イギリス系インド人の選手はオーストラリアへ移住してしまった。
それでもタパンはなんとか選手を集めチームを作りあげようとする。
そこにベルリンオリンピックを共に戦ったキャプテンのサムラート(クナール・カプール)が、
コーチをするために休暇を取って駆けつけてきた。
出身地でグループになり1つにならない選手たちに、
チームワークを教えるために取った作戦がすごいと思った。
インドは州によって言葉も違えば、食事や習慣、文化も違う。
そのためそうなるのも解らないではない。
山になったレンガをグラウンドの逆側に急いで運ぶように言う。
各自、手にレンガを持って向こう側に全力で走って運び始める。
運び終わると、今度は元に戻すように言う。
何度か繰り返すうちに一人が言った。
「こちら側から向こう側に一列に並べ。」そして、
ばけつリレーの要領でレンガを手から手に渡し始めた。
コーチは、みんなで一つの事を成し遂げるために力を合わせる、
それがチームワークだと言う事を教えたのだった。
またある日、藩王国の家系でお高く留まっていて才能はあるが、
個人プレーに走ってしまうラグヴィール(アミト・サード)に
「あなたのベストの試合はどの試合ですか?」と聞かれ、
自分は得点を挙げていないがチーム全員の力で勝利した試合をあげ、
ラブヴィールに自分が間違っている事に気づかせる。
世界レベルのチームのキャプテンになる人は人間性も素晴らしい。
以前、ゴルフ場でインドが初めてワールドカップチャンピオンとなった時の
クリケットチームのキャプテンと遭遇した事があるが、
偉ぶらないいい人だった。・・・話を元に戻して・・・・
なんとかオリンピックには間に合ったのだが、
タパンを良く思っていないホッケー協会副会長の策略で、
タパンは披露パーティの席で一服盛られ泥酔し醜態をさらしてしまい、
ロンドン・オリンピックチームから外されてしまう。
ロンドン・オリンピックでは選手が副会長に反発した事で、
準決勝を前にタパンが呼び戻される。
タパンはラグヴィールと同レベルのヒンマト(サニー・コウシャル)を、
温存し勝負所で起用しようと作戦を立てていたが、
ヒンマトは疎外されていると思い込みチームメイトに喧嘩を売ってしまう。
準決勝は1-0とリードを許した後半、神がかり的なプレーが出て、
逆転で勝つ事ができた。そしてイギリスとの決勝戦・・・
ここでもイギリスは反則し放題、審判は観て見ぬふり。
3-0とリードを許したインターバル・・・流れを変えるために、
タパンはヒンマトを出場させようとするが、
チームメイトもヒマントと一緒にプレーする事を拒み、
ヒンマトは控室を飛び出してしまう。
タパンは残されたチームにベルリンオリンピックの時のインド国旗を見せ、
インドとして金メダルを取る事の重要性を説く。
飛び出したヒマントだが考えを改め控室に戻る。
そしてチームはインドとして金メダルを取るために一致団結する。
後半4点を挙げ、インドは4-3で勝利した。
国歌斉唱と国旗の掲揚のシーンでは観客が起立した。
私は中段の席だったので後ろの方は解らなかったけど、
前の方の観客は起立していた。
私はスポーツ物が好きなので、この手の話には感動してしまう。
自分の国が勝ったとしても国歌や国旗が支配国の物だったら、
どうだろう・・・・・。インドはイギリスの支配下にあった。
その時の事を知る人は少なくなっているが、
やはりイギリスに対しては特別な感情があるのかもしれない。
ただし、インドで暮らしている9年間でそう感じた事はない。
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