このところシリーズ
(<-ネタがありすぎでシリーズにならざるを得ない(^^;)と化している「経皮毒」に対しては、対抗言論もそこそこ目につくようにはなり
(エントリ末にて紹介)、
「経皮毒」でGoogleすると「他のキーワード: 経皮毒 嘘 経皮毒 デマ」が表示されるぐらい、状況は改善されてきたとは思われるのだが、見て回るとやっぱり混沌として、なかなかエントリにまとめられず、苦戦中(^^;
さて。
最初に挙げたエントリでは、ネットで見つけたこんな文章を紹介していた。
☆経皮毒からあなたの髪やからだを守りましょう!
(略)
産婦人科医によると、羊水がかなり濁っていて、時にはシャンプーの匂いがするとか、筋腫の中は毛玉だったとか・・・。
この「経皮毒」で羊水云々の話は、かなり普及しているようで
検索するとどっさりかかってくる。ちなみに、2008年2月頃だったかの倖田來未氏による「羊水が腐る」発言も、
「水からの伝言」と「経皮毒」の合わせ技だったのではないかという考察もみかけたし、
「経皮毒」信望者によるものらしい擁護エントリもあるようだ
(こちらにも)。
この『「経皮毒」と羊水』都市伝説系で、一番普及している様子なのが、「シャンプーの匂い」パターン。検索で引っかかったエントリで、典型的な表現はこんな所か。
『合成界面活性剤』は人間の体にとって悪いものです。
しかし、残念なことにこの『合成界面活性剤』は、市販のシャンプーやボディーソープ・化粧品等には全てほとんど配合されています。(略)
信じられないような怖い話ですが、現代の女性の羊水はシャンプーの香りがするそうです!
体の外に出ることがなく女性は子宮に溜まってるということっ!
聞いた話によると、歯磨き粉は口の粘膜に直接触れる為、ダイレクトに身体に吸収されるし、
特にシャンプーやコンディショナーの成分は、なぜか子宮へ届いてしまうらしく頭皮からシャンプーが吸収され、その成分が子宮に届くまで40分と言われているらしい。
ネットでいろいろ検索してみた所、最近生まれる赤ちゃんの羊水がシャンプーの香りがするとか、子宮筋腫等の手術をすると、その時もシャンプーの香りがするという内容を発見
自分で「なぜか」と表現しながらの人もいるのになぁ、と遠い目になるが、合成界面活性剤がイケナイという話だったのに、現れている現象は香料が羊水に? シャンプーの着香が、一律に同じ匂いの筈はないが、どんな匂い成分でも羊水に素通りなのか? あるいは、合成界面活性剤に天然香料で着香するとどうなるんだろう?とか、疑問はつきないが、「
出産時に帝王切開でシャンプーの香り?! - 質問・相談ならMSN相談箱」で、自分は合成界面活性剤製品使用者で三回の出産経験があるけどそんなこと無かったという証言があったりする。
もっとも、「
産婦人科で働いている方教えて下さい。羊水がシャンプーの臭いがするって本当です... - Yahoo!知恵袋」では、自身のプロフィールを述べていない回答者が「シャンプーのにおいがする羊水は事実です」と断言し、この回答が投票で「ベストアンサー」に選ばれているので、世の中油断はできない。ただし、このやりとりでは、「ベストアンサー」以外は良回答が多い。そして「ベストアンサー」以外の回答者さんが誘導していた「
よく界面活性剤が肌によくない、と言われていますが、界面活性剤とは具体的に何の... - Yahoo!知恵袋」も、きちんとした回答が述べられていた。
ちなみに、「経皮毒&シャンプーの匂い」伝説にはこんなバリエーションもある。
赤ちゃんは、お母さんのおなかの中で胎児としてあるとき、そのおかあさんの羊水の中で過ごしています。その羊水がシャンプーのにおいがするという事実を耳にされたことはありますか?
肝臓の一部摘出手術で、取り出された肝臓がシャンプーのにおいがしたということも聞きます。
同じエントリで、この後にこんな記述があるのは興味深い。
食物は口から、消化器官を通って、肝臓でその中に含まれる毒(略)を解毒することができます。しかし、皮膚からとりいれた毒は解毒器官を通ることなく体に蓄積されます。
何故肝臓そのものに「シャンプーの匂い」がすることに疑問をもたないのだ?
どらねこさんは、「羊水にシャンプーの匂い」都市伝説をこう評しておられた。
急遽出勤なんてざらなんだと思うよ。お風呂上がりでも駆けつける事なんて普通にあると思うんだ。そうなると出産現場に湯上がりの残り香が漂っていても不思議じゃないよね?
あるいは、
分娩室にいるのは女性が多いのだから、「シャンプーの匂いなんて、どこからでもするだろ」というツッコミがこちらにあった。
また、、、色々拾いつつ書いていたら一部どこかに紛れてしまったが、分娩室にシャンプーの匂いがしたという証言が他でもあったのだが、、、それ、分娩室でアロマテラピーやってる助産院だったのでは?というパターンもあり得たりするかも。
『「経皮毒」と羊水』都市伝説では他に、「羊水が泡立つ」パターンもみかけた。
☆「最近の妊婦さんの羊水は泡立つ」のだそうです。
これが経皮毒と健康について考えるきっかけとなりました。
羊水が泡立つ理由は、頭皮から吸収されたシャンプー剤が身体の中に蓄積されているため。
頭皮は経皮毒の吸収率の高い場所のひとつで、腕の内側の3.5倍吸収されやすいのだそうです。
泡立つ羊水の中で育つ胎児・・・考えただけでぞっとしました。
「泡立つ」=合成界面活性剤だというのは、もの凄い短絡だ。「
羊水の産生は、絨毛膜、臍帯、胎児皮膚からの血漿成分の漏出により始まる」そうなんだけど、妊娠後期には胎児尿が多くなるにしても、血漿蛋白成分は反映するだろう。
血漿蛋白でもっとも量が多いのはアルブミンだったりするけど、結晶アルブミンを泡立てずに溶かすのって、結構面倒なんだけどなぁ。
またさらに、『「経皮毒」と羊水』都市伝説では
最初に挙げたエントリで紹介したような、「羊水が濁る」パターンもよく見るが、なんで「濁る」=合成界面活性剤なのだ。もともと
妊娠末期には個人差のある乳白色を示すものなのに。
この『「経皮毒」と羊水』都市伝説では、去年調べていたときに「羊水から髪の毛」というのも見かけた覚えがありひっくり返りそうになったのだが、残念ながらURLを無くしてしまって、この度も再発掘に失敗してしまった。しかし、
産婦人科医によると、羊水がかなり濁っていて、時にはシャンプーの匂いがするとか、筋腫の中は毛玉だったとか・・・。
この毛玉は毛母細胞が血管を通じて子宮にいき、そこで育ったために毛玉がどんどんできたりするそうです。
髪と子宮がいかに直結しているかがわかりますよね。
これぐらいトンデモナイ飛躍はあるので、羊水に髪の毛と言い出す人も見かけた記憶は、多分間違ってないだろう。この『○腫に髪の毛』都市伝説も、かなり普及しているようだ。
山下さんは、原因不明の子宮内膜症と卵巣脳腫を患い、1日10錠の痛み止めでは足らず、起立できなくなり、ホルモン治療に望みを託しました。(略)
山下さんは、自らの体験を通して、経皮毒の問題を真剣に考えるようになったと言います。
クローズアップ「経皮毒」;おはよう朝日です(ABC朝日放送)が06年4月27日放映!
Yさんは4年前に子宮内膜症と右卵巣膿腫を併発、検査すると子宮が25センチになっていた。髪は真っ白になり、物が正常に見えなくなった。6ヶ月間のホルモン治療も効果はなかった。知人のすすめでシャンプーを変えてみて検査をしたら子宮は14センチになっていた。
◆帝京平成看護短期大学教授・薬学博士 稲津教久先生の話◆
シャンプーやリンスに含まれる合成化学物質が皮膚から侵入し害を及ぼしていると考えられる。
ここまで引用した辺だと、何かを匂わせつつ、まだ「ソレ」は断言されていない、のだが。。。
経皮毒について考える。
食べるものに気をつけても、身体を洗うものについては成分に気を留めないことが多いと思う。いい香りがしたり、洗う効果があれば良しとの判断をしがちだ。
卵巣の病気で、卵巣の中の膿がシャンプー臭い、また髪の毛が入っていたという事例が多々あるそうだ。
先日、患者さんから本をお借りしました。
その本には「子宮からシャンプーの匂いが・・・」とか「卵巣膿腫の手術をしたらその中に髪の毛が・・」とかありこの著者の方の結論としてはシャンプーが良くないという事でした。
(なお、卵巣嚢腫と書くのが正しい)
後の方に引用したエントリを書いたのは鍼灸師をしている女性のようで、その話に驚き、調べ、こちらに辿り着いたという。
「
産婦人科の基礎知識/良性卵巣腫瘍」
なぁんだ、奇形腫のことか
(正式名称として「卵巣成熟嚢胞性奇形腫」、別名「皮様嚢腫」(dermoid cyst)、「ブラックジャック」の「ピノコ」はこの奇形腫を原案にしている)。そりゃ髪の毛がでても全然おかしくない。と思った私は、エントリの展開に驚愕した。
…そちら↑で説明されている「奇形腫」の状態の説明を引用し、鍼灸師さんはこう続ける。
人体には解明できない事がたくさんありますね。
(中略)
そして「生殖器官と骨・毛髪はやはり関係が深い」と考えてもおかしくないのかもしれません。
…いや、その根拠でその結論はおかしいですからorz
こちらによると、
卵巣腫瘍は女性全体では約70人に1人の割合でみられるそうで、とすると約1.4%。また、こちらによると、
奇形腫は全卵巣腫瘍の18%を占めるそうなので、なら、約0.26%の女性に発生してることになるか。合成界面活性剤が配合されたシャンプーを使っている女性の頻度は、周囲を見渡すとそんな頻度どころではあるまい。奇形腫の原因を探したいなら、他を探す方が話が早い。
でも、都市伝説は廃れないのだった…orz
おまけ。
「経皮毒」の事を 4/28放送の「おはよう朝日です」で、ある事例をもとに放送していたそうです
(略)
以前に勤めていたサロンでも 毛染めをしていて気分が悪くなり救急車で運ばれたと言う話を2人から聞きました(略)
胎児の3ヶ月くらいに羊水の中で有害物質に影響されると
キレたり集中力のない子が生まれる可能性が高いとも言われています(略)
またタール色素は発ガン性が強く
脳疾患とかガンによる死亡を招くことや、自閉症、若年性認知症も招くとも・・・(略)
女性に認知症が多いのは、頭皮からパーマや毛染めなど
たくさんの毒を入れてるのも原因のひとつと言えますよね
なぜなら、毛染め液にはタールもたっぷり入っているんですもの・・・(略)
そして、シャンプーや石鹸は油に溶けやすく、脳は60%が脂質なので、有害物質の影響を受けやすいと
顔や脇、それに性器は特に毒素を吸収しやすいということも言われていました
科学物質って怖いでしょう~~~~?
怖いのは、こーゆー、どこかから聞きかじった根拠不明の伝聞による放言だろう。
対抗言論;
2007-03-02『
「経皮毒 - 皮膚から、あなたの体は冒されている!」(竹内久米司、稲津教久共著)を斬る 』(「帰ってきた人生戦闘詳報」)
ここまで読んできてわかったように、「経皮毒」に書かれている内容は、一つ一つについてはある意味で正しい、もしくはウソはついていないことが多い。しかし、根拠として取り上げている例が極めて極端で、結論が間違っている。まさにDHMOの同類だ。個々の説明は概ね正しくとも、それらを因果関係で結ぶために必要な条件を満たしているかといえば、その部分はほぼ完全に抜け落ちているといっていい。
2009年2月 9日『
燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2: シャンプーの匂い』
いやぁ、面白い小冊子を見つけました。
「出口のない毒 経○毒」
医学博士監修のこの本、非常にクオリティが高い。
久しぶりにヒットしました。
笑いのセンス抜群の小冊子になっておりますので皆さんに紹介させていただきます。
楽しい冗談がてんこ盛りはいっている本なのですが
残念なことに突っ込みはのっておりません。
きっと、突っ込みまで記載したら
小冊子のボリュームではすまなくなってしまうからなんでしょうね。
(大幅に中略)
しっかりデマが広がるように、心理学にも精通している人が考えたプロパガンダなのでしょう。
経皮毒という新しいビジネスモデルは
多くの医学研究者がかかわって作り上げられたものです。
2008年5月 8日『
燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2: 経皮毒と脱ステロイド』
2008年2月25日『
燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2: 経皮毒2』
2008年2月22日『
燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2: 経皮毒』
高濃度では毒性がある、なので低濃度でも怖いと言う錯覚と、毒は体に蓄積される、というウソを組み合わせるともっともらしい説明になります。
これ、インチキ医療従事者はよくやってます。
科学的な真実の中に1つキーとなるウソ(素人には見分けられない)を組み合わせることで、新しいインチキ理論をつくりあげる。
お金儲けのために少し頭を使えば済むことです。
新しい恐怖を植え付けた後は、安全そうにみえる商品を売りにかかるだけ。
この『「経皮毒」と羊水』都市伝説系で、一番普及している様子なのが、「シャンプーの匂い」パターン。検索で引っかかったエントリで、典型的な表現はこんな所か。
『合成界面活性剤』は人間の体にとって悪いものです。
しかし、残念なことにこの『合成界面活性剤』は、市販のシャンプーやボディーソープ・化粧品等には全てほとんど配合されています。(略)
信じられないような怖い話ですが、現代の女性の羊水はシャンプーの香りがするそうです!
体の外に出ることがなく女性は子宮に溜まってるということっ!
聞いた話によると、歯磨き粉は口の粘膜に直接触れる為、ダイレクトに身体に吸収されるし、
特にシャンプーやコンディショナーの成分は、なぜか子宮へ届いてしまうらしく頭皮からシャンプーが吸収され、その成分が子宮に届くまで40分と言われているらしい。
ネットでいろいろ検索してみた所、最近生まれる赤ちゃんの羊水がシャンプーの香りがするとか、子宮筋腫等の手術をすると、その時もシャンプーの香りがするという内容を発見
自分で「なぜか」と表現しながらの人もいるのになぁ、と遠い目になるが、合成界面活性剤がイケナイという話だったのに、現れている現象は香料が羊水に? シャンプーの着香が、一律に同じ匂いの筈はないが、どんな匂い成分でも羊水に素通りなのか? あるいは、合成界面活性剤に天然香料で着香するとどうなるんだろう?とか、疑問はつきないが、「
出産時に帝王切開でシャンプーの香り?! - 質問・相談ならMSN相談箱」で、自分は合成界面活性剤製品使用者で三回の出産経験があるけどそんなこと無かったという証言があったりする。
もっとも、「
産婦人科で働いている方教えて下さい。羊水がシャンプーの臭いがするって本当です... - Yahoo!知恵袋」では、自身のプロフィールを述べていない回答者が「シャンプーのにおいがする羊水は事実です」と断言し、この回答が投票で「ベストアンサー」に選ばれているので、世の中油断はできない。ただし、このやりとりでは、「ベストアンサー」以外は良回答が多い。そして「ベストアンサー」以外の回答者さんが誘導していた「
よく界面活性剤が肌によくない、と言われていますが、界面活性剤とは具体的に何の... - Yahoo!知恵袋」も、きちんとした回答が述べられていた。
ちなみに、「経皮毒&シャンプーの匂い」伝説にはこんなバリエーションもある。
赤ちゃんは、お母さんのおなかの中で胎児としてあるとき、そのおかあさんの羊水の中で過ごしています。その羊水がシャンプーのにおいがするという事実を耳にされたことはありますか?
肝臓の一部摘出手術で、取り出された肝臓がシャンプーのにおいがしたということも聞きます。
同じエントリで、この後にこんな記述があるのは興味深い。
食物は口から、消化器官を通って、肝臓でその中に含まれる毒(略)を解毒することができます。しかし、皮膚からとりいれた毒は解毒器官を通ることなく体に蓄積されます。
何故肝臓そのものに「シャンプーの匂い」がすることに疑問をもたないのだ?
どらねこさんは、「羊水にシャンプーの匂い」都市伝説をこう評しておられた。
急遽出勤なんてざらなんだと思うよ。お風呂上がりでも駆けつける事なんて普通にあると思うんだ。そうなると出産現場に湯上がりの残り香が漂っていても不思議じゃないよね?
あるいは、
分娩室にいるのは女性が多いのだから、「シャンプーの匂いなんて、どこからでもするだろ」というツッコミがこちらにあった。
また、、、色々拾いつつ書いていたら一部どこかに紛れてしまったが、分娩室にシャンプーの匂いがしたという証言が他でもあったのだが、、、それ、分娩室でアロマテラピーやってる助産院だったのでは?というパターンもあり得たりするかも。
『「経皮毒」と羊水』都市伝説では他に、「羊水が泡立つ」パターンもみかけた。
☆「最近の妊婦さんの羊水は泡立つ」のだそうです。
これが経皮毒と健康について考えるきっかけとなりました。
羊水が泡立つ理由は、頭皮から吸収されたシャンプー剤が身体の中に蓄積されているため。
頭皮は経皮毒の吸収率の高い場所のひとつで、腕の内側の3.5倍吸収されやすいのだそうです。
泡立つ羊水の中で育つ胎児・・・考えただけでぞっとしました。
「泡立つ」=合成界面活性剤だというのは、もの凄い短絡だ。「
羊水の産生は、絨毛膜、臍帯、胎児皮膚からの血漿成分の漏出により始まる」そうなんだけど、妊娠後期には胎児尿が多くなるにしても、血漿蛋白成分は反映するだろう。
血漿蛋白でもっとも量が多いのはアルブミンだったりするけど、結晶アルブミンを泡立てずに溶かすのって、結構面倒なんだけどなぁ。
またさらに、『「経皮毒」と羊水』都市伝説では
最初に挙げたエントリで紹介したような、「羊水が濁る」パターンもよく見るが、なんで「濁る」=合成界面活性剤なのだ。もともと
妊娠末期には個人差のある乳白色を示すものなのに。
この『「経皮毒」と羊水』都市伝説では、去年調べていたときに「羊水から髪の毛」というのも見かけた覚えがありひっくり返りそうになったのだが、残念ながらURLを無くしてしまって、この度も再発掘に失敗してしまった。しかし、
産婦人科医によると、羊水がかなり濁っていて、時にはシャンプーの匂いがするとか、筋腫の中は毛玉だったとか・・・。
この毛玉は毛母細胞が血管を通じて子宮にいき、そこで育ったために毛玉がどんどんできたりするそうです。
髪と子宮がいかに直結しているかがわかりますよね。
これぐらいトンデモナイ飛躍はあるので、羊水に髪の毛と言い出す人も見かけた記憶は、多分間違ってないだろう。この『○腫に髪の毛』都市伝説も、かなり普及しているようだ。
山下さんは、原因不明の子宮内膜症と卵巣脳腫を患い、1日10錠の痛み止めでは足らず、起立できなくなり、ホルモン治療に望みを託しました。(略)
山下さんは、自らの体験を通して、経皮毒の問題を真剣に考えるようになったと言います。
クローズアップ「経皮毒」;おはよう朝日です(ABC朝日放送)が06年4月27日放映!
Yさんは4年前に子宮内膜症と右卵巣膿腫を併発、検査すると子宮が25センチになっていた。髪は真っ白になり、物が正常に見えなくなった。6ヶ月間のホルモン治療も効果はなかった。知人のすすめでシャンプーを変えてみて検査をしたら子宮は14センチになっていた。
◆帝京平成看護短期大学教授・薬学博士 稲津教久先生の話◆
シャンプーやリンスに含まれる合成化学物質が皮膚から侵入し害を及ぼしていると考えられる。
ここまで引用した辺だと、何かを匂わせつつ、まだ「ソレ」は断言されていない、のだが。。。
経皮毒について考える。
食べるものに気をつけても、身体を洗うものについては成分に気を留めないことが多いと思う。いい香りがしたり、洗う効果があれば良しとの判断をしがちだ。
卵巣の病気で、卵巣の中の膿がシャンプー臭い、また髪の毛が入っていたという事例が多々あるそうだ。
先日、患者さんから本をお借りしました。
その本には「子宮からシャンプーの匂いが・・・」とか「卵巣膿腫の手術をしたらその中に髪の毛が・・」とかありこの著者の方の結論としてはシャンプーが良くないという事でした。
(なお、卵巣嚢腫と書くのが正しい)
後の方に引用したエントリを書いたのは鍼灸師をしている女性のようで、その話に驚き、調べ、こちらに辿り着いたという。
「
産婦人科の基礎知識/良性卵巣腫瘍」
なぁんだ、奇形腫のことか
(正式名称として「卵巣成熟嚢胞性奇形腫」、別名「皮様嚢腫」(dermoid cyst)、「ブラックジャック」の「ピノコ」はこの奇形腫を原案にしている)。そりゃ髪の毛がでても全然おかしくない。と思った私は、エントリの展開に驚愕した。
…そちら↑で説明されている「奇形腫」の状態の説明を引用し、鍼灸師さんはこう続ける。
人体には解明できない事がたくさんありますね。
(中略)
そして「生殖器官と骨・毛髪はやはり関係が深い」と考えてもおかしくないのかもしれません。
…いや、その根拠でその結論はおかしいですからorz
こちらによると、
卵巣腫瘍は女性全体では約70人に1人の割合でみられるそうで、とすると約1.4%。また、こちらによると、
奇形腫は全卵巣腫瘍の18%を占めるそうなので、なら、約0.26%の女性に発生してることになるか。合成界面活性剤が配合されたシャンプーを使っている女性の頻度は、周囲を見渡すとそんな頻度どころではあるまい。奇形腫の原因を探したいなら、他を探す方が話が早い。
でも、都市伝説は廃れないのだった…orz
おまけ。
「経皮毒」の事を 4/28放送の「おはよう朝日です」で、ある事例をもとに放送していたそうです
(略)
以前に勤めていたサロンでも 毛染めをしていて気分が悪くなり救急車で運ばれたと言う話を2人から聞きました(略)
胎児の3ヶ月くらいに羊水の中で有害物質に影響されると
キレたり集中力のない子が生まれる可能性が高いとも言われています(略)
またタール色素は発ガン性が強く
脳疾患とかガンによる死亡を招くことや、自閉症、若年性認知症も招くとも・・・(略)
女性に認知症が多いのは、頭皮からパーマや毛染めなど
たくさんの毒を入れてるのも原因のひとつと言えますよね
なぜなら、毛染め液にはタールもたっぷり入っているんですもの・・・(略)
そして、シャンプーや石鹸は油に溶けやすく、脳は60%が脂質なので、有害物質の影響を受けやすいと
顔や脇、それに性器は特に毒素を吸収しやすいということも言われていました
科学物質って怖いでしょう~~~~?
怖いのは、こーゆー、どこかから聞きかじった根拠不明の伝聞による放言だろう。
対抗言論;
2007-03-02『
「経皮毒 - 皮膚から、あなたの体は冒されている!」(竹内久米司、稲津教久共著)を斬る 』(「帰ってきた人生戦闘詳報」)
ここまで読んできてわかったように、「経皮毒」に書かれている内容は、一つ一つについてはある意味で正しい、もしくはウソはついていないことが多い。しかし、根拠として取り上げている例が極めて極端で、結論が間違っている。まさにDHMOの同類だ。個々の説明は概ね正しくとも、それらを因果関係で結ぶために必要な条件を満たしているかといえば、その部分はほぼ完全に抜け落ちているといっていい。
2009年2月 9日『
燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2: シャンプーの匂い』
いやぁ、面白い小冊子を見つけました。
「出口のない毒 経○毒」
医学博士監修のこの本、非常にクオリティが高い。
久しぶりにヒットしました。
笑いのセンス抜群の小冊子になっておりますので皆さんに紹介させていただきます。
楽しい冗談がてんこ盛りはいっている本なのですが
残念なことに突っ込みはのっておりません。
きっと、突っ込みまで記載したら
小冊子のボリュームではすまなくなってしまうからなんでしょうね。
(大幅に中略)
しっかりデマが広がるように、心理学にも精通している人が考えたプロパガンダなのでしょう。
経皮毒という新しいビジネスモデルは
多くの医学研究者がかかわって作り上げられたものです。
2008年5月 8日『
燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2: 経皮毒と脱ステロイド』
2008年2月25日『
燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2: 経皮毒2』
2008年2月22日『
燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2: 経皮毒』
高濃度では毒性がある、なので低濃度でも怖いと言う錯覚と、毒は体に蓄積される、というウソを組み合わせるともっともらしい説明になります。
これ、インチキ医療従事者はよくやってます。
科学的な真実の中に1つキーとなるウソ(素人には見分けられない)を組み合わせることで、新しいインチキ理論をつくりあげる。
お金儲けのために少し頭を使えば済むことです。
新しい恐怖を植え付けた後は、安全そうにみえる商品を売りにかかるだけ。
No. 6648
ピノコもちだった私がきましたよ。
最初の「いまさら経皮毒」に、はてブでnorth-poleさまが『「毛のかたまり」は奇形種なのでわ。』と書いていらっしゃったので、おもわず☆をつけてしまいました。
ピノコで検索してこられる方数知れずのエントリ→
http://blogs.dion.ne.jp/akiras_room/archives/581159.html
私のは、縦隔(両肺の間)にあったんすけどね。
経皮毒関連では女性のことばかりかいてあるのも不思議ですね。男性の場合、経皮毒はどこに蓄積されるのだろう?
No. 6649
>akiraさん
やはりご存じの方には速攻で想像が付いちゃうんでしょうね(^^;
>経皮毒関連では女性のことばかり
<
いへいへ。男性不妊の原因として疑ってる人がいるようです。
http://hg-fable.net/index.php?%E7%B5%8C%E7%9A%AE%E6%AF%92%E6%80%A7%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F#c06c1ec7
あと、共産党鳥取委員会でも
「稲津教授は、継世代毒性がかかわっていると思われるものに、自閉症、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、情緒障害、脳の発達障害、神経系障害、生殖器の発達不全、精子数の異常、精子・卵子の異常、尿道下裂、停留精巣、子宮内膜症、不妊症、精巣がん、前立腺がん、子宮がん、卵巣がん、乳がん、アレルギー疾患、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などがあると指摘しました。」って(^^;
ただ、見て回っていると、エコ好きの女性(記述からの推定)や「自然派」美容室方面の人が「経皮毒」に関心をもっている傾向があるようですので、女性関係の記述が目につくというのはあるのかもしれません。
No. 6650
教えてくださってありがとうございます。お手数かけました。
ほうほう。男性不妊症ですか。(って納得してどうする)
しかし、何でもかんでも経皮毒ですなぁ。ちょっと前に、なんでもかんでも舌癒着症に驚いたばっかりなんですけど。
http://www.ringo-sika.com/zetsu.html
どちらも、なぜか助産師の方が関わっているのも興味深いところです。
No. 6651
色々見て回りつつも、エントリに盛り込み漏れがありますから。
コメントありがとうございます^^
>何でもかんでも経皮毒
<
原因が明確じゃなかったり、複合的な疾患をここぞとばかりに経皮毒のせいにしているようなもんじゃないでしょーか。
>なんでもかんでも舌癒着症
<
…はぁorz
もう一点、類似点として、経皮毒もお母さんを脅すんですよね…。生まれた赤ちゃんがアレルギー疾患を発症してしまうと、母胎の羊水が原因とか言い出す人も。
http://healing-beauty-cotton.com/free_9_13.html No. 7485
このコメントは管理人のみ閲覧できます
コメントの投稿