(なんて曖昧なタイトルだっ!) 国籍法改正がらみの騒ぎは、
12月5日に改正法が成立して既にたいていは静まったし
(知っている範囲ではここと、ここ関連は例外かもしれないけど)、私がこっちの騒動を追い出したのはかなり遅かったのだが、ネットの方々で反対する人達の意見をながめていて、以前読んだ本の一節が、なぜか連想されてきた。
どの本だったかを探すのに、ちょっと手間取ったが、ある保守派論者の言を紹介した、こんな一節。
この人はドイツの外国人問題に言及し、「前車の轍を踏むなかれ」と、日本の労働開国に反対してきた。保守派の現実感覚には(アタマの固い右翼や左翼とはちがって)聞くべきものがあるが、わたしはこの人の次のような発言が忘れられない。戦前の日本には朝鮮半島の出身者や中国人がごろごろいたのは、ほんの近過去のことだと指摘して、日本にアジアからの移民労働者がどっと入ってくると「日本人は差別と抑圧の蜜の味を、あっというまに思い出すであろう」とつけくわえたのだ。
あまりのリアリティにわたしはぞくり、とした。そういえば「みんな中流」の大衆社会など、せいぜいここ数十年の経験。使用人を使い慣れない日本人の「中流感覚」など、人権意識でもなんでもない。こんなもの、時代が変わればかんたんにふっとんでしまうだろう。
これは上野千鶴子氏の「国境お構いなし」(あさひ新聞社2003年7月30日 第1刷)の「"It's his business" 階級社会の現実」の章で、上野氏がインド旅行中に知り合いになったブラフマンの女性と共に「リキシャ」
(日本の人力車が語源で自転車で牽く、と紹介されている)に乗った際のエピソードとして言及される。坂道であまりにも前に進まなくなった時に「降りよう」と提案した上野氏に対して、ブラフマンの女性が"It's his business"と、にべもなく言い放ち、これが階級社会というものか、と上野氏は得心した、との下りに続いての記述。だから、「使用人」云々はそういう流れだから出てきた言及。
「日本人は差別と抑圧の蜜の味を、あっというまに思い出すであろう」って、でも、朝鮮半島や中国から来た人が「ごろごろいた」時代に生きていなかった者が「思い出す」訳ではない。まるで、日本人が一体のものであるような記述はどうかと思える。
とはいえ、その時代を知っている者が、例えば「三国人」等と公的な場で発言すれば、その時代に生きていなかった者の中には倣ってしまう者もいるだろう。
また、この「ある保守派論者」の名を見れば、つい、割り引いて考えてしまったりするかもしれない
(ので、姑息にも後回しにしてみた(^^;)
西尾幹二という保守派のおじさんがいる。「国民の歴史」の著者としていちやく有名になり、昔は何をしていた人か忘れられているけれど、もとはドイツ文学者だ。この人はドイツの外国人問題に言及し、「前車の轍を踏むなかれ」と、日本の労働開国に反対してきた。
あ~、あの人かと、この文章を確認したとき、私も思った(^^; この人が「アタマの固い右翼」と違った分類なのか?!とか(爆)。
でも、どうにも印象に残った一節なのだ(誰の発言として紹介されていたのかは忘れてたって訳)。
自分自身に差別感情が無いだなんて脳天気に思えるわけもない。自覚的に、よほど手綱を付けて抑えておかないと、足を取られる可能性があると思えて仕方ないから、気になるのだろうか。身近に、日常的に、複数で多様な海外から来た人達と接する機会がない状況だから
(私は、だけど)、余計に。
国籍法がらみの騒ぎと引用した一節には、あまり直接の関係はないとは思いつつ、ゼノフォビアの表現をたくさん見てしまったせいか想起されてきたようだ。
ちょうど、去年見ていたこんな記事が、なんで今頃か解らないがここ数日引っかかってくるので、なんとなく引用。
オーマイニュース 2007-12-20 11:40
『
「小姐」は現代の従軍慰安婦か 中国人女性を囲う日本人駐在員の実態』 趙 秋瑾氏による記事より;
(略)
実は日本人が買春などを理由に国外追放される事件は、今も中国各地で連日のように起こっている。また、若い中国人女性を愛人として囲うことが、日本人駐在員の間で広く行われていることも、日本ではあまり知られていないようだ。
(大幅に中略、愛人として囲われる若い中国人女性が「小姐」とよばれる、とのこと)
中国駐在の日本人男性たちがこの類の情報交換に使っているインターネットの掲示板がある。(略)
小姐を見下す日本人男性たち
(中略)
私が一番心が痛み、腹が立つのは、日本人男性が中国人小姐を見下す姿勢だ。小姐をほとんど動物並みにしか見ていないことが、書き込まれている言葉の端々から伝わってくる。日本に帰ってからの彼らが日本人女性に対し、同様の姿勢でいるとは思えない。
中国で小姐を囲う行為をしているのが日本人だけではないことは言うまでもない。韓国人も、香港・台湾の人も、そしてお金のある中国人自身もやっている。(中略)
一番の問題解決法は、中国経済が発展して、愛人を囲う「人件費」が値上がりすることだと思うが、その時、本当に日本人男性が小姐を見下す姿勢が変わっているだろうか。また日本人男性が見下しているのは小姐たちだけなのだろうか。
これは上野千鶴子氏の「国境お構いなし」(あさひ新聞社2003年7月30日 第1刷)の「"It's his business" 階級社会の現実」の章で、上野氏がインド旅行中に知り合いになったブラフマンの女性と共に「リキシャ」
(日本の人力車が語源で自転車で牽く、と紹介されている)に乗った際のエピソードとして言及される。坂道であまりにも前に進まなくなった時に「降りよう」と提案した上野氏に対して、ブラフマンの女性が"It's his business"と、にべもなく言い放ち、これが階級社会というものか、と上野氏は得心した、との下りに続いての記述。だから、「使用人」云々はそういう流れだから出てきた言及。
「日本人は差別と抑圧の蜜の味を、あっというまに思い出すであろう」って、でも、朝鮮半島や中国から来た人が「ごろごろいた」時代に生きていなかった者が「思い出す」訳ではない。まるで、日本人が一体のものであるような記述はどうかと思える。
とはいえ、その時代を知っている者が、例えば「三国人」等と公的な場で発言すれば、その時代に生きていなかった者の中には倣ってしまう者もいるだろう。
また、この「ある保守派論者」の名を見れば、つい、割り引いて考えてしまったりするかもしれない
(ので、姑息にも後回しにしてみた(^^;) 西尾幹二という保守派のおじさんがいる。「国民の歴史」の著者としていちやく有名になり、昔は何をしていた人か忘れられているけれど、もとはドイツ文学者だ。この人はドイツの外国人問題に言及し、「前車の轍を踏むなかれ」と、日本の労働開国に反対してきた。
あ~、あの人かと、この文章を確認したとき、私も思った(^^; この人が「アタマの固い右翼」と違った分類なのか?!とか(爆)。
でも、どうにも印象に残った一節なのだ(誰の発言として紹介されていたのかは忘れてたって訳)。
自分自身に差別感情が無いだなんて脳天気に思えるわけもない。自覚的に、よほど手綱を付けて抑えておかないと、足を取られる可能性があると思えて仕方ないから、気になるのだろうか。身近に、日常的に、複数で多様な海外から来た人達と接する機会がない状況だから
(私は、だけど)、余計に。
国籍法がらみの騒ぎと引用した一節には、あまり直接の関係はないとは思いつつ、ゼノフォビアの表現をたくさん見てしまったせいか想起されてきたようだ。
ちょうど、去年見ていたこんな記事が、なんで今頃か解らないがここ数日引っかかってくるので、なんとなく引用。
オーマイニュース 2007-12-20 11:40
『
「小姐」は現代の従軍慰安婦か 中国人女性を囲う日本人駐在員の実態』 趙 秋瑾氏による記事より;
(略)
実は日本人が買春などを理由に国外追放される事件は、今も中国各地で連日のように起こっている。また、若い中国人女性を愛人として囲うことが、日本人駐在員の間で広く行われていることも、日本ではあまり知られていないようだ。
(大幅に中略、愛人として囲われる若い中国人女性が「小姐」とよばれる、とのこと)
中国駐在の日本人男性たちがこの類の情報交換に使っているインターネットの掲示板がある。(略)
小姐を見下す日本人男性たち
(中略)
私が一番心が痛み、腹が立つのは、日本人男性が中国人小姐を見下す姿勢だ。小姐をほとんど動物並みにしか見ていないことが、書き込まれている言葉の端々から伝わってくる。日本に帰ってからの彼らが日本人女性に対し、同様の姿勢でいるとは思えない。
中国で小姐を囲う行為をしているのが日本人だけではないことは言うまでもない。韓国人も、香港・台湾の人も、そしてお金のある中国人自身もやっている。(中略)
一番の問題解決法は、中国経済が発展して、愛人を囲う「人件費」が値上がりすることだと思うが、その時、本当に日本人男性が小姐を見下す姿勢が変わっているだろうか。また日本人男性が見下しているのは小姐たちだけなのだろうか。
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「国籍法改正」は、こんなに大吹き上がりするような問題なのか
もちろん、現行の国籍法のために不利益を被っている方々にとっては大きな問題だ。
そういう方々を軽視するつもりは、まったくございません。
これまで不当な差別を受けていた方々、おめでとうございます。
一歩前進ですね。
で、わしが、「え? 何これ?」
と思っ...
[2008/12/14 17:22]
URL
かめ?