大阪市のベイエリアの西端に、住民が一人もいない六角形の島が浮かぶ。広さは約390ヘクタール、東京ディズニーランド8個分。海を埋め立てて造成された人工島で、かつて五輪開催の夢も託された夢洲(ゆめしま)だ。
昨秋、100人を超える外国人らが大型バスで乗り付けた。2025年大阪・関西万博に参加する各国の代表者らだ。開幕まで2年半を切り、会場となる夢洲の視察に訪れたのだ。
海風が吹き付けるなか、記念撮影をしていた一人が言った。「会場はどこか」。そう思うのも無理はない。会場予定地(約155ヘクタール)の大部分は更地で、万博の影も形もない。パビリオン(展示館)の建設工事はこれから本格化する。
汚名が付いた謎を追う
夢洲では万博に続き、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開業も29年に計画されている。万博会場の建設費やアクセス道路・鉄道の整備費などで3000億円超の公費を投じる巨大プロジェクトが進行中だ。現在は車でしか渡れない夢洲に大阪メトロ中央線が延伸し、梅田駅から30分程度で移動できるようになる。
万博とIR。関西経済の浮沈を懸ける二つの事業は、大阪府と大阪市が誘致を進めてきた。地域政党「大阪維新の会」が府知事・市長の座を占めるようになった11年以降のことだ。改革による成長を旗印にする維新の看板政策でもある。
松井一郎市長(維新前代表)は、夢洲開発の必要性をこんな表現で強調する。「塩漬けになっていた『負の遺産』を有効な資産につくり替える」
負の遺産――。五輪誘致が頓挫し、空き地が広がる夢洲は、こんな汚名でも呼ばれる。一方、ある元市幹部は「昔は負の遺産とは言われていなかった」と証言する。
どうして負の遺産と呼ばれるようになったのか。その数奇な運命を調べようと、夢洲に関する歴史や政治家の言葉を追った。すると、9年前のある出来事に行き着いた。
開発計画の頓挫で「空白地…
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