2025-12-28

メンクリで見た風景

定期的にメンクリに通院しているのだが、最近仕事の都合で曜日を変えたところ、男性の予約患者が多い時間帯に当たるようになった。

心療内科に通院している人々である。全員何かしら悩み、不眠や頭痛などの不調、そして生きづらさを抱えているのは間違いない。

全員精神疾患のある病人であり、障害者として生きている人もいるだろう。言ってみればみな同じ、ある種の弱さを抱えている人たちだ。

それにも関わらず、男性ばかりの待合室で、私はよく覚えのある緊張感を味わっていた。

180cmを超える大柄な中高年の男性が、受付の女性スタッフを明らかに下に見た物言いをしている。一応敬語ではあるのだが、態度は尊大で、まるで物わかりの悪い部下に言い聞かせるように喋る。ペンを出せ、付箋をよこせと当然のように要求する。でかい声で何度も念を押し、ペンを返す時は手渡さずカウンターに転がす。

別の男性は待合室のソファにふんぞり返るように足を広げて座り、クソデカ溜息をついたり、何かを威圧するように貧乏揺すりをしている。他に出入りしていた男性、待合室に座っていたほとんどの男性は受付スタッフに対する態度も常識的だったのだが、「有害男性性」というやつをステレオタイプ体現する人間がその場にわずかにいるだけで、場には嫌な緊張が漂うのだった。

同じ構造は私の働く職場にもある。

私の職場もまた男性マジョリティであるのだが、そういうステレオタイプに当てはまる男性が何人かいる。ある上司威圧的な言動を繰り返し、ひとたび機嫌が悪くなれば物に当たり、舌打ちをし、暴言を吐くため、皆が腫れ物に触るように彼に接している。一人の女性社員は彼のパワハラにより退職に追い込まれたが、「報復が怖いから」と会社に訴えることは最後までしなかった。

別の上司は外見的には厳ついタイプではないのだが、不機嫌になると立場の弱いアルバイト理不尽に怒鳴りつけたりするため、これもまた腫れ物扱いされている。

また別の一人はアルバイト歴の長い実家住みのおじさんなのだが、やたらにプライドが高くイキリがすごい。自分が知らない事があるということを認めたくないのか、知らない話題が出てくると露骨に無言になり不機嫌になったりする。忙しくて思い通りに仕事が進まないと物に当たり、でかい声で怒鳴ったりする。その相手は年下の気弱な男性アルバイトか、年下の女性アルバイトだ。

その他の職場ほとんどの男性普通の、常識的な、加害性のない良い人たちで、彼らのことを「困るよね」と認識してもいる。しかし、実際に被害を受けるのは女性か、立場の弱い男性であり、彼らは無関係であるために見て見ぬフリをしているというのも事実なのである

下手に刺激すれば面倒だというのもわからなくはない。

から威圧的な言動をする一部の男たちは増長するがまま、煙たがられるまま野放しになっているのだ。

「だから全般が悪いのだ」という話をしたいのではない。

だって自分ターゲットにされたくはないので、有害男性性を撒き散らす男がいる場では息をひそめているし、機嫌を損ねないように適当愛想笑いをしたりもする。

連中がやっていることは要するに【(威圧的な態度を取ることで)暴力権力をちらつかせて主導権を握り、自分要求を通す】というものなので、性別を問わずだって巻き込まれたくはないと思うだろう。

メンクリの待合室でも職場でも、それは同じなのだった。威圧的に振る舞う男と、そのターゲットにされる立場の弱い女や年配者、年少者たち。男性マジョリティである状況下で、自分に火の粉が飛んで来ないことを願う私。何ならそれが賢いとさえ思っている私。

誰が悪いとか誰に責任があるとかいう話ではなく、どうしたって構造的にそうなってしまう。

一方で、威圧的な振る舞いをする男というのは、そのために他者から嫌われ、信頼されることもないわけで、だからこそ言う事を聞かれなければ「なめられている」、言う事を聞かれても「本心は違うのではないか」という不信の中にいる。

から尚更威圧的な言動をやめられなくなり、その循環の中で他人の心がどんどん離れていき、孤独になっていく。

心療内科という、誰もが弱さを抱えて訪れる場ですら、そんな光景が展開されているのだった。

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