フクシマの教訓どこに 佐賀の原子力災害拠点施設で一時「電源喪失」

落雷被害があった佐賀県オフサイトセンター=佐賀県唐津市西浜町で2024年12月13日午後3時10分、森永亨撮影
落雷被害があった佐賀県オフサイトセンター=佐賀県唐津市西浜町で2024年12月13日午後3時10分、森永亨撮影

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)で原子力災害が起きた際に対応の拠点となる「佐賀県オフサイトセンター」(同県唐津市)で2023年9月、落雷による停電が2度あり、7日間にわたって電源設備が正常に働かない事態が生じていたことが佐賀県などへの取材で判明した。オフサイトセンターは重大事故時に現地対策本部が置かれる拠点となるが、停電時に災害が起きていれば必要な役割が果たせない可能性もあった。

 11年の東京電力福島第1原発事故では、福島第1原発から約5キロの場所にオフサイトセンターが置かれていたが、地震の影響で通信機器が使えないなど支障が出たため現地対策本部が機能しなかった。

 こうした反省を踏まえて国の原子力施設などの防災対策が見直され、それに基づき内閣府が12年にガイドラインを作ったが、今回の事態で災害への脆弱(ぜいじゃく)さが解消できていない現状が浮き彫りになった。

落雷で「誘導雷」発生

 佐賀県オフサイトセンターを管理する佐賀県などによると、落雷被害があったのは23年9月15日と21日。いずれも近くに雷が落ちるなどして一帯が停電。その際、周囲の電線などに過大な電圧や電流が発生する「誘導雷」が発生した。

 誘導雷の影響で15日午前4時半ごろ、施設内の設備機器などを一元的に管理・制御する中央監視制御装置が故障。自動で非常用発電機に切り替えられなくなったため外部の業者を呼んで手動で切り替え、電源は6時間後の午前10時半ごろに復旧した。

 一方、中央監視制御装置は故障したままで、施設の設備機器の制御や、緊急時の非常用発電機への移行は手動でしか行えない状態が続いた。

 さらに、6日後の21日午前9時ごろの落雷でも誘導雷が発生し、今度は非常用発電機の起動装置が故障し停電。その後、外部からの送電が復旧したため、約2時間後に停電は解消した。

 だが、同日中に業者が来て起動装置を修繕するまで非常用発電機は使えず、中央監視制御装置の復旧もこの日までかかった。

福島事故ではオフサイトセンターが「機能不全」に

 オフサイトセンターを巡っては、福島第1原発事故時に機能しなかった反省を受け、原子力安全委員会(当時)が対策の見直しをするな…

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