衆院政治倫理審査会は17日、派閥裏金事件に関与し、自民党が出席を呼びかけていた15人に対する審査を開始した。同日は旧安倍派の稲田朋美元防衛相ら4人の審査を実施。稲田氏は2022年に安倍晋三元首相から直接、派閥からのキックバック(還流)をやめると聞いたものの、自身にも還流があると確認したのは、23年12月に「事件が報道された後だった」と繰り返した。
裏金事件を巡って衆院政倫審が開催されるのは、旧安倍派で事務総長を務めた下村博文元文部科学相の弁明と質疑があった3月18日以来9カ月ぶり。
稲田氏は審査会の冒頭、「政治に対する信頼を大きく損ね、申し訳ない」と陳謝。派閥パーティー券の販売ノルマは旧安倍派に入会した07年からあったと説明。閣僚経験後のノルマは450万円(パー券1枚2万円)で、新型コロナ禍でノルマが半額だった21、22年にノルマ超過分の還流を受け、計196万円が政治資金収支報告書に不記載となっていたと説明した。
立憲民主党の山岸一生氏は、22年5月に安倍氏から直接、還流をやめると報告を受けた際に「初めて還付の話を知った」とする稲田氏に対し、なぜその時点で自身にも還流があるかを確認したり、22年分の還流を断ったりしなかったのかをただしたが、稲田氏は「その時点で還付が違法だとは思っていなかった」と繰り返した。一方、事務所のパー券販売の担当秘書については還流について「知っていたと思う」と語った。
この日の政倫審には、稲田氏の他に、いずれも旧安倍派の加藤竜祥氏▽小森卓郎氏▽佐々木紀氏――が出席した。衆院政倫審は19日まで3日連続で開催し、萩生田光一元政調会長ら計15人について公開で審議する。参院側は18日に山谷えり子氏ら4人が弁明する審査を公開で行う。議員のみによる傍聴を希望している残り22人と、公開希望に転じた衛藤晟一氏の審査は開催日程を調整している。【飼手勇介】
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