
息子は家に帰るとすぐ、全身をシャワーで洗い流していた。
「気持ち悪い。やられた」。息子は性被害に遭ったと家族に告げた。その相手は、兄や親のように信頼していたバトンチームのコーチだった。
京都府警は4月29日、バトントワリングチームの元コーチ、小城桂馬(こじょうけいま)容疑者(40)を強制わいせつの疑いで逮捕した。2023年2月下旬、自宅のマンションで、当時高校生だった男子選手(19)の体を押さえつけて体を触るなどのわいせつな行為をした疑いがもたれている。
世界の舞台を目指していた男子選手は、優越的な地位にある元コーチからの誘いを断れなかったという。両親が毎日新聞の取材に応じ「(被害を受けて以来)息子がつぶされた、選手としての貴重な1年間は、私たちにとっては10年、20年にも値する」と苦しみを訴えた。
バトントワリングチームの選手の性被害問題を2回に分けて掲載します。
前編 世界目指すバトンチームで性被害 「優越的」なコーチの誘い断れず
後編 「問題を封じるつもりか」 協会前理事長 被害者側に現金押しつけ
バトン界の「神」が設立したチーム
この男子選手は、3歳でバトンを始めた。当時通っていたスクールに、コーチとして教えに来ていたのが小城容疑者だった。小城容疑者は学生時代から国際大会のチーム部門で優勝。大学卒業後は指導者としても活動していた。
バトンの指導だけではなく、子どもたちの世話もしてくれた。男子選手の母親は「お兄さんや親のような存在。信頼していた」と振り返る。
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