一律20%は「金持ち優遇」か 金融所得課税の見直し論加速
毎日新聞
2021/9/23 15:00(最終更新 9/23 15:00)
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「金持ち優遇だ」との批判が強かった金融所得課税の見直し論が加速している。自民党総裁選でも税率を引き上げるべきだとの声が強く、年末の2022年度税制改正議論でも大きな焦点になりそうだ。金融所得課税の何が問題なのか、なぜこれまで見直しの動きが進んでこなかったのか、問題を一から探った。
所得税との違いは?
多くの人になじみ深い税といえば、所得税だろう。会社からもらう給与や商売で稼いだお金に課税され、所得が多くなるほど段階的に税率も高くなる。現在は課税所得195万円未満の税率は5%であるのに対し、同4000万円以上は最高税率の55%(うち10%分が住民税)が課される。お金持ちほど支払う税金が多くなる仕組みだ。
これに対し、株式の譲渡益や配当金など金融取引によって得た利益である金融所得は、給与などの所得とは合算されないうえ、税率は所得や、得た利益に関係なく一律20%(うち5%分が住民税)課税される。財務省は「税負担に左右されずに金融商品を選択できるようにする狙いがある」と説明する。株式などは国境を越えた取引が行われるため、海外への資金逃避を防ぐために税率を低く抑える必要もあったという。03~13年には株価下支えのため10%の軽減税率が適用されるなど、投資家にとって有利な状況が続いてきた。
所得1億円超から有利に
金持ちほど税率が高くなる所得税と、金融取引で得た利益がどんなに多くても税率が変わらない金融所得課税。この二つを組み合わせると、「金持ち」にとって本当に有利になるのだろうか。
国税庁の「申告所得税標本調査」で所得に占める税の負担割合が分かる。累進課税の所得税によって、所得が多くなるほど税の負担割合が増していき、所得5000万円超~1億円では最高の27・9%に達する。しかし、…
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