21日に成立した改正少年法は、事件を起こした18、19歳への厳罰化に対する賛成、反対双方の意見に配慮した内容となり、双方から不満の声が漏れた。政府や裁判所は改正を踏まえた運用の検討を本格化させる方針だ。【山本将克】
「罪に見合った罰を」「未来奪われる」
「少年法の壁にぶつかり、背負いきれない苦しみを抱えさせられてきた」。4月6日の衆院法務委員会。「少年犯罪被害当事者の会」代表の武るり子さん(66)は参考人として、厳罰化が必要との立場で質疑に応じた。
武さんの長男孝和さん(当時16歳)は1996年、他校生徒からの暴行で死亡した。加害者は知らぬ間に少年院に送られていた。真相を知りたいと家裁に掛け合ったが「少年事件だから」と片付けられた。「息子の命はこれほど軽いのか」。少年法は加害者保護に偏り過ぎているとの思いを胸に、厳罰化を訴えてきた。
今回の少年法改正は、選挙権年齢や成人年齢が18歳に引き下げられるのに伴い、少年法の適用年齢も引き下げるべきかどうかで議論が始まった。
だが、少年の立ち直りを重視する立場の弁護士や学者は、引き下げは厳罰化につながると反発した。武さんも加わった法制審議会(法相の諮問機関)では賛否が渦巻いて結論が出せず、双方に配慮する形で、18、19歳は「20歳以上とも18歳未満とも別の扱い」とすることで決着した。
法案の作成段階で適用年齢の引き下げは見送られ、18、19歳は「特定少年」と位置づけられた。武さんは「民法上は18歳から大人になるのに、なぜ罪を犯した時だけ少年なのか。はっきりと『もう大人だよ』と言った方が抑止力になる」と話す。
ただ、成人と同様の刑事処分を相当とする「原則検察官送致(逆送)」の対象は広がり、一定の厳…
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