若さに任せて登りまくってきた著者の結論が、
山は高さではなく、静かさだということだそうだ。
山に登って頂上などの目的地?折り返し地点?昼食場所?に達した時、
そこに先行の登山者がたくさん休憩していていると安心することもあれば、
しんみり一人で何を考えるでもなくボケ~っとしていたい時もあるので
そんな時は誰も居ないほうがいいと思えることも。
逆にあまりに静かすぎて初めての山なんかで一人っきりだと不安になることも。
その時々の気分によって行き先の山を変えたりしているわけなので
必ずしも静かが良いという結論には至っていない未熟者である。
そのヒントを何かしら汲み取ることができるのかどうか、
気になる本である。
まちかど:「山は高さより静かさ」
東松山の元高校教諭・松崎中正さん、長年の登山紀行を一冊に2013/01/16 毎日新聞 地方版 19ページより引用 東松山市在住の元高校教諭、松崎中正(ちゅうせい)さん(78)が半世紀を超える山行の中でしたためてきた
紀行文を収めた著書「静山巡歴」(白山書房)を刊行した。
「山は先のことが見えないから危険なのだが、そこがおもしろく、人生の縮図のようだ。
ツアー登山が盛んだが、それは行く先、すなわち人生を他人に任せているようなものだ」
と語る著者の山登りの哲学も伝わってくる。
松崎さんは県立松山女子高を振り出しに県立川越高などで英語や書道を教えた。
94年に県立川越西高校長で定年退職した後も、脊柱(せきちゅう)管狭窄(かんきょうさく)症による
腰痛に悩まされながら月平均2回程度の山行を重ねている。
1000回に近いその記録と写真を何十冊もの山日誌とアルバムに整理していて、
山岳雑誌の「岳人」「山と渓谷」「山の本」の応募紀行欄などに掲載された文も多い。
「静山巡歴」には96年以降の分から38編を収録した。
「山は高さではなく、静かさ」と結論づける松崎さんの考えから書名をつけた。
「雪の洗礼を受け、ハイマツのある山が好き。
これらは山に厳しさ、美しさを与える」と言う松崎さんが好む中部山岳以北の山々との出合いが、
人との交流のエピソードや、山岳展望や高山植物の写真も交えてつづられている。
松崎さんは川越高に勤務した13年間、山岳部顧問を務め、
生徒たちと1週間程度の南アルプス夏山合宿や八ケ岳冬山合宿などを毎年のように行っていた。
この本の中でも新入生歓迎登山で生徒を率いた谷急山(群馬県)からの下山途中で道に迷った体験を記し、
「事故は絶対に不可だ」と強調する。一方で「土や雪の上に寝て焚(た)き火で炊事するのは貴重な体験だ」と、
山岳部などの活動が人生に果たす効用も指摘している。
「静山巡歴」は今月中旬に発売。263ページ、1785円。