icom 「ID-31」ひと言で遭難といってもいろんなパターンがあり、
かんがえられるリスクを想定をした装備品の準備をして臨むわけであるが、
なんでもかんでも持って行けるものではない。
失敗してからあれを持って来るんだったと後悔しない範囲での必要最小限のモノを持っていく。
それでも人間誰しもミスをするわけで、不覚にも遭難してしまったとして
そのリカバリー対策をどうするかということを考えてみると
生きていて、かつ、足などを怪我して身動きがとれない場合、
食料、水、保温という手段で数日のビパーク対応することができても救出につながるとは限らないわけで、
そこはやはり文明の発達した現在では通信手段に頼るのがいちばんの得策ではないかと思う。
現代ではどうしても携帯電話に頼りがちであり、山岳地帯においても通じる山は多くなってきている。
ただし見通しのある尾根や稜線、ピークに限られる。
携帯電話の電波はせいぜい0.8Wなので、基地局まで電波が届かなければ話にならない。
そこで、古くからあるアマチュア無線が現代でも多いに役立っていると聞く。
アマチュア無線機は送信出力がハンディタイプでも5Wは出せるので単純に6倍である。
つい最近、SoftBankでプラチナバンドが使えるようになったということが話題になった。
これまでSoftBankは2GHzという電子レンジに近い高い周波数帯の電波を使ってきた。
反射はするけど曲がらないし遠くまで飛ばない特性のあった2GHzに加えて
もっと低い周波数である900MHz帯の割り当てが認可されて使えるようになった。
一方、アマチュア無線はというと昔からもっと低い周波帯がいろいろ割り当てられている。
50MHz、144MHz、430MHz、1,200MHzなど。
これらの周波数帯域は携帯電話のそれよりも波長が2~5倍以上も長いという点においても
携帯電話とは比較にならないほど飛距離や交信可能範囲の広さでも優れている。
アマチュア無線には非常通信用周波数というものがあって、
その周波数を不特定多数のどこかの誰かがたいがいワッチ(受信)している事が多い。
さらに現代はデジタルの時代である。
最新のアマチュア無線機にはGPS搭載はもちろんのこと音声がデジタル化され、
D-STARというデジタルレピーター(中継局)を介してインターネットにも接続されており、
直接波だけでなく、山の中から日本全国はもちろん、全世界の無線機とも交信が可能となっている。
誰が今どこに居るかを電子地図上で知ることも容易である。
デジタル機ではコールサインの登録が必要不可欠であるため
アナログ時代のもしもしハイハイのような無免許では使用できない。
ところで実際に山で使用したことがあるのかというと過去に何度かある。
もちろん遭難とかではなくて、他の山に登っている人との交信や
通信テスト(御池岳)等で。
※アマチュア無線機の運用にはアマチュア無線技士免許(終身)と無線局免許状(5年更新)が必要。鈴鹿山系「御池岳」で使用したときは比叡山リピーター等に接続して交信。