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珠玉の名曲たち、クラシック音楽を楽しむブログ。クラシック音楽の楽曲をテーマに、短いエッセーを書いています。

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ヘンデル ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 HWV371:紅茶のおとも

ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ
(1998/02/05)
グリュミオー(アルテュール)

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ヘンデル ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 HWV371(作品1-13)

ブラームスに続き、またもヴァイオリン・ソナタについて書いてみよう。
ヘンデルのヴァイオリン・ソナタの中で最も傑作と言われているのが、このニ長調のソナタだ。
まず、この作品1のソナタ群の中には、本当にヴァイオリンのためのソナタかどうか怪しいものもある。
さらに、ヘンデルのヴァイオリン・ソナタとして演奏されているものの中にも、本当にヘンデルが作ったものかどうか怪しいものもある。
と、このように怪しいだらけの作品が沢山あるのだが、こちらの曲は、ヘンデルの曲でありかつヴァイオリンのための曲というのが、割とはっきりしていると言える。
学者たちの努力によって、様々な角度からそう断言される訳だが、まあ聴く方としてはどうでもいいと思う人もいるし(僕のことだが)、何よりこの曲が持つふんだんな美しさによって、「これぞヘンデルの傑作ヴァイオリン・ソナタだ!」思わず納得してしまう。
それほど弦楽器が奏でる音楽の魅力を引き出すことにこの曲は成功しているのだ。
グリュミオーの演奏を聴いてもらいたい。納得するはずである。

緩-急-緩-急と4つの楽章で構成されている。
1楽章はAffettuoso、愛情を込めてという意味だが、愛情を込めずに演奏出来ようかという程、優雅で伸びやかでしなやかな旋律に魅了される。この一点の陰りも無い美しさには、ヘンデルの晩年の作とされるのも肯ける、深い慈愛さえも感じる。
2楽章のAllegroはヴァイオリンと伴奏の掛け合いが楽しい。伴奏は普通はチェンバロである。チェンバロとヴァイオリンという組み合わせは、どんなことをやっても一気にバロック風になるという魔法の組み合わせだが、特にこの楽章では伴奏に止まらない鍵盤の楽しみにも触れられる。
一転して3楽章はLarghetto、ヴァイオリンがたっぷりと哀愁を帯びた旋律を歌う。目を閉じてじっくりと奏者の音色に耳を傾けたい。そして、時折顔を出すチェンバロの憂いある音列も忘れずに堪能しよう。
4楽章で再びAllegro、ヴァイオリンの紡ぐ途切れのない旋律は、天から与えられたような、無上の美がある。終わってしまうと、もうおしまいかと残念に思うくらい、美しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
10分ちょっとで終わってしまうのが実にさびしい。他のいくつかのヴァイオリン・ソナタと合わせて、じっくりと優雅な時間を過ごすのが、最高の聴き方だろう。
熱い紅茶でも飲みながらだと、相乗効果でどちらもより一層楽しめる。
僕はコーヒー好きで、毎日かなりの量のコーヒーを飲むが、ヘンデルだったら絶対に紅茶が良い。
バッハを聴くよりもずっとずっと、アフタヌーンティーの時間が愛おしくなること請け合いだ。

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ヘンデル 王宮の花火の音楽:歓喜の音楽

Prom at the Palace [Import]Prom at the Palace [Import]
(2002/07/09)
Roberto AlagnaAndrew Davis

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ヘンデル 王宮の花火の音楽 HWV 351

1748年にオーストリア継承戦争が終結し、それを祝う祝賀行事がイギリスで執り行われた。
ヘンデルはドイツ生まれの作曲家で、後にイギリスに移住する。
当時のイギリス国王ジョージ2世は、この祝典(ロンドン・グリーンパークの花火大会)のための曲をヘンデルに依頼した。
国王の意向で、強く逞しい雰囲気を出すため、管楽器と打楽器だけで演奏されたが、ヘンデルは弦楽器も使いたかったようで、現在は弦楽器が入る版が多い。
「水上の音楽」と並び、ヘンデルの中でも人気の高い作品である。
序曲・平和・歓喜の3部構成だったが、後にブレー、メヌエットⅠ・Ⅱと舞曲が加わる。
全体的にお祝いムードにあふれ、それでいて勇壮で品格ある曲調は、バロックならでは、ヘンデルならではのものだ。

管楽版、管弦楽版、ともにそれぞれの良さがあり、どちらがおすすめとも言い難い。
楽しみ方としてはピリオド楽器(当時使われていた古楽器)による演奏を聴く、というのも1つだ。
現在の楽器と比べ、音量・音程・音質ともに不安定な楽器だが、それらを用いて演奏するバロック音楽には、やはり現代の完成度の高い楽器にはない良さがある。
プロが演奏しても音程が狂っていたり、トリルでつまずいたりするが、それもまた魅力に思えてしまう。
現代の楽器を使っていても、構成や奏法にかなり違いがある。
古楽器を用いた演奏、現代楽器でバロックの音の再現にこだわる演奏、当時の祝典のような大規模な楽隊の演奏、と様々だが、共通するのはそこに「歓喜」があることだ。
2002年のエリザベス女王即位50周年記念野外クラシックコンサート、「Prom at the Palace」では、女王も観覧する中、サー・アンドルー・デイヴィスの指揮でこの曲が演奏され、「歓喜」が始まると同時に花火が始まり、観客は正に歓喜の渦に包まれた。
様々な場で、様々なスタイルで楽しまれている、クラシックの「正統派マスターピース」と言えるだろう。

ちなみに、初演の際の花火大会は打ち上げに失敗、さらには火事まで起こし、打ち上げの木造仮設建築が、「ブリタニアに平和を手渡す国王ジョージ2世像」ごと焼け崩れるという非常に残念な結果となっている。
しかし、この曲はちゃんとこうして現代でも演奏されるのだから、音楽というものは偉大だ。

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