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ブルグミュラー 25の練習曲:子どもの芸術世界

ブルクミュラー25の練習曲  全音ピアノライブラリーブルクミュラー25の練習曲 全音ピアノライブラリー
(2008/08/26)
ブルグミュラー

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ブルグミュラー 25の練習曲 作品100

いつかはここにブルグミュラーの記事を載せたいと思っていたのだが、いよいよ登場のヨハン・ブルグミュラー。
ピアノを習った経験のある人なら、この25の練習曲を弾いたという方は多いだろう。
現在はピアノの練習曲しか知られていないが、管弦楽曲やオペラ作品・バレエ作品なども残している。
僕も小さい頃からピアノを習っていたので、ブルグミュラーの練習曲はよく弾いた。初心者向けの練習曲であり、ショパンのエチュードなどと比べるとはるかに容易である。
あまり芸術作品として取り上げられることはないのだが、この練習曲集の曲の可愛らしさは並み大抵のものではない。
音楽教育的な視点で言えば、曲のタイトルと音楽の内容とのリンクが非常に明快であることにより、想像力を持って演奏する楽しさが味わえるようになっていて、特に子どもにとっては非常に良い教育素材と言える。
そういう意味では出版側にはあまりコロコロと邦題を変えないで欲しいものだが、ピアノを習っている子のお母さんなんかが「あら、私が習った頃はこの曲は○○という題名だったのに」なんて言っている場面がよく見られる。これはこれで微笑ましい光景に違いない。
気になるタイトルだが、「貴婦人の乗馬」「せきれい」「天使の声」といった綺麗なイメージを喚起させるものから、「狩」「タランテラ」といった攻撃的なイメージなものまで、また「アラベスク」「バラード」「舟歌」といったより高度な音楽へ繋がる作品もある。
僕のお気に入りは断然「せきれい」。この可愛らしさは言うまでも無いが、よく家の庭にせきれいが遊びに来ていたことも理由だ。「タランテラ」の中間部の美しさ! これは大人になってから気づいたものだ。最後を飾る第25番「貴婦人の乗馬」は、高貴さが漂う乗馬の風景とともに、とうとうこの練習曲集もおしまいか……という喜ばしさと別れ惜しさの感情が入り混じるような。

ここにブルグミュラーを載せることそのものに意味がある、というブログになったような気がする。
バッハやベートーヴェンやモーツァルト、ショパン、マーラー……いわゆる大作曲家たちと、ブルグミュラーという作曲家の名を連ねたかったのだ。
フォスターの記事(記事はこちら)を書いたときも似たような気持ちだった。彼は決して、大作曲家たちに劣らないのだ、と主張したくて書いたと言ってもいいかもしれない。
僕は大の大人がブルグミュラーを練習曲として弾くのを別に悪く言う訳ではないが、やっぱりこれは子どもが弾くのに相応しいものだと思う。
そして、それは子ども(天才小学生ピアニストなどは別にして)が、子どもの世界で精一杯繰り広げる芸術だと思うのだ。
いわゆる練習曲集は数あれど、これだけ美しく、愛らしく、親しみを持てる練習曲集はそうそうない。
そういうことは子どもたち自身には感じられないのかもしれないが、広く芸術の領域を見たときに、この練習曲集は確かに「子どもの芸術世界」の中でもひときわ輝いている。
もしかすると、単なるノスタルジーが僕にこのようなブルグミュラー観を与えているだけかもしれないが、子どもが背伸びして難しい芸術に取り組んでいる様子以上に、子どもたちが弾くブルグミュラーの練習曲は、深い芸術性に満ちあふれているように思う。
大人がショパンの音楽に愛や憂いを見出すように、これは子どもの目に子どもらしく映る子どもの世界を、最大限表現できる音楽だろう。

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