踊る小児科医のblog

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八戸の中学生溺水事故と個人情報保護のあり方

2005å¹´08月08æ—¥ | ã“ども・小児科
各地で公務員の飲酒運転などの不祥事で実名を公表しない「個人情報の過保護」が問題になっています。これは公務員の不祥事とは関係ありませんが、一昨日八戸市内で中学生の溺水事故がありました。

中1男子2人おぼれ重体/八戸(東奥日報)
八戸・大久喜海岸で中学生2人おぼれ重体(デーリー東北) (長期保存されません)

個人情報保護法下では医療機関も警察も家族の許可が得られないと氏名が公表できないのは当然のことです(法律がなくてもこの場合は氏名の公表は必要ないでしょう)。
また、今回は幸い現場に看護師もいて救命処置で自発呼吸が出たということですから、最善の結果を期待したいと思います(当番病院の先生方には集中治療の真っ最中かと思われ頭が下がります)。

ところで、このニュースを昨日の新聞で初めて知って、最初に思ったのは、
「マサカうちの子の同級生じゃないだろうか?」

おそらく、八戸じゅうの中学生を持つ親が同じ心配をしたのではないかと思いますが、デーリーには八戸市内の中学校1年としか書かれていません(東奥日報には「近くの中学」という表現になっているので、ほぼ類推はできますが)。
もちろん、自分の学校ではなければ良いという意味合いではありませんが、まずそう考えるのは親の心理として当然だろうと思います。

これはやっぱり地方ローカルニュースとしては必要な情報ではないか、ちょっと考えてみたいと思います。
もちろん、被害にあわれた方や家族の保護は重要ですが、事故報道にはその重要性に鑑みて必要な情報を社会に伝えていくことが求められるはずです。
もちろん、その判断はケースバイケースでしょう。
しかし、この場合は、既に起きてしまった重大な事故が「あった」ということを伝えるからには、最低限「どこの中学か」ということまで省いてしまったら、その記事を掲載することによって「無用の心配」を市内にひろげるだけではないか。
しかも夏休み中の土日という情報の入りにくいタイミングですから。
(もっと軽い事故ならまた別の判断があってもいいと思いますが)
尼崎の電車衝突事故でも当初被害者の情報が全く出てこなかったために大混乱になったときいています。

と、ここまで書いてから他紙をチェックして気がついたのですが、河北新報には中学名までちゃんと掲載されていました。
中学生2人おぼれ重体 八戸・大久喜海岸 (このページを見るには無料の会員登録が必要です)

同じ地方紙でも、地域密着型のデーリーが一番情報が少なく、県内紙の東奥日報が中くらいで、広域紙の河北が最も情報が多いというのは、どうも順番が逆なような気がします。
この場合は、個人情報保護法の拡大解釈云々というよりも、各紙編集部が判断した「常識的な線引き」の差が出たということなのかもしれません。

個人情報保護と報道の問題がメインになってしまいましたが、遊泳禁止の海岸はこの大久喜もそうだし有名な大須賀海岸もそうですが、離岸流がきつくて毎年のように犠牲者が出ています。子どもたちには何度強調してもし過ぎることはありません。
今回の中学校やご家庭でもそうされてきたはずだと思うのですが。。