踊る小児科医のblog

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2か月もかかった:新型インフル方針転換

2009å¹´06月19æ—¥ | æ–°åž‹ã‚¤ãƒ³ãƒ•ãƒ«ã‚¨ãƒ³ã‚¶
本日やっと「方針転換」のお触れが発せられました。「緩和した」という前回5月22日の通達でも、この狭い国を2つに分けるという非現実的な状態が続いていたのですが、かなり現実に近づいてきました。
メキシコの第一報から2か月近く。GWにはアメリカの様子がほぼわかっていたのに、それからでも1か月半もかかってしまいました。。

内容については報道や下記ページをご覧いただきたいと思いますが、一般の方からみると、インフルエンザ(新型・季節性に関わらず)も、その他の感染症も、これまで通りかかりつけ医に受診すれば良いだけの話しになります。

当院では最初からそのつもりでこれまで通り発熱患者も診察を続けてきたし、これからも同じです。

知っておいてほしいのは、秋からA香港型などとの混合流行になれば、新型インフルエンザは季節性インフルエンザと区別できなくなるし、その必要もなくなってくるということです。
(症状や経過でも検査でも区別はつかないし治療も同じなんだから、分ける意味がないしそんなことは不可能)
一人一人の患者さんが「私は新型なのか旧型(?)なのか」などと心配しても、そんなの知る必要もないし、わからなくなる。

検査は最終的には「定点サーベイランス」だけになっていきます。
まだそれまでの間、どこでどの程度検出されたかという情報には注意が必要ですが、これまでのように第何例とか大騒ぎする必要はなくなります。(元々大騒ぎする必要はなかったのですが)

神戸の発生を受けて、地元医師会のMLに、必ず今回の通達のような態勢になるのだから、それを前提に対策を変更するよう主張してきたのですが、全然受け入れられませんでした。
それで、急病診療所<別院>の発熱外来設置などと報道されているわけです。。

おそらく今回の通達は、感染症対策の専門家が厚労省のお役人を説得して、時間はかかったけどここまでこぎ着けたのだと思いますが、市と医師会はそれでも<別院>設置をとりやめずに万歳突撃するつもりなのか。。

当院では、これまで通りの診療と急病診療所出動(月2回程度)を続けていきます。
かかりつけの患者さんも、これまで通り電話で予約して受診して下さい。

当院で行っている院内感染防止対策(インフルエンザかどうかに関わらず)については、別に書きたいと思います。


医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針(改定版)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/0619-01.html
新旧対照表(PDF:125KB)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/dl/0619-01a.pdf
概要(PDF:296KB)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/2009/06/dl/0619-01b.pdf

藤川ゆり議員への手紙「乳がん予防は禁煙と受動喫煙防止から」

2009å¹´06月05æ—¥ | ç¦ç…™ãƒ»é˜²ç…™
ブログの議事録を読んで意見をメールしようと思ったのですが、アドレスが公開されていないしHPにも送信フォームがないので、記事にトラックバックすることにしました。(こちらの方が、むしろ広く公開されるので意味があるかと思います。)

八戸市議会議員 藤川ゆり様

ブログでがん予防の市議会議事録を拝見しました。
医療・福祉関係に力を入れておられるようで、大変心強く感じました。
一つ気になることがありましたので、意見を届けさせていただきます。

がん予防、特に乳がん予防について、質問でも答弁でも検診や早期発見およびそのキャンペーンが中心となっていましたが、若い女性で急増している乳がんの原因として、若年女性で増加している喫煙の重大な影響が厚労省研究班の研究でも明らかになっています(閉経前女性で3.9倍)。一番下に要点のみ引用しますが、短いものですので是非全文をご覧下さい。
ピンクリボンキャンペーンの最大の疑問はこの点にあります。
タバコには全く触れようとせず莫大な金額で予防キャンペーンを行っていますが、そのうちのごくわずかでも若い女性の喫煙対策に向ければ、多くの命を救うことが可能になります。
乳がんの専門家でも、乳がんは一次予防(発症を減らす)ができないので二次予防(早期発見・治療)しかないと言っている人がいますが、この研究だけでなくその他の文献でも喫煙および受動喫煙の影響は明らかになっております。

また、乳がんに限らず、がん予防対策の最大のポイントはタバコです。がんの1/3はタバコが原因です。
特に肺がんは検診による死亡率低下が全く認められていません。
八戸市や青森県は、タバコ規制対策が世界で最も遅れている日本の中でも、更に後進県であり、最短命県、がん死亡日本一の不名誉な座から脱出するためには、タバコ問題への取り組みが最優先課題と言えます。
この問題についてはメールではお伝えしきれませんが、今後ご理解を深めていただければ幸いです。

私は小児科医ですが、県内で禁煙活動を展開している市民団体の代表も務めています。
(以下は最近の記事ですが参考までに)
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受動喫煙ゼロ目指し、禁煙シンポ(2009年5月31日 東奥日報)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2009/20090531195826.asp
タクシー禁煙など訴え 青森でシンポ50人参加(2009年6月1日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20090531-OYT8T00765.htm
〝無煙社会〟実現を 青森でシンポジウム(2009/06/01 デーリー東北)
http://www.daily-tohoku.co.jp/news/2009/06/01/new0906011103.htm
あっぷるLINK:教育・文化 タクシー全面禁煙化 /青森(2009年6月1日 毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20090601ddlk02040005000c.html
大学・専門学校生の喫煙率21.5%(2009年05月30日 朝日新聞)
http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000000905300001
世界禁煙デーにタクシー全面禁煙化訴え/青森(2009年6月1日 陸奥新報)
http://www.mutusinpou.co.jp/news/2009/06/6830.html
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想像をはるかに超える受動喫煙の被害が明らかになっています。
日常的な受動喫煙によって10~20%の人が亡くなり、屋内禁煙が実施された国では心筋梗塞・狭心症が10~40%も減少しています。
 →受動喫煙とおとなの健康:ファクトシート(日本禁煙学会)
  http://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/200904/index.html#matuzaki

青森県では若い世代の喫煙率が男女とも高く、子どもたちの6~7割は受動喫煙の中で育っていることが県の調査(2007年実施)でも明らかになっています。
特に、母親の喫煙が子どもの命と健康に与える影響は大きく、更にその子どもたちは思春期になって喫煙を始める率が高いという悪の連鎖が生じています。

WHOタバコ規制枠組み条約(FCTC)では、法律によって屋内完全禁煙を実施すべきというガイドラインが日本を含む全会一致で採択されましたが、これを遵守して国民を守ろうという政治家は松沢知事などほんの一握りです。
 →受動喫煙防止ガイドライン(日本禁煙学会)
  http://www.nosmoke55.jp/data/0707cop2.html

京都議定書はこれだけ議論されていますが、同じ国際条約であり命に直結する問題であるFCTCは、国内ではほとんど知られておらず政府もできるだけ触れようとしない状況にあります。
タイでは既にFCTCを遵守して、タバコの陳列販売が禁止されています(棚に隠して売られている)が、日本ではコンビニで未成年にフリーパスで売られているのが実態です。

タバコ税増税やタバコ農家の転作支援もFCTCの条項に取り上げられています。
八戸市ではタバコ農家の転作支援について早急に取り組まなければ、これらの農家を守るのではなく逆に見捨てる事態になります。

タバコ問題は薬害エイズやアスベストなどと同じ構図にあり、諸外国で当然行われている対策を(意図的に)怠り、国民の命よりもお金や経済活動を優先させ続ける政府によって、莫大な命が失われ続けています。(毎年20万人あるいはそれ以上)
タバコの惨禍から国民の命を救えるのは、医療ではなく政治です。

(以下、厚労省研究の引用です)
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喫煙・受動喫煙と乳がん発生率との関係について ―概要―
―厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果―
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/21/tabaco_nyu.html

たばこを吸う女性は、乳がんになりやすい
>たばこを吸うグループでは1.9、つまり乳がんリスクが90%増加

>閉経前の女性では、たばこを吸ったことがあるグループの乳がんリスクは、
>吸わないグループの3.9倍高い

受動喫煙で乳がんリスク上昇
>閉経前の女性では、家庭あるいは職場など公共の場所で受動喫煙を受けていた
>グループの乳がんリスクは、受動喫煙のないグループの2.6倍高い

禁煙を乳がん予防の第一歩に
>今回の研究結果から、乳がん予防の第一歩として禁煙をし、
>さらに受動喫煙を避けることは、乳がん予防に有効であると考えられます。
>もちろん、乳がんだけでなく他の多くの病気を同時に予防できるという理由からも、禁煙のメリットは大きいのです。
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八戸市 くば小児科クリニック 久芳 康朗

★元記事
 →3月の議事録が公開されました① 藤川ゆりブログ [ いちご煮日記 ]
  http://fujikawayuri.sblo.jp/article/29545562.html