「的」──「わたし的には」「個人的には」「将来的には」
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html
テーマトピは下記。
【違和感を感じる表現】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=26592514&comment_count=551&comm_id=125916
当方のコメント[551]を回収しておく。
辞書のサイトは、いつもの『大辞泉』だと下記になる。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E7%9A%84&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=12652300
↓
http://kotobank.jp/word/%E7%9A%84?dic=daijisen&oid=12652300
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
>>[550]
ネット上にどの程度蔓延しているか検索をかけたところ、下記を見つけました。
これは相当ヒドい。個人的には(当方はよく使います)何を言いたいのかまったくわかりません。
〈「彼は『犬も歩けば』的な慣用句を多用する癖がある」「彼の上から物申す的な態度が気になる」のように文や句を受ける用法もある〉……相当微妙で、俗用って気がします。
〈「個人的には~」「将来的には~」などと同じ用法〉……○なの? ×なの?
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/150874/m0u/
================引用開始
てき【的】
[接尾]
1 名詞に付いて、形容動詞の語幹をつくる。
㋐そのような性質をもったものの意を表す。「文学―表現」「詩―発想」
㋑それについての、その方面にかかわる、などの意を表す。「教育―見地」「政治―発言」「科学―方法」
㋒そのようなようすの、それらしい、などの意を表す。「大陸―風土」「平和―解決」「徹底―追求」
2 人名や人を表す語(また、その一部)に付いて、親しみや軽蔑(けいべつ)の気持ちを込めて、その人を呼ぶのに用いる。「取―(=下級の力士)」「泥―(=泥棒)」「幸―(=幸次郎)」
[補説]1は、中国語の「の」の意味に当たる助辞の使い方にならって、明治時代の翻訳文のなかで、英語の‐ticなどの形容詞的な語の訳語に「的」を当てはめたことに始まる。
名詞以外にも、「彼は『犬も歩けば』的な慣用句を多用する癖がある」「彼の上から物申す的な態度が気になる」のように文や句を受ける用法もある。
また最近、「わたし的には~」「ぼく的には~」という若い人が増えて批判の対象となった。これは「わたしは~」「ぼくは~」と直截に言うのを避けた言い方である。「わたしとしては~」「ぼくとしては~」とぼかした表現で、「個人的には~」「将来的には~」などと同じ用法と見てよい。
→方(ほう) →とか
================引用終了
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
これが『大辞林』だと下記のような記述になっている。
http://dictionary.nifty.com/word/%E7%9A%84?dic=daijirin
================引用開始
てき【的】
( 接尾 )
①
名詞およびそれに準ずる語に付いて,形容動詞の語幹をつくる。
㋐
主に物や人を表す名詞に付いて,それそのものではないが,それに似た性質をもっていることを表す。…のよう。…ふう。 「百科事典-な知識」 「母親-な存在」
㋑
主に抽象的な事柄を表す漢語に付いて,その状態にあることを表す。 「印象-な光景」 「積極-に行動する」 「定期-な検診」
㋒
物事の分野・方面などを表す漢語に付いて,その観点や側面から見て,という意を表す。上(じよう)。 「学問-に間違っている」 「事務-な配慮」 〔 (ア)~(イ)は,もと中国,宋・元の俗語で「の」の意味を表す助辞であったものを,明治以降,英語の -tic を有する形容詞の訳語に用いたことに始まる〕
②
人の名前・行為・職業などを表す語,またはその一部に付いて,それに対する軽蔑や親しみの気持ちを表す。 「泥-(=泥棒)」 「取-(=ゴク下位ノ相撲取リ)」 「正(まさ)-(=正雄・正子ナド)」 〔中国の俗語にあったのをまねたもの〕
================引用終了
【問題】にしようと思ったが、あまりにも話が入り組んでいて、どこから手をつけていいのかわからない(泣)。
『大辞泉』の「2」と『大辞林』の②はほぼ同じ。『大辞泉』の「1」と『大辞林』の①もよく似ている。ただし、㋑㋒が逆になっている。この㋐~㋒の分類が適確か否かは、当方には判断できない。
たとえば「個人的(な)見解」はどれなんだろう。「個人らしい見解」と考えれば『大辞泉』の㋒(『大辞林』の㋑)かな。「個人ふうの見解」と解釈するなら㋐かもしれない。まあ、どう分類しても大きな違いはないだろう。問題は『大辞泉』の[補説]の記述。
>名詞以外にも、「彼は『犬も歩けば』的な慣用句を多用する癖がある」「彼の上から物申す的な態度が気になる」のように文や句を受ける用法もある。
たしかにこういう使い方をしないことはない。でも正統派の日本語とは思えない。まだ俗用の範疇じゃないかな。もう少し一般的な言い方に書きかえる。
「彼は『犬も歩けば……』の類いの慣用句を多用する癖がある」
「彼の『上から物申す』という感じの態度が気になる」
後者に関しては、「彼の上から目線の態度が気になる」くらいのほうが(現代では)自然な言い回しかも。「上から目線」も俗用、と主張する人がいたら、逆らう気はない。
問題は「わたし的には~」「ぼく的には~」って言い回しの是非。
>これは「わたしは~」「ぼくは~」と直截に言うのを避けた言い方である。
そのとおりと言っていいだろう。小さなササクレは感じるが、無視する。
>「わたしとしては~」「ぼくとしては~」とぼかした表現で、「個人的には~」「将来的には~」などと同じ用法と見てよい。
「わたし的には~」は俗用だけど「わた(く)しと(いたしま)しては~」はぼかした表現(曖昧表現)で許容範囲、ということならわかる。しかし、「個人的には~」「将来的には~」と「同じ用法」ではないだろう。
百歩譲って、「わた(く)しと(いたしまし)しては~」は「個人的には~」と同じ用法、は同意してもいい。これも賛否あるらしく、決して積極的にオススメできる表現ではないと思う。まぁ、一人称を使うほうが自然だろう。
103)【「個人的」な話……なのかもしれない】2009年12月09日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1359093306&owner_id=5019671
ただ、「将来的には~」は何も問題がないだろう。
「……の実現は、現在の現状では無理だが、将来的には十分可能である」
何が問題なの?
ここで新たな疑問が……(泣)。
「わたし的には~」は言いかえるなら、「わたしは~」「わた(く)しと(いたしまし)しては~」あたりだろう。
「個人的には~」は言いかえるなら、「わたしは~」「わた(く)しと(いたしまし)しては~」あたりだろう。
「将来的には~」は言いかえるなら、「将来は~」「将来には~」だろう。
となると、やはり同類なのだろうか。
【追記】
【「私的には」…“あいまい族”が生み出したお手軽語2012年8月22日】
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20120419/122784/
================引用開始
“あいまい族”のお手軽語
○○的
「私的にはOKです」
「気持ち的にはイマイチです」
■てき【的】〔接尾〕
【語法】近年、「~の上では」「~としては」などの意で、和語に付いて「気持ち的(仕事的、味(あじ)的)には」、代名詞に付いて「わたし的(僕的)には」、また形容動詞語幹に付いて「マニアック的・有効的」などと使われるが、標準的でない。
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / ×
「私的には」という表現には、自分の意見をストレートに言おうとしない逃げの姿勢が感じられる。「意味があいまいになり、聞き手にきちんと伝わらない恐れがありますね。なんでもぼやかす最近の風潮が影響しています。さらに『私としては』『気持ちの上では』『生活の点では』などと表現を使い分ける必要がない便利さも、支持されている理由でしょう」。
○○みたいな
「一緒にやろうよ、みたいな感じで」
■みたいだ〔助動 形動型〕
【注意】話し言葉で、「一緒にやろうよ、みたいなことを言って四人で始めたんです」「謝ればいいんだろう、みたいな態度だったなあ」のように、「といった」や「と言わんばかりの」の代わりに、直接話法を「みたいな」で受ける言い方は、本来は誤り。
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / △
「一緒にやろうよ、みたいな感じで始まったんです」のように、会話文などの引用句を「みたいな」で受ける言い方が最近増えている。しかし、「くだけた場なら許されますが、改まった場で使うと教養がないと思われかねません」。会話を引用するなら「○○という」、例えなら「〇〇というような」「〇〇といった」などの表現を使うのが正しい。
○○かも
「これおいしいかも」
「A案のほうがいいかも」
■かも〔連語〕
【表現】くだけた話し言葉では「かも」を終助詞的に文末に使うこともある。「忘れてるのかも」「そうかもね」
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / ×
「A案のほうがいいかも」は、Aのほうがいいと自分は思っていても、その発言に責任は取りたくない気持ちが含まれている。「おいしいかも」は「おいしい」と主張はしつつも、あいまいにぼかす言い方だ。「この表現は特に女性の間で、だいぶ前からよく使われています。しかし、仕事の場や改まった場では適当ではないでしょう」。
何気に○○
「何気にかっこいいよね」
■なにげない【何げない(何気無い)】〔形〕
【注意】近年「何げなく」「何げなしに」を「何げに」と言うが、誤り。
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / ×
「何気なく」という言葉が「何気に」に変化した。「何気なく」と同意で使われるほか、「さりげなく」という意味も込められる。若者語では「これを何気に渡して」という形でも使われている。「最近では『学校の出席、何気にヤバいぜ』のように『実に』や『すごく』の意味でも使われているようです。若者の隠語めいた使い方で、公の場では許されないでしょう」。
○○げ
「そのバッグよさげじゃん」
■げ〔接尾〕
【語法】近年、「良さげ」「やばげ」など、これまで「げ」の付かなかった形容詞などにも拡張されているが、標準的でない。「×良さげな店(○良さそうな店)」
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / ×
「○○げ」という言葉は、方言が若者の間で使われ、広まった可能性がある。「方言が発祥で、俗語として広まったと思われる言葉はほかにもいろいろあります。方言としては通用しても、標準語として使うと意味が通じないことや、誤りのケースもあるため、気を付けましょう」。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
深澤ジャッジ / △
「近年の若者語は、空気を読む日本人ならではの、物事をあいまいにするものが多い。例えば『おれ的には』という言葉には、おれだけでなく後ろにある自分と似た存在も含みます。『みたいな』もあいまいにしたい気持ちから生まれた言葉。『よさげ』も同じで、『よい』と断定せず、自分が責任を取らなくてもいいようにぼかした表現。『何気に眠いんだけど』も自分の意思とは別に、外部の何かに影響されているニュアンスが込められていますね」。
Adviser
筑波大学 日本語・日本文化学類長
砂川有里子さん
1949年、東京都生まれ。大阪外国語大学大学院外国語学研究科修了、博士(言語学)。専門は日本語学と日本語教育。『明鏡国語辞典』編集委員を務めるほか、『問題な日本語』(大修館書店)では、若者語を中心に執筆している。
編集者・コラムニスト
深澤真紀さん
1967年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。書籍・雑誌・ウェブの企画、執筆などを行う。「草食男子」「肉食女子」の命名者として知られる。著書に『思わず使ってしまうおバカな日本語』(祥伝社新書)など。
================引用終了
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2828.html
テーマトピは下記。
【違和感を感じる表現】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=26592514&comment_count=551&comm_id=125916
当方のコメント[551]を回収しておく。
辞書のサイトは、いつもの『大辞泉』だと下記になる。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E7%9A%84&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=12652300
↓
http://kotobank.jp/word/%E7%9A%84?dic=daijisen&oid=12652300
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>>[550]
ネット上にどの程度蔓延しているか検索をかけたところ、下記を見つけました。
これは相当ヒドい。個人的には(当方はよく使います)何を言いたいのかまったくわかりません。
〈「彼は『犬も歩けば』的な慣用句を多用する癖がある」「彼の上から物申す的な態度が気になる」のように文や句を受ける用法もある〉……相当微妙で、俗用って気がします。
〈「個人的には~」「将来的には~」などと同じ用法〉……○なの? ×なの?
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/150874/m0u/
================引用開始
てき【的】
[接尾]
1 名詞に付いて、形容動詞の語幹をつくる。
㋐そのような性質をもったものの意を表す。「文学―表現」「詩―発想」
㋑それについての、その方面にかかわる、などの意を表す。「教育―見地」「政治―発言」「科学―方法」
㋒そのようなようすの、それらしい、などの意を表す。「大陸―風土」「平和―解決」「徹底―追求」
2 人名や人を表す語(また、その一部)に付いて、親しみや軽蔑(けいべつ)の気持ちを込めて、その人を呼ぶのに用いる。「取―(=下級の力士)」「泥―(=泥棒)」「幸―(=幸次郎)」
[補説]1は、中国語の「の」の意味に当たる助辞の使い方にならって、明治時代の翻訳文のなかで、英語の‐ticなどの形容詞的な語の訳語に「的」を当てはめたことに始まる。
名詞以外にも、「彼は『犬も歩けば』的な慣用句を多用する癖がある」「彼の上から物申す的な態度が気になる」のように文や句を受ける用法もある。
また最近、「わたし的には~」「ぼく的には~」という若い人が増えて批判の対象となった。これは「わたしは~」「ぼくは~」と直截に言うのを避けた言い方である。「わたしとしては~」「ぼくとしては~」とぼかした表現で、「個人的には~」「将来的には~」などと同じ用法と見てよい。
→方(ほう) →とか
================引用終了
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これが『大辞林』だと下記のような記述になっている。
http://dictionary.nifty.com/word/%E7%9A%84?dic=daijirin
================引用開始
てき【的】
( 接尾 )
①
名詞およびそれに準ずる語に付いて,形容動詞の語幹をつくる。
㋐
主に物や人を表す名詞に付いて,それそのものではないが,それに似た性質をもっていることを表す。…のよう。…ふう。 「百科事典-な知識」 「母親-な存在」
㋑
主に抽象的な事柄を表す漢語に付いて,その状態にあることを表す。 「印象-な光景」 「積極-に行動する」 「定期-な検診」
㋒
物事の分野・方面などを表す漢語に付いて,その観点や側面から見て,という意を表す。上(じよう)。 「学問-に間違っている」 「事務-な配慮」 〔 (ア)~(イ)は,もと中国,宋・元の俗語で「の」の意味を表す助辞であったものを,明治以降,英語の -tic を有する形容詞の訳語に用いたことに始まる〕
②
人の名前・行為・職業などを表す語,またはその一部に付いて,それに対する軽蔑や親しみの気持ちを表す。 「泥-(=泥棒)」 「取-(=ゴク下位ノ相撲取リ)」 「正(まさ)-(=正雄・正子ナド)」 〔中国の俗語にあったのをまねたもの〕
================引用終了
【問題】にしようと思ったが、あまりにも話が入り組んでいて、どこから手をつけていいのかわからない(泣)。
『大辞泉』の「2」と『大辞林』の②はほぼ同じ。『大辞泉』の「1」と『大辞林』の①もよく似ている。ただし、㋑㋒が逆になっている。この㋐~㋒の分類が適確か否かは、当方には判断できない。
たとえば「個人的(な)見解」はどれなんだろう。「個人らしい見解」と考えれば『大辞泉』の㋒(『大辞林』の㋑)かな。「個人ふうの見解」と解釈するなら㋐かもしれない。まあ、どう分類しても大きな違いはないだろう。問題は『大辞泉』の[補説]の記述。
>名詞以外にも、「彼は『犬も歩けば』的な慣用句を多用する癖がある」「彼の上から物申す的な態度が気になる」のように文や句を受ける用法もある。
たしかにこういう使い方をしないことはない。でも正統派の日本語とは思えない。まだ俗用の範疇じゃないかな。もう少し一般的な言い方に書きかえる。
「彼は『犬も歩けば……』の類いの慣用句を多用する癖がある」
「彼の『上から物申す』という感じの態度が気になる」
後者に関しては、「彼の上から目線の態度が気になる」くらいのほうが(現代では)自然な言い回しかも。「上から目線」も俗用、と主張する人がいたら、逆らう気はない。
問題は「わたし的には~」「ぼく的には~」って言い回しの是非。
>これは「わたしは~」「ぼくは~」と直截に言うのを避けた言い方である。
そのとおりと言っていいだろう。小さなササクレは感じるが、無視する。
>「わたしとしては~」「ぼくとしては~」とぼかした表現で、「個人的には~」「将来的には~」などと同じ用法と見てよい。
「わたし的には~」は俗用だけど「わた(く)しと(いたしま)しては~」はぼかした表現(曖昧表現)で許容範囲、ということならわかる。しかし、「個人的には~」「将来的には~」と「同じ用法」ではないだろう。
百歩譲って、「わた(く)しと(いたしまし)しては~」は「個人的には~」と同じ用法、は同意してもいい。これも賛否あるらしく、決して積極的にオススメできる表現ではないと思う。まぁ、一人称を使うほうが自然だろう。
103)【「個人的」な話……なのかもしれない】2009年12月09日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1359093306&owner_id=5019671
ただ、「将来的には~」は何も問題がないだろう。
「……の実現は、現在の現状では無理だが、将来的には十分可能である」
何が問題なの?
ここで新たな疑問が……(泣)。
「わたし的には~」は言いかえるなら、「わたしは~」「わた(く)しと(いたしまし)しては~」あたりだろう。
「個人的には~」は言いかえるなら、「わたしは~」「わた(く)しと(いたしまし)しては~」あたりだろう。
「将来的には~」は言いかえるなら、「将来は~」「将来には~」だろう。
となると、やはり同類なのだろうか。
【追記】
【「私的には」…“あいまい族”が生み出したお手軽語2012年8月22日】
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20120419/122784/
================引用開始
“あいまい族”のお手軽語
○○的
「私的にはOKです」
「気持ち的にはイマイチです」
■てき【的】〔接尾〕
【語法】近年、「~の上では」「~としては」などの意で、和語に付いて「気持ち的(仕事的、味(あじ)的)には」、代名詞に付いて「わたし的(僕的)には」、また形容動詞語幹に付いて「マニアック的・有効的」などと使われるが、標準的でない。
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / ×
「私的には」という表現には、自分の意見をストレートに言おうとしない逃げの姿勢が感じられる。「意味があいまいになり、聞き手にきちんと伝わらない恐れがありますね。なんでもぼやかす最近の風潮が影響しています。さらに『私としては』『気持ちの上では』『生活の点では』などと表現を使い分ける必要がない便利さも、支持されている理由でしょう」。
○○みたいな
「一緒にやろうよ、みたいな感じで」
■みたいだ〔助動 形動型〕
【注意】話し言葉で、「一緒にやろうよ、みたいなことを言って四人で始めたんです」「謝ればいいんだろう、みたいな態度だったなあ」のように、「といった」や「と言わんばかりの」の代わりに、直接話法を「みたいな」で受ける言い方は、本来は誤り。
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / △
「一緒にやろうよ、みたいな感じで始まったんです」のように、会話文などの引用句を「みたいな」で受ける言い方が最近増えている。しかし、「くだけた場なら許されますが、改まった場で使うと教養がないと思われかねません」。会話を引用するなら「○○という」、例えなら「〇〇というような」「〇〇といった」などの表現を使うのが正しい。
○○かも
「これおいしいかも」
「A案のほうがいいかも」
■かも〔連語〕
【表現】くだけた話し言葉では「かも」を終助詞的に文末に使うこともある。「忘れてるのかも」「そうかもね」
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / ×
「A案のほうがいいかも」は、Aのほうがいいと自分は思っていても、その発言に責任は取りたくない気持ちが含まれている。「おいしいかも」は「おいしい」と主張はしつつも、あいまいにぼかす言い方だ。「この表現は特に女性の間で、だいぶ前からよく使われています。しかし、仕事の場や改まった場では適当ではないでしょう」。
何気に○○
「何気にかっこいいよね」
■なにげない【何げない(何気無い)】〔形〕
【注意】近年「何げなく」「何げなしに」を「何げに」と言うが、誤り。
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / ×
「何気なく」という言葉が「何気に」に変化した。「何気なく」と同意で使われるほか、「さりげなく」という意味も込められる。若者語では「これを何気に渡して」という形でも使われている。「最近では『学校の出席、何気にヤバいぜ』のように『実に』や『すごく』の意味でも使われているようです。若者の隠語めいた使い方で、公の場では許されないでしょう」。
○○げ
「そのバッグよさげじゃん」
■げ〔接尾〕
【語法】近年、「良さげ」「やばげ」など、これまで「げ」の付かなかった形容詞などにも拡張されているが、標準的でない。「×良さげな店(○良さそうな店)」
※明鏡国語辞典
砂川ジャッジ / ×
「○○げ」という言葉は、方言が若者の間で使われ、広まった可能性がある。「方言が発祥で、俗語として広まったと思われる言葉はほかにもいろいろあります。方言としては通用しても、標準語として使うと意味が通じないことや、誤りのケースもあるため、気を付けましょう」。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
深澤ジャッジ / △
「近年の若者語は、空気を読む日本人ならではの、物事をあいまいにするものが多い。例えば『おれ的には』という言葉には、おれだけでなく後ろにある自分と似た存在も含みます。『みたいな』もあいまいにしたい気持ちから生まれた言葉。『よさげ』も同じで、『よい』と断定せず、自分が責任を取らなくてもいいようにぼかした表現。『何気に眠いんだけど』も自分の意思とは別に、外部の何かに影響されているニュアンスが込められていますね」。
Adviser
筑波大学 日本語・日本文化学類長
砂川有里子さん
1949年、東京都生まれ。大阪外国語大学大学院外国語学研究科修了、博士(言語学)。専門は日本語学と日本語教育。『明鏡国語辞典』編集委員を務めるほか、『問題な日本語』(大修館書店)では、若者語を中心に執筆している。
編集者・コラムニスト
深澤真紀さん
1967年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。書籍・雑誌・ウェブの企画、執筆などを行う。「草食男子」「肉食女子」の命名者として知られる。著書に『思わず使ってしまうおバカな日本語』(祥伝社新書)など。
================引用終了