助詞の話──「ノ」と「ガ」 Yahoo!知恵袋
下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【5】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1669912728&owner_id=5019671
mixi日記2011年03月18日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1691851574&owner_id=5019671
テーマサイトは下記。
【ニュースのアナウンス「の」「が」?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1157901266
質問文を一部加工して転載する。
================================
今ニュースで、「市の用意したバス」とアナウンサーが言いました。
それでふと思ったんですけど、
「市の用意したバス」
「市が用意したバス」
この二つって、何がどう違うんですか?
================================
とっくに書いたと思ったが、見つからない。書いてみよう。
助詞の話はあまり踏み込みたくないのでサラリと書く。
とりあえず辞書をひく。『大辞泉』の記述はわかりにくいので、『大辞林』にする。
■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AE&dtype=0&dname=0ss&stype=1&index=115246000000&pagenum=1
================================
の
1 (格助)
[2]従属句の主格・対象語格を表す。
ぼく―読んだ本
お酒―飲みたい人
折節―移りかはるこそ、ものごとに哀なれ〔出典: 徒然 19〕
================================
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8C&dtype=0&dname=0ss&stype=1&index=102907300000&pagenum=1
================================
が
1 (格助)
体言および体言に相当するものに付く。
[1]主格を表す。古語では従属節の主格表現にのみ使用されたが、中世の頃より用法が広まり、一般に主格を表すのに用いられるようになる。
ぼく―やります
花―美しい
先生―書いた本
兼行―書ける扉〔出典: 徒然 25〕
================================
表現は微妙に違うけど「主格を表わす」ってことでいいだろう。
意味も用法もほぼ同じ。ニュアンスの微妙な違いを指摘する人もいるが、無視していいと思う。
「が」を使うほうが意味が強くなる、なんて主張する人もいる。そういう傾向があるかもしれない。でもそれは「が」のほうが音の響きが強いだけって気もする。
そういうビミョーなニュアンスの違いを考えるより、もっと重要なことがあるのでは。
↑の例を見ても、「が」を使っても「の」を使っても同じようなもの。ただ、まったく同じというわけではない。ちょっとした違いを見ていく。古文と現代文で微妙に違うが、基本的に現代文に限定する。
1)単純な文だと「ノ」は使いにくい
↑の例文を見ればわかる。「ノ」の例文は「ガ」にもできるが、逆はできないものがある(単純な所有を表わす「僕ノ本」などは別の話)。
1)-1 ぼく〈ノ/ガ〉読んだ本
1)-2 お酒〈ノ/ガ〉飲みたい人
1)-3 ぼく〈ガ/X〉やります
1)-4 花〈ガ/X〉美しい
1)-5 先生〈ガ/ノ〉書いた本
ところが、1)-3や1)-4も、もう少し言葉を加えると自然になる。
1)-3 ぼく〈ガ/ノ〉やった仕事
1)-4 花〈ガ/ノ〉美しい地方
理由を説明すると大変なことになる。「こういうものだ」と考えるほうがいい。
2)前後の助詞によって使い分けるべき
意味も用法もほぼ同じだから、都合のいいほうを使えばいい。とくに前後の同様の助詞がある場合は、重複を避けるほうが自然な文になる(重複しても間違いではないが、わかりにくくなる)。
2)-1 これがぼくノ読んだ本です○ これがぼくガ読んだ本です△
2)-2 このお酒ノ飲みたい人いますか△ このお酒ガ飲みたい人いますか○
下記の場合はどうするか。
このお酒〈ノ/ガ〉飲みたい人がいる
この場合はどちらでもいいと思うが、当方なら「ヲ」にする。
以下は本題を離れたヨタ話になると思う。
3)「ノ」が目立つ文では「ガ」を使うほうがいい
「ガ」が連続する文が不自然なことはすぐにわかるが、「ノ」は目立たないせいか、連続して使われることが多い。「ガ」にできるものはしたほうがいい。単なる経験則で根拠はないが、「ノ」の連続は2回までにするほうが無難。3回になると異和感が生じる。
3)-2 この新潟のお酒ノ飲みたい人いますかX
この新潟のお酒ガ飲みたい人いますか○
4)個人的には原則的に「ガ」を使う
個人的には、前後の助詞の制約がないなら「ガ」を使うようにしている。
とくに「お酒〈ノ/ガ〉飲みたい人」の場合なら、「ガ」を使う。
これは「ガ」と「ヲ」の使い分けに近いものがある。
195【「ガ」か「ヲ」か──「本ガ読める」か「本ヲ読める」か】2010年05月07日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1205.html
5)話し言葉だと「ノ」を使うことも
4)と矛盾するようだが、話し言葉だと「ノ」を優先させることがある。「ガ」はどうしても音が汚い印象がある。言葉として強い印象もある。
本題に戻って、アナウンサーが「ノ」を使ったのも、これと同じような意識が働いたのかもしれない。
6)所有を表わす「ノ」と「ガ」
これは本題とはまったく関係がないので、また今度(笑)。
この現象は「ガノ交替」などと呼ばれ、かの三上章が命名したものらしい。
そこまではわかったが、ネット検索しても本格的な論文しか出てこない。何が書いてあるかわかんないよー。
https://www.google.com/search?sca_esv=55a27dbe3d9f4d2d&rlz=1C5CHFA_enJP933JP935&sxsrf=ADLYWIJy3HPQP6mdjrJfGtZtK4SsrQctGg:1724851736474&q=%E3%82%AC%E3%83%8E%E4%BA%A4%E6%9B%BF&spell=1&sa=X&ved=2ahUKEwiluKu45ZeIAxVee_UHHbOiNeoQBSgAegQICxAB&biw=1782&bih=996&dpr=1.6
ただ、はっきりした違いを示したものが見つからないことはわかる。だから同じようなものだって。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【5】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1669912728&owner_id=5019671
mixi日記2011年03月18日から
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1691851574&owner_id=5019671
テーマサイトは下記。
【ニュースのアナウンス「の」「が」?】
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1157901266
質問文を一部加工して転載する。
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今ニュースで、「市の用意したバス」とアナウンサーが言いました。
それでふと思ったんですけど、
「市の用意したバス」
「市が用意したバス」
この二つって、何がどう違うんですか?
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とっくに書いたと思ったが、見つからない。書いてみよう。
助詞の話はあまり踏み込みたくないのでサラリと書く。
とりあえず辞書をひく。『大辞泉』の記述はわかりにくいので、『大辞林』にする。
■Web辞書(『大辞林』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%AE&dtype=0&dname=0ss&stype=1&index=115246000000&pagenum=1
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の
1 (格助)
[2]従属句の主格・対象語格を表す。
ぼく―読んだ本
お酒―飲みたい人
折節―移りかはるこそ、ものごとに哀なれ〔出典: 徒然 19〕
================================
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8C&dtype=0&dname=0ss&stype=1&index=102907300000&pagenum=1
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が
1 (格助)
体言および体言に相当するものに付く。
[1]主格を表す。古語では従属節の主格表現にのみ使用されたが、中世の頃より用法が広まり、一般に主格を表すのに用いられるようになる。
ぼく―やります
花―美しい
先生―書いた本
兼行―書ける扉〔出典: 徒然 25〕
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表現は微妙に違うけど「主格を表わす」ってことでいいだろう。
意味も用法もほぼ同じ。ニュアンスの微妙な違いを指摘する人もいるが、無視していいと思う。
「が」を使うほうが意味が強くなる、なんて主張する人もいる。そういう傾向があるかもしれない。でもそれは「が」のほうが音の響きが強いだけって気もする。
そういうビミョーなニュアンスの違いを考えるより、もっと重要なことがあるのでは。
↑の例を見ても、「が」を使っても「の」を使っても同じようなもの。ただ、まったく同じというわけではない。ちょっとした違いを見ていく。古文と現代文で微妙に違うが、基本的に現代文に限定する。
1)単純な文だと「ノ」は使いにくい
↑の例文を見ればわかる。「ノ」の例文は「ガ」にもできるが、逆はできないものがある(単純な所有を表わす「僕ノ本」などは別の話)。
1)-1 ぼく〈ノ/ガ〉読んだ本
1)-2 お酒〈ノ/ガ〉飲みたい人
1)-3 ぼく〈ガ/X〉やります
1)-4 花〈ガ/X〉美しい
1)-5 先生〈ガ/ノ〉書いた本
ところが、1)-3や1)-4も、もう少し言葉を加えると自然になる。
1)-3 ぼく〈ガ/ノ〉やった仕事
1)-4 花〈ガ/ノ〉美しい地方
理由を説明すると大変なことになる。「こういうものだ」と考えるほうがいい。
2)前後の助詞によって使い分けるべき
意味も用法もほぼ同じだから、都合のいいほうを使えばいい。とくに前後の同様の助詞がある場合は、重複を避けるほうが自然な文になる(重複しても間違いではないが、わかりにくくなる)。
2)-1 これがぼくノ読んだ本です○ これがぼくガ読んだ本です△
2)-2 このお酒ノ飲みたい人いますか△ このお酒ガ飲みたい人いますか○
下記の場合はどうするか。
このお酒〈ノ/ガ〉飲みたい人がいる
この場合はどちらでもいいと思うが、当方なら「ヲ」にする。
以下は本題を離れたヨタ話になると思う。
3)「ノ」が目立つ文では「ガ」を使うほうがいい
「ガ」が連続する文が不自然なことはすぐにわかるが、「ノ」は目立たないせいか、連続して使われることが多い。「ガ」にできるものはしたほうがいい。単なる経験則で根拠はないが、「ノ」の連続は2回までにするほうが無難。3回になると異和感が生じる。
3)-2 この新潟のお酒ノ飲みたい人いますかX
この新潟のお酒ガ飲みたい人いますか○
4)個人的には原則的に「ガ」を使う
個人的には、前後の助詞の制約がないなら「ガ」を使うようにしている。
とくに「お酒〈ノ/ガ〉飲みたい人」の場合なら、「ガ」を使う。
これは「ガ」と「ヲ」の使い分けに近いものがある。
195【「ガ」か「ヲ」か──「本ガ読める」か「本ヲ読める」か】2010年05月07日
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1205.html
5)話し言葉だと「ノ」を使うことも
4)と矛盾するようだが、話し言葉だと「ノ」を優先させることがある。「ガ」はどうしても音が汚い印象がある。言葉として強い印象もある。
本題に戻って、アナウンサーが「ノ」を使ったのも、これと同じような意識が働いたのかもしれない。
6)所有を表わす「ノ」と「ガ」
これは本題とはまったく関係がないので、また今度(笑)。
この現象は「ガノ交替」などと呼ばれ、かの三上章が命名したものらしい。
そこまではわかったが、ネット検索しても本格的な論文しか出てこない。何が書いてあるかわかんないよー。
https://www.google.com/search?sca_esv=55a27dbe3d9f4d2d&rlz=1C5CHFA_enJP933JP935&sxsrf=ADLYWIJy3HPQP6mdjrJfGtZtK4SsrQctGg:1724851736474&q=%E3%82%AC%E3%83%8E%E4%BA%A4%E6%9B%BF&spell=1&sa=X&ved=2ahUKEwiluKu45ZeIAxVee_UHHbOiNeoQBSgAegQICxAB&biw=1782&bih=996&dpr=1.6
ただ、はっきりした違いを示したものが見つからないことはわかる。だから同じようなものだって。