25歳という若さで、将来のJリーグ入りを目指す「おこしやす京都AC」の新社長に就任した添田隆司氏。東京大学サッカー部出身者としては史上2人目のJリーガーとなった添田氏は、自身も現役時代にプレーしたこのクラブをどのように進化させようとしているのか。添田氏へのインタビュー後編では、同氏が目指すクラブの将来像や、これから解決すべき課題について伺った。(聞き手:上野直彦=スポーツジャーナリスト、久我智也)
プロスポーツクラブは良質な人材輩出機関になる
おこしやす京都は、(1)「スポーツ×教育」京都を日本一の人材輩出都市に、(2)「インバウンドJクラブ」スポーツを通じて京都と世界をつなぐ、(3)「スマホメディア」日本一のSNS媒体の構築、という3つのビジョンを掲げています。それぞれの意図と、具体的な取り組みについて教えてください
添田 前提として、この3つのビジョンは今後クラブのステップが上がっていく中で段階的に実現させていくものです。現時点では取り組めていない部分もありますので、その前提でお話します。
まず(1)については、そもそもプロスポーツクラブは、とても良い教育機関になれる組織だと考えています。というのも、一般的に小学校から中学、高校と進む際、一貫校でない限りは一気通貫した教育はできません。でもスポーツクラブであれば、それが可能です。しかもトップチームを持っている場合、子供だけでなく大人になってからも教育を受けることができます。そうした環境があれば、クラブがしっかりとした哲学や理念を持っていれば、とても良い人材輩出機関になります。
京都という土地は世界でも有数の人気観光地であり、同時に日本随一の学術都市でもあります。そうした地域で、例えば生徒の3分の1は外国籍の子供を集めたアカデミーを作れば子供たちに多様性を身につけてもらうことができますし、学校などとも連携した取り組みを展開していくことは、すごく意義があると感じています。今の段階で具体的に動きがあるわけではありませんが、いずれは学校を持ったり、提携をしたりということは視野にも入れています。