各種ベンダーの新製品の取り扱いを重点化
最新鋭物流拠点を軸に
120万点以上の品揃えで
顧客の注文に即応
マウザー・エレクトロニクス
グローバルセールス&サービス担当上級副社長
トム・ブッシャー氏

各種ベンダーの新製品の取り扱いを重点化
マウザー・エレクトロニクス
グローバルセールス&サービス担当上級副社長
トム・ブッシャー氏
半導体部品や電子部品をオンラインで提供するマウザー・エレクトロニクス。注文に即応できる豊富な在庫、部品メーカーの新製品をいち早く在庫し、自動化された物流センターから即日出荷する戦略は業界で高く評価され、日本でも利用が増えている。同社グローバルセールス&サービス担当上級副社長のトム・ブッシャー氏とアジア太平洋地域(APAC)を統括するダフネ・ティエン氏に訊いた。
—企業概要を教えてください。
ブッシャー 当社は半導体デバイスおよび電子部品を扱う正規代理店・ディストリビューターです。創業は1964年。今ではビジネスは28カ国に広がり、お客様は65万人、1200以上の製品ブランドを取り扱い、グローバルで屈指のディストリビューターにまで成長を遂げました。
—半導体ディストリビューターの中での強みを教えてください。
ブッシャー 第一に、お客様からのどのようなご注文にも速やかに対応できる在庫の豊富さです。当社の物流センターには120万品種以上の半導体デバイスや電子部品を常時在庫しており、その総額は40億ドル近くに達します。これが欠品を抑えられる要因であり、パンデミックのときも豊富な在庫によって混乱を最小限に抑えることができました。
もう一つの強みは、最新の半導体デバイスをいち早く使いたいと考えるエンジニアやイノベーターのお客様のご要望に速やかに応えられるように、各部品メーカーの新製品の取り扱いを重視していることです。NPI(New Product Introduction)戦略と呼ぶこの取り組みは、当社の成功の原動力になっています。NPI製品は我々の売上高のうち20%程度を占めています。
—物流拠点は米国テキサス州にあるそうですね。
ブッシャー 1983年にダラス・フォートワース国際空港にほど近いテキサス州マンスフィールドに自社の物流センターを開設しました。その後拡張を行い、ワールドワイドのすべてのオペレーションを集約しています。2024年には、物流センターの大規模な拡張工事が完了し、170万平方フィート(約15万7940平方メートル)以上の延べ床面積となる倉庫スペースができることになります。
当社は物流センターの自動化に多額の投資を行っており、縦型シェルフを上下に行き来するVLM(垂直リフト・モジュール)は世界最大規模の439台まで増設予定です。様々な設備やテクノロジーの導入で、荷受けや梱包、出荷など物流業務の自動化に努めています。従業員がよりスマートに働けて、最終的にはオンラインでのご注文から出荷までのさらなる時間短縮を目指しています。
—2024年のビジネスを振り返っていかがでしたか。
ブッシャー 業界としては、サプライチェーンにおける過剰在庫による景気後退からの回復途上です。AI、産業向け分野およびメモリ、受動部品、コネクタのような一部の製品カテゴリーに期待しており、半導体事業では、OEM工場やEMS、量販店の在庫水準が高いため依然として苦戦しています。当社は引き続きパートナー企業と緊密に協業し、在庫水準を健全に保ち、グローバルでのサービス・サポート体制をさらに強化することで、業界リーダーとしての地位を引き続き確保してまいります。
また、世界経済には地政学的な出来事とともに若干の減速が見られますが、当社の顧客数は増加しています。それもNPI戦略や在庫の品揃え維持といった、お客様へのコミットメントの結果だと考えております。
ティエン APACで見ると、ほとんどの国や地域が依然として需要の低迷と在庫過多に苦しんでいますが、インド、ベトナムに加えオーストラリアでの活発なエンジニアリング活動により、若干のプラス成長が見られます。
2024年は、ファクトリーオートメーションや、スマート・マニュファクチャリング、産業用IoTなどの産業向けアプリケーションと、以前から注力しているAI、eモビリティ分野、電源管理などの需要拡大に応じた取り組みを強化してきました。一つの例が当社のウェブサイト上にある「オンライン・テクニカル・リソース・センター」です。エンジニアやバイヤーを含むお客様に最新の情報を提供し、商品購入だけでなく、最新技術やアプリケーションに関する見識を深めていただくためのものです。また、商品検索や購入を効率的に行えるように、各種ツールも提供しています。
—日本市場を含めたアジアの状況を教えてください。
ティエン APACの事業は米州・EMEA含めた3つの地域の中でも景気後退や需要減、地政学的な問題などから一番強い影響を受けています。しかし、チャイナ・プラス・ワン政策によって南アジア地域では事業拡大が進んでおり、今後さらに加速する予定です。日本市場では、パンデミックの影響で電子部品を含めたネット通販が急激に普及し、まさに当社のビジネスモデルに合致しています。まだ馴染みがない地方に向けて、さらなる普及を目指していきます。
—2025年の展望や日本市場に対する取り組みをお聞かせください。
ティエン 業績は第2四半期から第3四半期にかけて持ち直すと予想しています。当社は日本のお客様のサポートに引き続き注力していくために、日本の商習慣も踏まえながら、当社のサービスをより多くの皆様にご紹介していきたいと思います。まだまだ道のりは長いと思いますが、今後もサービス向上に励んでまいります。
ブッシャー 地政学的な問題や自然災害の増加は、サプライチェーンの確立において大きなリスクになり得ます。2025年も在庫を十分確保するように投資を進めるとともに、防衛・航空宇宙、EVをはじめとする自動車、輸送機器および産業機械などの成長分野向けの部品を中心に、メーカー各社と協力しながらサプライチェーンの安定化に努めていきます。加えて、物流センターのいっそうの自動化を進めて機能を拡張し、より多くのお客様に最高クラスのサービスを提供いたします。
最新の部品を、日本を含む世界中のエンジニアの皆様にお届けするためにも、日本の部品メーカーとさらに緊密な関係を築きながら、引き続き日本のお客様の成功を全力でサポートしていきます。
マウザー・エレクトロニクス バイスプレジデント アジア太平洋地区マーケティング&事業開発担当のダフネ・ティエン氏
お問い合わせ
マウザー・エレクトロニクス
〒108-0073 東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル24F TEL:0120-954-837
URL:https://www.mouser.jp/
サービス&ツール:https://www.mouser.jp/servicesandtools