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ビーチサイドの人魚姫
俊樹

2019年9月Nikon D700で一眼レフデビュー。カメラは独学。2020年4月、Nikon D810へアップグレード。いつか写真展を開く為、日々精進。勿論、詩、小説、エッセイ、作詞は継続中。2021年夏、Nikon Z7Ⅱへと更にアップグレード。2022年10月、3回目の心臓手術に耐え抜き現在に至る。2023年8月ペースメーカー植え込み。

大銀杏が最も似合う横綱(千代の富士を偲んで)。

2016年08月10日
スポーツ 10
千代の富士

 子どもの頃、大鵬・柏戸は絶対に死なないと思っていた。「あんなに強いお相撲さんが死ぬわけない」。この二人の力士は当時の子どもたちにとっては憧れの存在であったし、大人になったら大鵬みたいに強くなりたい…と眼をキラキラと輝かせていた。
 そんな幼い記憶が蘇って来る突然の訃報だった。「あの千代の富士が亡くなった?」「そんな馬鹿な、あんなに元気だったのに…」。この訃報を聞いて、殆どの人がそう思った筈である。
 鍛え抜かれた鋼鉄の肉体美にパワーとスピードで、並み居るライバル力士たちを次々と撃破し、昭和の大横綱として相撲界に頑然と輝いた第58代横綱千代の富士。精悍な顔付きと獲物を射るような鋭い眼光で、いつしか「ウルフ」と呼ばれ、相撲ファンのみならず、国民的人気を得るほどの存在であった。
 最も記憶に残っている一番はなんと言っても千代の富士VS大乃国である。連勝街道まっしぐらの横綱にライバル無しとまで言われていたが、それほど千代の富士の強さが際立っていた時期でもあった。
 千代の富士53連勝で迎えた昭和63年九州場所の千秋楽、4度目の全勝優勝と連勝記録更新の一番。その場所、大乃国は10勝4敗と横綱らしからぬ場所であったため、誰もが千代の富士の54連勝と4度目の全勝優勝を疑うはずもなかった。
 然し、横綱としての大乃国の意地が千代の富士の猛進を食い止めたのである。土俵際、重い大乃国の巨体を力まかせに「うっちゃり」に出ようとしたところに、大乃国が身体を預けるように寄り倒して千代の富士を下した。思わず土俵に尻もちを付いてしまった千代の富士に対し、手を差し出した大乃国座布団が飛び交う館内を去って行く両力士の姿が印象的であった。
 余談ではあるが私が生まれる10年ほど前、祖父の貞一が元気で健在だった頃、藤枝の実家が力士専用の旅館を営んでいた時期があった。箪笥の引き出しを開けると、古ぼけた番付表が何枚も出て来た。幼い私にはなんと書いてあるのか分からなかったが、四股名だと直感で分かった。千代の山、東富士、羽黒山などその当時の土俵を賑わせていた力士たちの数々。大きな組み込み式の食器棚には伊万里焼とも九谷焼とも思えるような大きな皿が所狭しと並んでおり、一体誰がこの食器を使ったのだろうと疑問に思い、父に尋ねてみると「関取専用の旅館をやっていたんだよ」と教えてくれた。
 食器の数の多さはそれで納得出来た。当時の人気力士の一人である「栃錦」が、弟子たちを大勢連れて泊まりに来たそうで、裏の家に住んでいた「博ちゃん」は、栃錦に抱っこされて風呂に入ったそうである。
 栃錦のライバルと言えば栃若時代を築いた若乃花であるが、千代の富士をスカウトした千代の山もまたライバルの一人であった。
  昨年6月1日に60歳となり、還暦土俵入りで久しぶりの土俵であったが、横綱のシンボルとも言える大銀杏こそなかったが、その勇姿は引退後も身体を鍛え続けている様が伺われ、現役時代を彷彿とさせる力強い四股であった。その約一年後、すい臓がんに侵され、僅か61歳でこの世を去るとは誰が想像出来ただろうか…。鋼の肉体も病魔には勝てなかった、土俵の神は微笑んでくれなかったのである。
 きっと今頃は空の彼方で北の湖理事長と冗談を交わしながら、日本の相撲界を見守ってくれているに違いない(合掌)。

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俊樹
この記事を書いた人: 俊樹
本名/神戸俊樹
静岡県藤枝市出身。
19歳の時に受けた心臓手術を切っ掛けに20歳から詩を書き始める。
2005年3月詩集天国の地図を文芸社より出版、全国デビューを果たす。
うつ病回復をきっかけに詩の創作を再開。
長編小説「届かなかった僕の歌」三部作(幼少編・養護学校編・青春編)父を主人公にした(番外編)を現在執筆中。
詩、小説、エッセイ、作詞など幅広く創作。
2019年9月、一眼レフデビュー。Nikon D700を使用。
2020年4月、Nikon D810にアップグレード。
2021年夏、ミラーレス一眼 Z7Ⅱへと更にアップグレード。
2022年10月3度目となる心臓手術を受け、大成功を収める。
2023年8月徐脈性心房細動で心停止(失神)したため、ペースメーカーを植え込む。

コメント10件

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つれづれ

No title

残暑お見舞いもうしあげます。

2016年08月10日 (水) 08:08

みゆきん

No title

千代の富士は凄かった
早すぎる死
歴史に残る大横綱だったね
病気は怖い
人の死ってあっけないです
俊樹さんもご自愛下さいね

2016年08月10日 (水) 16:13

野津征亨

No title

こんばんは。
人の死というのは、いつやってくるか判らないものですね。
わたしもつい先日、祖父を亡くしたばかりなので、余計にその思いが強いです。
故人の冥福をお祈り申し上げます。

2016年08月10日 (水) 20:09

koyuri

あまりに若く

逝ってしまったのが、残念でなりません。

やはり厄年ってあるんだなと思います。

2016年08月10日 (水) 23:21

sado jo

No title

千代の富士…体中から闘志があふれ出ている様な横綱でしたね~
そんなに大きくは無い体躯でしたが、あんなに技にキレのある横綱を見たのは初めてでした。
ご冥福をお祈りいたします(合掌)

2016年08月11日 (木) 15:13

かみかわ

大相撲

八百長ガチンコ ありせしも 短き命 力士の定め 現役の 権力抗争 制せども 理事長目指す 夢は叶わず

2016年08月12日 (金) 23:40

つれづれ

No title

残暑お見舞い申し上げます。お元気ですね。

2016年08月14日 (日) 03:14

ネリム

No title

こんばんわ
千代の富士のご冥福をお祈りします。

2016年08月14日 (日) 21:55

マムチ (TAKA)

No title

こんにちは

千代の富士・・残念で仕方ありません>_<
ご冥福をお祈りします。
俊樹さんは体調の方は大丈夫ですか?
暑い日が続いてエアコンや冷たい飲み物などで体調を崩しやすいので気を付けて下さいね(^-^)/

2016年08月16日 (火) 14:39

purotoko

No title

お早うございます。
すいぶん若くしてなくなられて残念です。
ご冥福をお祈りします。

2016年08月19日 (金) 04:53

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  •  元横綱千代の富士の九重親方、秋元貢(あきもと・みつぐ)さんが31日、死去した。61歳だった(朝日新聞)。 あまりにもショックだ。 私が相撲を見始めた ...

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    2016.08.10 (Wed) 08:16 | ぼけ~~~っと人生充電記!
  • 合掌。

    2016.08.10 (Wed) 06:07 | つらつら日暮らし