初優勝!そして大関へ。
横綱・白鵬の体が土俵下に落ちた瞬間だった。館内はどよめきと幾枚もの座布団が乱舞し、関脇・照ノ富士の初優勝が決まった。
連日『満員御礼』の垂れ幕が下ろされる大相撲夏場所、両国・国技館で行われた千秋楽は、史上最多の8力士による優勝決定戦の可能性もあり、相撲ファンを大いに喜ばす場所でもあった。愛嬌のあるキャラクターで人気のある照ノ富士は、優勝のかかった碧山戦も慌てる事なく自分の相撲を取りきり、難なく寄り切りで下した。
優勝を意識するとなれば、百戦錬磨の横綱でさえ緊張しそのプレッシャーに動きも堅くなり、平常心での相撲を取る事は難しい。先場所、白鵬を破り13勝2敗と好成績を残し、最も波に乗る力士の筆頭でもあるが、恵まれた体格と物怖じしない大器は、母国モンゴルで培われて来たものなのかも知れない。
結びの一番で白鵬を下した日馬富士は、絶好調とは程遠い今場所で、自身も優勝から遠ざかっていた事もあり、同部屋の照ノ富士を是が非でも優勝させたかったに違いない。
日馬富士の援護射撃がなかったら、優勝の行方はどうなってたいただろう…。8力士による優勝戦も見たかったと思うのは私だけではないはず。それにしても、初日で土が着いた白鵬は大記録を前にしてそのプレッシャーに敗けてしまったのだろうか。
いつもの力強い磐石な相撲を取るその姿は影を潜め、相手のまわしを取る事にすら手こずっていたように思う。初日の躓きが千秋楽まで尾を引き、白鵬らしさが出なかった場所でもあった。いずれにしろ、照ノ富士が白鵬のライバルになる事は間違いないだろうが、優勝戦線に日本人力士の姿を見られないのは実に淋しい限りである。
優勝と同時に大関昇進も手にいれた照ノ富士の今後の活躍で、大相撲は更に盛り上がる事だろう。日本人力士にとってこれが発奮剤となり良い影響を与えてくれるものと期待する。
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