相撲人生、がぶり寄り!。
並み居るモンゴル勢を次々と撃破し、日本人力士としては10年ぶりとなる初優勝を果たした大関・琴奨菊。1月10日に幕を開けた大相撲初場所、この時点で琴奨菊の優勝を誰が予想出来ただろうか。
相撲解説者でさえこの優勝は予想外だったに違いない。順当に行けば、白鵬、日馬富士、鶴竜ら横綱による優勝争いとなり、そこに食い込んで来るのは大関・稀勢の里あたりと初場所の展開を読んでいただろう。
おそらく琴奨菊の過去の勝敗を顧みれば、角番を幾度となく経験し大関の地位を保つのがやっとと言う状況で、優勝とはかけ離れた蚊帳の外だったかも知れない。然し、いざ場所が始まり白星を積み重ねて行く琴奨菊に対し、解説者や視聴者も俄然その快進撃に目を見張った。
鋭い踏み込みと前に出る相撲、そして得意の『がぶり寄り』と自信に溢れた琴奨菊は闘神が舞い降りたかのように生まれ変わっていた。圧巻は最強の横綱と言われる白鵬との一戦だった。
両者が土俵の中央でぶつかった瞬間、顔を左に背けた白鵬、その時点で勝負は着いていたのかも知れない。それほど琴奨菊の当たりが強かったのだ。そして琴奨菊が一気に攻め込み、一瞬にして白鵬は土俵を割った。どちらが横綱なのか分からないほど、白鵬は何も出来ないまま敗れた。
13日目に豊ノ島に『とったり』で敗れ全勝優勝は逃したものの、この一敗が初優勝へと更に導いたと私は見ている。もちろん全勝優勝が悲願である事に変わりはないし、本人もこの一敗にかなり悔しがっていたが、ある意味その悔しさがバネになり優勝へ後押ししたとも見て取れる。
それにしても3場所優勝から遠ざかっている白鵬に陰りが見えて来たと誰もが思っているのではないだろうか。既に30歳を超え、体力的にも衰えが生じるのは致し方ない事であるし、相撲界にも新しい大きなうねりが起き始めているのかも知れないが、これまで相撲人気を牽引して来た白鵬に取って代わるニューリーダー的存在の力士がそう簡単に現れるとも思えない。
次の春場所はいよいよ日本人横綱誕生の期待が大きく膨らむ土俵になるが、1月場所の勢いがそのまま次の場所でも発揮出来れば、1998年の若乃花以来、18年ぶりの日本人横綱誕生となる。
昨年11月に亡くなった、北の湖・前理事長も天国で琴奨菊の優勝に顔を綻ばせ大喜びしているに違いない。
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