青い踊り子。
前回のネモフィラは『青い妖精』と表現したが、今回は『踊り子』にしてみた。ライトアップされたお花畑はそこに咲く花たちのステージでもある。それは劇場でスポットライトを浴びながら踊るダンサーと同じだろう。その花の持つ魅力を如何に引き出し彼女たちをヒロインに仕立て上げるか、その作業こそが撮り手に問われる大きな課題でもある。
舎人公園のネモフィラは昨年、初めて訪れネモフィラ畑が何処にあるのか分からず広い公園内をグルグル歩き回ってしまった。1年前に記事に上げているので覚えてくれている読者も多いかと思う。あの時は見事なまでに美しい夕陽を浴びて青い花がより一層美しさを増して咲いていた情景が瞼に焼き付いている。今回は『花と光のムーブメント』と題して、約1ヶ月間のライトアップイベントが開催されていた。
私が訪れたのはGWに入る少し前の4月26日。GW中は多くの人たちがイベントを見に来るだろう事は予想出来たので早目に行ってみたが、それでもかなり多くの人が同じ目的を持ってネモフィラを撮影していた。何処を切り取っても人物が映り込んでしまう状態だったので、撮影ポイントを決めるのに苦労した。天候は曇りであまり良くはなかったが、ライトアップされたネモフィラを撮るのが目的だったので、明るい内はウォーミングアップ程度で済ませた。辺りに夜の影が囁き出し花畑の地面に設置された小さなLED電球が一斉に輝きだすと、園内から「ワァー、キレイ!」とどよめきの声が上がった。
浮間公園で大活躍したタムロンの望遠レンズはこの暗い中では役に立たず、単焦点レンズのZ40mmf2での撮影となった。地面スレスレの低い位置からのアングルで、ファインダーを覗いての撮影はさすがに無理でモニターを見ながらであったが、私は眼鏡をしていても少し離れるとぼやけて鮮明に見えない。カメラマンとしては致命的ではあるが、後は勘とカメラの性能に任せシャッターを切った。
撮れた写真を確認すると、何とも妖艶な幻想的・神秘的とも言える世界が広がっており、前回のネモフィラの時と同じように撮影の疲れもすっかり忘れて、意気揚々と帰宅の徒に着いた。
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