沈む夕陽に別れを告げて。
10月もそろそろ下旬に差し掛かった頃、秋桜を撮るため浜離宮恩賜庭園へと向かった。ところがキバナコスモスは生い茂る様に咲いていたのだが私の目的だったピンク色の秋桜は何処を見渡しても咲いておらずすっかり意気消沈し、早々に庭園を後にした。時間的に暗くなるまでには十分余裕があったので庭園からかなり近い所に築地大橋があるため、気持ちを切り替え橋へと向かった。橋の中央辺りまでは長い緩やかな上り坂なのだが、これが私にとってはかなりキツイ。息切れと早まる鼓動を鎮めつつやっと中央に辿り着いた。隅田川を行き交うクルーズ船に向けてシャッターを切った。コロナが蔓延していた頃は隅田川からクルーズ船の姿が消え川面から寂しい波の音だけが虚しく木霊していた。
そんな数年前の出来事が嘘のようにクルーズ船が波を切って勢いよく走って行く。まるで通勤時間帯の電車のようにひっきりなしに行き交っている。そんな日常の穏やかな風景をカメラに収めていた時だった。勝どき方面から一人の男性がやって来た。褐色の肌と精悍な顔付き。ひと目で日本人ではない事は分かった。私の前を見向きもせず通り過ぎ少し行った所で立ち止まり、スマフォをかざして撮影を始めた。夕陽が西に沈みかけ辺りに一日の終りを告げ始める。これはシャッターチャンスだと思い彼の横顔にピントを合わせパシャリと一枚。夕暮れの中に佇む男性、異国の風に吹かれて何を想っているのだろう。
彼は私から5m以上離れた所に立ち東京湾に沈みゆく夕陽を眺めていた。その夕日に照らされ褐色の精悍な彫りの深い顔がより一層際立っていた。撮影許可を取らずいきなりだったので、撮影後直ぐに彼の傍に行き撮ったphotoを見せると大変喜んでくれた。「Where are you from?」とへったくそな英語で質問すると「タイから来ました」と日本語の返事にびっくり。そこからは日本語での会話となった。彼はMello君といい、明日タイへ帰国すると言う。日本語がとても上手なので何度も日本へ来ているのだろうと思った。タムロンの300mm望遠レンズだったのでかなり離れた場所からの撮影。焦点距離は260mm、絞り6.3、シャッタースピードは1/100。ポートレートには単焦点レンズがオススメのようだが離れた場所からの撮影が出来る望遠レンズも良いものだと分かった。欲を言えば1.8位の明るいレンズであれば夜の撮影でも三脚なしで撮れるだろう。
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