大日本帝国憲法の主権は天皇にあるという内容には明治維新を実現した士族の価値観が大きな影響を与えたと言えるのでしょうか？

はい、大日本帝国憲法における天皇主権の規定には、明治維新を実現した士族層の価値観が大きく影響していたと言えます。 明治維新を主導した薩摩・長州・土佐・肥前などの外様大名家の下級・中級武士たちは、「尊王攘夷」の思想を掲げ、天皇を中心とした国家体制の構築を目指していました。彼らの多くは、江戸時代を通じて培われた武士道精神や忠誠心、儒教的価値観を強く持っていました。 特に以下の点で士族の価値観が憲法に反映されています： ・天皇への忠誠：武士の主君への忠誠という価値観が、国民全体の天皇への忠誠という形に拡大されました ・家父長制的秩序観：武士社会の階層的秩序意識が、天皇を頂点とする国家体制として再構築されました ・伊藤博文や井上毅など憲法起草に関わった人物の多くが士族出身であり、彼らの価値観が反映されました ただし、大日本帝国憲法は単に伝統的価値観だけでなく、プロイセン憲法など西洋の立憲君主制の要素も取り入れた複合的なものでした。士族の価値観を基盤としつつも、近代国家としての体裁を整えるために西洋の制度も参考にされたという点も重要です。