2025-11-27

映画ヒックとドラゴン(実写版)を見た。

いや~これはよくないですよ。

ただ最高の食材を最高のシェフが最高の調理をしただけの作品92点。

ちなみに原作小説アニメも未履修。これが初のヒックとドラゴンになりマス。

 

映像もいいし、脚本台本もいいし役者もいいし基本的にはほとんど言うことない。

ヒック役の人、繊細そうなイケメンでいい役者やわ~と思って調べたら17歳らしい。

きたる20代というハリウッド暗黒期間をうまいこと乗りこなしてほしい。

 

まずドラゴントゥースとヒックの触れ合いの繊細さがいいよね。

トゥースがどう見ても猫みたいや羽生えたイモリなんだけど、黒いぬめっとした皮膚感がリアルだし、ちょうどキモいカワイイ中間くらいでよき。仕草や態度でどんどんかわいく見えてくるのは腕やなぁ。

捕らえたところを殺そうとするも解放する→餌を持っていく→自身武装解除する→同じものを食べる→何度も餌を持っていく→触ろうとする→拒否される→目をそらして触ろうとする→触れる→お絵描きを一緒にするという非常に煩雑且つリアルな対動物懐かせプロセスを踏んでいていい仕事してるなと思った。特にこのファーストタッチで目を逸らすのがねぇ細かすぎてねぇ。野生の戦場においては目を逸らすっていうのは全面降伏なわけですよ。すべての抵抗を諦めますっていう。だからこそ、トゥースも身を委ねてくるっていう、これね!

ヒックの罠で尾翼の片方を損傷して飛べなくなったトゥースのためにヒックは人工翼を製作トゥースに乗ってフットペダルで翼を操作し飛行できるように訓練を行う。ここでどんどんヒックとトゥースの絆が深まっていくし、空飛ぶシーンの躍動感がすごい。これ映画館で見たかったわ~。

いろんなポジションを図解して思いのままにトゥースを操縦できるようになったヒックだったが、事故トゥースが操縦不能状態に陥る。その混乱の中、図解を投げ捨てトゥースに身を委ねマニュアルではなく心で「共に飛ぶ」展開も完璧すぎて鳥肌が立った。俺は今データを捨てるぞ!!(負けフラグ)

あとヒロインめっちゃ嫉妬するトゥースかわいい

 

ヒックは力こそパワーのヴァイキングの長の息子だけどひ弱で繊細。なのでヴァイキングの連中からバカにされている。俺はみんなと同じになれない別の方法で力になりたいと思いながらも、実際には同じになることに憧れている。この世界にはドラゴンマジでウジャウジャいて家畜を求めて定期的に村を襲撃し、ヴァイキングはそれに抗いドラゴンと戦いながら生きている。

 

ヒックは一人前のヴァイキングとして認められるための試練に挑むんだけど、これが「捕えられている試練用のドラゴン戦闘で御していく」試練になっていて、対策とかも提示されていてゲーム感覚でめちゃくちゃわかりやすい。デブ、女戦士チャラ男双子の6人で共に挑むんだけど、1周目の戦闘ではヒックは何の役にも立てない。雑魚からしょうがないね

しかトゥースとの触れ合いの中でヒックは戦闘方法以外のドラゴン習性を学びそれを活かして2周目の試練を戦闘以外の方法ドラゴンを御すことで攻略していく。触れ合いで相手理解することで戦いは回避できるのではないかという教訓を教訓臭くなくエンタメとして提示できているのは強い。

そしてその試練の過程を経てヒックは徹底的にバカにしていた若手のヴァイキングから強い信頼を得ていくことになる。ここで弱いながらも「力で厄災を制圧していく旧世代」と「理解で厄災と共存する新世代」のゆるく提示され、旧世代の長の父と、新世代のリーダーのヒックという構図がうっすらと示されるのもよい。

 

遠征から戻った父が息子の活躍を聞き歓喜するもその方向性は「お前もドラゴンスレイヤーとして立派な長になれ」というものであり、ヒックの価値観とは対立し、母の形見で作った「武力象徴である兜をヒックに託す。

そしてドラゴン試練の最終戦、初めて父が見守る前でドラゴン対峙するヒックは武装放棄し、父から継承した武力象徴である兜を投げ捨てる。多くの旧世代の前で「ドラゴン敵対すべき存在ではない」と示そうとするが、価値観否定された父は激昂、敵意をむき出しにしその結果ドラゴンを怒らせヒックは危機に陥る。

トゥースがヒックを救いに闘技場に乗り込み救出に成功するが逆にヴァイキングに捕えられ拘束され、ドラゴンの島への案内役にされてしまう。

ドラゴンたちはドラゴンたちで島のクソデカ長(女王蜂)に支配されており、女王蜂に捧げるために獲物を奪いに来ていたことがわかる。このあたりも強権で力で部族支配するヴァイキングの旧世代組と寄せた構図になっていて非常にわかやすい。

 

そしてトゥースを救い、ドラゴンの島へ向かった旧世代を救うために訓練生組は訓練用ドラゴンに乗って島へ向かう胸圧展開。しかドラゴンもこう見るとデブ、狂暴、チャラ、双頭と訓練生と対になってるのもニクい。ただここは個人的にはちょっと性急だなって感じるところで、お前らの間にそんな絆なかったやろってなったかな。もっと訓練生と訓練用ドラゴンの触れ合いパートいっただろ。まぁ、それ入れるとこの共に征こうのシーンのインパクト薄れるから難しいけどさ。

 

で、まぁいろいろあってヒックは父親に認められ父親ドラゴンが憎むべき敵だけじゃないことを理解してトゥース解放、クソデカドラゴンをぶっ倒すもヒックは片足を失ったのでした。おわり。ってなるんだけど、ここの大スペクタクル感は本当にすごい、絶対映画館で見るべき。俺?11インチタブレットで見ました(半ギレ)。

 

個人的にこの片足失うエンドは割と微妙だなと思っていて。もろちん片翼を失ったトゥース対応していてトゥースの片翼となっていたヒックと同じように、これからはヒックの片足にトゥースはなっていく。2人(1人と1匹だけど)で1人の完全球極体になったって表現なのは痛いほど理解できるんだけども。

作中の論理としては弱いかなって。

作中ではヒックはラストバトルで父親に認められたことですべてを手に入れて丸く収まっていた。トゥースともカンペを捨てる展開を経て心身一体の状態になっているので、ヒックが足を失うことで得るものがないんだよね。不具になることで部族の長として完全なる戦士にはなれないってことかもしれないけど、ヒックの師匠義手義足鍛冶屋だけど族長から圧倒的な信頼を得ているからそこまで大きなハンデにも見えない。なにより戦士ではないヒックを父親が認めちゃってるしね。

展開としては美しいラストだと思うんだけど、なんかこうもうちょっとうまいコネクトなかったかなって思った。

 

でもエンタメ作品としては間違いなく見て損する人誰もいないレベルの出来だと思うし、お子様の教育にもいいと思うので全盛期のディズニーくらいのパワーを感じた。やっぱハリウッドはすげぇや。

オススメアニメ版も見てみようかな。

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