きく2号
名称:技術試験衛星II型「きく2号」/Engineering Test Satellite-II(ETS-II)
小分類:技術開発・試験衛星
開発機関・会社:宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
運用機関・会社:郵政省電波研究所
打ち上げ年月日:1977年2月23日
運用停止年月日:1990年12月10日
打ち上げ国名・機関:日本/宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げロケット:N-I
打ち上げ場所:種子島宇宙センター(TNSC)
国際表記番号:1977014A
きく2号は、日本で初めての静止衛星です。静止衛星の打ち上げ技術の確立や、追跡管理技術、軌道保持、姿勢保持技術などの習得と宇宙での通信試験を目的として打ち上げられました。軌道制御により静止衛星となった後は、ミリ波の電波電搬実験がおこなわれました。
きく2号はスピン安定方式で姿勢を制御し、設計寿命は基本機器1年、搭載用実験機器6ヵ月というものでした。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
直径約140cm、高さ約90cmの円筒形で、上面にメカニカル・デスパンアンテナを搭載しています。重量は約130kg(静止軌道上所期)です。
搭載している主要なミッション機器は、Sバンドトランスポンダ(P&RR測定用)、伝播試験用発信機(Sバンド、12GHz、35GHz)です。
2.どんな目的に使用されるの?
静止衛星打上げの技術と追跡管制技術の習得、軌道保持と姿勢保持技術の習得、メカニカル・デスパンアンテナ(MDA)の試験、伝播実験用発信器の試験に使用されました。
3.宇宙でどんなことをし、今はどうなっているの?
静止衛星軌道投入後、軌道上における衛星の機能確認実験を行ない、5月8日には初期段階を終了し所定の機能、性能を保っていることが確認されました。その後、定常段階に移行し、郵政省電波研究所における伝播実験を開始。8月22日に所定のミッションを達成して定常段階を終了しました。1990年12月10日にすべての運用を終了し、静止軌道外に移動させました。
4.このほかに、同じシリーズでどんな機種があるの?
きく、きく3号、きく4号、きく5号、きく6号、きく7号(おりひめ・ひこぼし)、きく8号があります。
きく2号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 19:41 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動技術試験衛星II型「きく2号(ETS-II)」 | |
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所属 | NASDA |
主製造業者 | 三菱電機 |
公式ページ | 技術試験衛星II型「きく2号(ETS-II) |
国際標識番号 | 1977-014A |
カタログ番号 | 09852 |
状態 | 運用終了 |
目的 | 静止衛星技術の習得 通信機器試験 |
設計寿命 | 1年(基本機器) 6ヶ月(ミッション機器) |
打上げ場所 | 種子島宇宙センター大崎射場大崎射点 |
打上げ機 | N-Iロケット3号機(N3F) |
打上げ日時 | 1977年2月23日17:50 |
軌道投入日 | 1977年3月5日 |
運用終了日 | 1990年12月 |
物理的特長 | |
本体寸法 | ⌀1,413mm×936.6mm |
最大寸法 | 約1.6m(アンテナ間) |
質量 | 254kg(打ち上げ時) 130kg(静止軌道上初期) |
発生電力 | 75W |
主な推進器 | アポジモータ 二次推進系 |
姿勢制御方式 | スピン安定方式 |
軌道要素 | |
周回対象 | 地球 |
軌道 | 静止軌道 |
静止経度 | 130度 |
近点高度 (hp) | 35,780km |
遠点高度 (ha) | 35,790km |
軌道傾斜角 (i) | 9.3度 |
軌道周期 (P) | 1436分 |
ミッション機器 | |
MDA | メカニカルデスパンアンテナ |
Sバンドトランスポンダ(R&RR測定用) | |
伝播試験用発信機(Sバンド、12GHz、35GHz) | |
打ち上げ環境測定器 |
きく2号(英語: Engineering Test Satellite - II、ETS-II)は宇宙開発事業団 (NASDA) が打ち上げた日本初の静止衛星(技術試験衛星)である。
目的
静止衛星の打ち上げ、追跡管制、軌道保持、姿勢保持に関わる技術の取得、通信衛星用通信機器の宇宙環境における試験を目的として開発された。
開発
1971年度に高々度衛星(HAS-A/B)として概念設計を行い、1972年度に技術試験衛星II型として予備設計を行った。それらの結果から1973年度にはメーカーの選定を行い、基本設計及びエンジニアリングモデル(EM)の製作を開始した。1974年度には基本設計審査、詳細設計、詳細設計審査を実施し、プロトフライトモデル(PFM)の製作にとりかかった。PFMは1976年2月から同6月までシステム認定試験を実施し、その後筑波宇宙センター(TKSC)に予備機として保管された。フライトモデル(FM)の製作は1976年2月から開始し、6月から受け入れ試験を実施、10月30日TKSCに納入され、11月初めに種子島宇宙センターへ輸送された。
運用
1977年2月23日にN-Iロケット3号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた[1]。打ち上げ後25分に静止トランスファ軌道(GTO)に投入され、3回の姿勢変更の後、2月26日に第7遠地点付近でアポジモータに点火、ドリフト軌道へ投入された。その後、衛星の姿勢を軌道面にほぼ垂直まで引き起こし、4回の軌道制御を実施、3月5日に最後の軌道制御を行い東経130度付近の静止軌道へ投入され、日本初の静止衛星となった。打ち上げ時には環境データの取得が行われた。また、GTOやドリフト軌道上でSバンドでの距離測定、メカニカルデスパンアンテナの動作確認が行われた。
静止軌道投入後3月下旬までは衛星の機能確認が行われ、4月中旬には電波伝播実験用送信機の連続動作試験、4月下旬に電波伝播予備実験を実施した。5月下旬からは郵政省電波研究所においてミリ波帯での電波伝播実験が開始された。
8月22日に定常運用を終了。1990年12月10日にすべての運用を終了した[1]。運用終了までミリ波帯の電波伝播実験などのデータを取得し、アメリカ航空宇宙局(NASA)をはじめ、世界各国で宇宙通信のための電波伝播特性研究などに長く利用された。
脚注
- ^ a b “技術試験衛星II型「きく2号」(ETS-II)”. 宇宙航空研究開発機構. 2021年12月23日閲覧。
関連項目
外部リンク
固有名詞の分類
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