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世の中には勝ち組もいれば当然負け組もいる。普段注目されない負け組の日常にスポットを当てた話題作。「負けヒロインが多すぎる!」

前回、最近のラブコメ作品が必ずしも主人公・ヒロインのどちらもそこそこの美男美女同士でないパターンが登場していることを書きました。好きになる相手の容姿の良さが先行してではなく、内面的な優しさやその人物の尊敬できる考え方や行動に美男美女側が相手に感化されて結ばれるというストーリーが割と出ています。外見の良さは観ていて魅力的な要素ですが、現実味のある登場人物像だとさらに共感を持って観てもらえるような気もします。

この夏に放送された青春&ラブコメジャンルのアニメの中で今までとは一味違った切り口の作品がありました。普段は女子ともほとんど会話をしないクラスの中でも地味で目立たない草食系の男子高校生が、ふとしたことがきっかけで振られ女子と次々に関わりを持つようになり、穏やかだった彼の日常が様なトラブルも含めて一気に騒がしくなっていくさまを取り上げた作品です。

パッとしない主人公の男子と3人の振られヒロインたちの日常にスポットを当てた、通常の青春・ラブコメ路線からはかなり外れた設定の作品です。一見、そんな作品に見どころはあるの?という気持ちがよぎりますが、見る角度が違うだけで恋愛に敗れた負け組女子にも勝ち組女子とはまた違った日常が存在していて、恋愛+αなそれぞれの青春を垣間見ることが出来ます。

青春・ラブコメ作品の中では勝ち組の話がメインでその陰に埋もれがちな負けヒロインですが、そうしたヒロインたちの恋愛エピソードはもちろんのこと、それぞれのヒロインたちが恋愛以外にも前向きに何かにチャレンジする姿勢もお話として盛り込まれています。恋愛では負け組であっても青春のすべてが恋愛ばかりではないのでそこから立ち上がるヒロインたちの青春がスカッと明るめに描かれた気持ちの良い作品です。

タイトルは「負けヒロインが多すぎる!」という作品です。

第15回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞を受賞したライトノベル作家”雨森 たきび”さんによる同タイトル小説が原作です。”小学館・ガガガ文庫”より既刊8巻。

コミカライズされ2022年4月に小学館の漫画が読める総合WEBコミックサイト「マンガワン」に連載、同じく2022年5月に小学館のWEBコミック配信サイト「裏サンデー」にも連載中です。そして2024年にアニメ化され7月~9月に全12話が”BS11”他で全国放送されました。インターネットでは”ABEMA”、”U-NEXT”、”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”Netflix”、”Hulu”、”バンダイチャンネル”、”DMM TV”、”FOD”他で配信中です。

負けヒロインが多すぎる!2 (2)

高校生のカップルは1年以内に7割が破局するという。卒業まで含めたらほとんどが別れるにもかかわらず、誰もが恋愛に振り回されて泣いたり、笑ったり、そんな仮初のつながりに心揺らすほどオレは現実と自分に期待してはいない。だけど、たまに考えることがある。もしオレにそんな青春があるのなら、涙に暮れるヒロインを目の前にしたのなら、俺がラノベの主人公なら、そんな時何を想うのだろうか。

高校1年生である温水 和彦はファミレスで大好きなラノベ小説を読みながらその世界に浸っていた。ラノベシリーズ恒例のお約束シーンまで差し掛かり、一息つけようとドリンクバーに席を立ち戻ろうとすると、痴話ケンカっぽい会話が耳に飛び込んできた。声のする方へ目をやると、なんと同じクラスの八奈見 杏菜と袴田 草介だった。

草介が好きな女子・姫宮 華恋が外国へ行ってしまうらしく、草介にさよならを告げたらしい。杏菜は自分が草介のことが好きだから華恋の気持ちが良くわかると。彼女は草介のことを好きだから草介にも好きだと言ってほしいんだと。だから彼女のことを追いかけてと、自分の自転車のカギを彼の前に差し出した。杏菜と華恋は親友らしい。草介は杏菜に一言、すまない、と告げながら自転車のカギをつかんで飛び出して行った。杏菜は見事に振られてしまったらしい。

飛んだ場面に出くわしてしまったと思う温水だが、自分の席から再び杏菜に視線を向けると、驚いたことに杏菜は草介の飲みかけのジュースのストローを加えジュースを飲み始めた。温水が彼女の見てはいけない行動を見てしまったと思った瞬間、杏菜と目が合ってしまった。次の瞬間、杏菜はむせて思わずジュースをおもいっきり噴き出してしまう。何も見てなかったように温水は視線をそらして平然を装った。

すると杏菜が温水のテーブルに来て、座ったかと思うと聞いてもいないのに勝手に自分のことを話し始めた。「華恋ちゃんは大切な親友だけど私と草介が12年間幼馴染やってきたのに転校してきたばかりの彼女を好きになるってどういう事?」とか、「彼に幼稚園の頃にお嫁さんにしてあげると言われたこともあるのに華恋ちゃんの事を好きになったのは浮気じゃないか?」とか、「あの乳牛女(おっぱ○が大きいらしい)が出てこなかったらきっとうまくいってたはず・・・」とか、「わかっているんだけどもっと早く勇気を出していたら違った結果になってたかも・・・」って言いながら、情緒不安定に彼女は泣いた。

その間、山盛りポテトフライやしゃぶしゃぶ肉のサラダやパンケーキなど結構な数のメニューをいつの間にか頼んではひとつ残らず食べ尽く、彼女はそう毒ついたのだ。温水はふと想った。八奈見 杏菜のような豪快な振られ女子、こいつこそが世間でいう”負けヒロイン”だと。

後日、学校で温水は杏菜に先週のファミレスで立て替えたお金を返してほしいと話した。すると、杏菜から昼休みに旧校舎の非常階段に来てほしいと言われる。昼休みになり早速その場所へ行き、杏菜にお金の話をした。すると、「付き合い始めた華恋と草介から一緒にカラオケに行こうと誘われて、二人のイチャイチャぶりを見せつけられるのは勘弁してほしい。」という話や、「草介のお姉さんが草介に電話したけど繋がらなくて、私と会っているかと思って私に電話来たけどその間二人は電話に出られないようなことしてたのかな?」など、温水に愚痴り出した。

温水はそんな話を聞かされながらもファミレスのレシートを彼女に渡した。3千6百円ちょっとと結構な額のレシートを見た彼女は、「この金額に見合う分だけの弁当を毎日作ってくるというのはどうかな?」と提案してきた。仕方なく彼はその提案を受け入れた。

負けヒロインが多すぎる!5

教室に戻ると温水は小鞠 知花という女子から声をかけられた。彼女は文芸部員であり、生徒会から幽霊部員の存在はダメと言われたらしく、文芸部に所属している者は一度部に顔を出してほしいとのこと。確かに入学当初の部活勧誘時期の際に文芸部に名前だけ書いたことを彼は思い出し、文芸部へ行ってみた。さすがは文芸部、たくさんの本があった。

夜になり彼はネットで読みたい本をリストアップしていた。読みたい未読の本が文芸部にもあったことを彼は思い出した。当面は本を買わずに文芸部で本も読めるし弁当も一定期間は作ってもらえるので買わずに済む。充実した学校生活が送れそうだと彼は思った。

いつの間にか妹の佳樹(かじゅ)が彼の部屋にいた。「お兄様、学校でお友達はできましたか?安心してくださいお兄様。佳樹がお兄様にお供出しを作って差し上げますの。先ずはキャラ弁でみんなの心をつかみ会話のきっかけにするのです。」そう言って自分が作ったキャラ弁を兄に披露した。彼はこれから弁当を作ってもらえることになったことを話すと佳樹からは、「お付き合いをしている女性がいるのですか?」との驚きの反応が。そうではなくて、お金を払って作ってもらえる人がいることを話すと、「業者さんですか?」と解釈されてしまう。素直でできる、とても兄想いの妹である。

翌日の昼に旧校舎の非常階段に行くと彼女から弁当箱を渡された。中を見ると268円の値段が貼られたコンビニのサンドイッチが入っていた。彼女曰く、二人分の弁当を作ろうとしたらお母さんから草介君喜んでくれるじゃないの、言われたので作る気になれなかったためコンビニのサンドイッチになったらしい。杏菜の唐揚げと卵焼きもつき、温水は350円の値をつけた

学校の授業が終わった後、温水はクラスメイトの綾野 光希(あやの みつき)から声をかけられた。読みたい本があって今度文芸部に行きたいとのことだった。そこへ 光希と同じ塾に通う朝雲 千早(あさぐも ちはや)がやってきて、二人は一緒に下校した。 光希と温水の会話を観ていた焼塩 檸檬(やきしお れもん)から温水は声をかけられた。「光希とは友達なの?」と。友達というほどではなく前に同じ塾に通っていたことがあった程度だと話を返した。

「光希のやつ、やっぱり頭のいい子が好きなのかな?」そう独り言をつぶやいているとそこへ「檸檬ちゃん、彼とはどうゆう・・・」杏菜が現れ質問してきた。小学校の時クラスが同じなだけだと檸檬は答えた。「幼馴染という事は・・・あっちが泥棒猫。」杏菜は答えた。大胆な分類だと温水は言った。「温水君、女はね、幼馴か泥棒猫に分けられるの。」再び杏菜が言った。「あの二人、どういう関係かな?」檸檬が杏菜に聞いた。「たぶん、仲の良い友達じゃないかな?」と杏菜はそう答えた。それを聞いた檸檬は杏菜と手を取り合って喜んだ。檸檬は光希のことが好きなのか?

翌日の弁当は一人分の弁当箱に二人分のご飯がめいいっぱい詰め込まれたものだった。フタの裏側にそのご飯が乗せられと今日の弁当はいくらか?と温水は杏菜から聞かれた。今日の弁当は400円だと温水は答えた。

次の日、温水が旧校舎の非常階段に行くと杏菜の荷物があるが彼女はいなかった。屋上へ行ってみると校庭を走っている檸檬を観ている杏菜がいた。「檸檬ちゃんの走っているところを見ていたら私、振られたんだなって想った。頭ではわかっていたんだけど体がわかっていなかったみたい。」そう言い放つ彼女の目からは涙が溢れていた。

高校生のカップルは1年以内に7割が破局するという。卒業まで含めたらほとんどが別れるにもかかわらず、誰もが恋愛に振り回されて泣いたり、笑ったり、そんな仮初のつながりに心揺らすほどオレは現実と自分に期待してはいない。だけど、たまに考えることがある。もしオレにそんな青春があるのなら、涙に暮れるヒロインを目の前にしたのなら、俺がラノベの主人公なら、そんな時何を想うのだろうか。(第1話)

負けヒロインが多すぎる!4

今回の作品のおすすめポイントは、先ず定番でない目新しいストーリーであること。

また個性的なキャラがたくさん登場するところにあります。3人のそれぞれのヒロインは各々違ったタイプのヒロインで様々なお話に彩を付けてくれています。そのヒロイン3人と一見無個性に見えて内面は以外に面白い主人公男子の個性派同士の支え合う関係性がベースで物語は進行して行きます。この4人を取り巻く他の友人や家族も魅力的なキャラがたくさん出てきますのでお楽しみに!

そしてそれぞれの個性的なキャラを支える声優さんがまた上手い方たちばかりでキャラの個性をさらに引き出してくれています。キャスティングが実に素晴らしいと思わせてくれる作品です。

その他に、作品を情緒的に魅せるための演出や作画も良いのでそうしたところにも目を向けてみるのも良いかもしれません。

プラス、物語に関連する歌・音楽が用意されているのもこの作品の特徴で、3人のヒロインがそれぞれメインとなっている回のエンディングテーマはそのメインキャラの映像と歌が流れる演出になっています。楽曲は2000年以降にヒットしたラブソングが使われていて3人のヒロインがその曲をカバーして歌っていますので、どんな曲が当てられているかにも注目しながら観ていただきたいですね。

3人のヒロインたちですがそれぞれに振られる要因があります。好きな相手の幸せを優先し過ぎて自らをアピールしないで相手が好きな子との関係を橋渡ししてしまい振られてしまう子もいれば、両片思いであったにもかかわらず幼馴染みの関係を打破できないうちに相手が別の女子を好きになってしまい振られてしまう子もいたり、好きな先輩に告白するもそれがきっかけとなり先輩と同じ部の先輩女子の二人のモヤっとした関係性をハッキリさせる方向にアシストしてしまう子もいたりと、様々な振られ女子の恋愛事情を観察することになります。それぞれが妥当な振られ方どうかは観てのご判断を。

主人公の温水君は成り行き上この3人と接点が出来て、気が付くとそれぞれの恋愛事情に巻き込まれてしまうのですが、面倒見の良い彼の人柄が手伝ってか彼との関わりでヒロインたちは徐々に失恋から立ち直っていきます。決して彼は振られたことがないモテ男子ではなく、単に女子との接点が今までなかったために振られたことすらなかったわけですが。融通の利かない性分もあって時折、杏菜ちゃんから「そういうとこだよ、温水君。」と自分の事を棚に上げる彼女からお約束のそのフレーズでのツッコミシーンが何度か出てきますが、そんなところも非常に面白く見どころポイントとの一つと言えます。

好きな男子に振られた負けヒロイン3人と振られた事すらない恋愛ベタな主人公男子による個性と個性が織りなす青春物語をどうぞご覧ください!

負けヒロインが多すぎる!8

ジャンル/”青春”・”ラブコメ”、監督/”北野 翔太郎”さん、シリーズ構成/”横谷 昌宏”さん(「はたらく魔王さま!」「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」「女子高生の無駄づかい」のシリーズ構成も担当)、キャラクターデザイン/”川上 哲也”さん(「86-エイティシックス-」のキャラデザも担当)、アニメーション制作/”A-1Pictures

<主な出演声優さん>
温水 和彦:”梅田 修一朗”さん、八奈見 杏菜:”遠野 ひかる”さん、焼塩 檸檬:”若山 詩音”さん、小鞠 知花:”寺澤 百花”さん

最後はオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。OPはポップでノリの良い元気な曲調で、EDは3曲ありますが3人のヒロインがそれぞれ2000年以降のラブソングをカバーしています。キャラのイメージにマッチした曲かどうか自身で確かめてくださいね。どれもリピート必至の時代の名曲ぞろいですのでどうぞお楽しみください!!

オープニングテーマ「つよがるガールfeat.もっさ(ネクライト―キー/ぼっちぼろまる」
エンディングテーマ「LOVE2000(by hitomi)/八奈見 杏菜」2000年
          「CRAZY FOR YOU(by Kylee)/焼塩 檸檬」2011年
          「feel my soul(by YUI)/小鞠 知花」2005年

人それぞれ多少の痛い性格・行動があってもそれが個性。完璧でない部分が見え隠れしてこそ人間味があって親しみが持てるんじゃないかな。恋愛も含めてさまざまなことでトライ&エラーを繰り返して人もまたは日々成長していくのかもしれませんね。

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順風満帆に歩んでいる人はむしろ稀である。過去に囚われ一人で前に進めないでいる人も、出会いがきっかけで解き放たれることもある。「夜のクラゲは泳げない」

これから先の人生が真っ白で、何色にでも染まることが出来る伸びしろしかない10代の若者たち。片や何色かに染まってしまって伸びしろなんかもう1ミリぐらいしか残されていないんじゃないかと思う50代の私。

「憧れるのはやめましょう。」大谷翔平さんは言いました。彼の意図することは自分たちと戦う相手は同等と考え臆せずプレーしよう!という意味でしょう。普通日本代表のおじさんである私は別な意味でそろそろいろんな事に憧れるのをやめなければいけない歳かなって思ってしまいます。目の前の家族の幸せが第一なのは言うまでもありません。決して自分のやりたいことをすべて諦めるという事ではないのですが、家族ファーストかつ自分が今後実現したいことをきちんと精査して、より計画的に推し進めていく事が大事かなと思っています。

おじさんとは違って多くの若者世代の方たちは自分が何者かになれることを夢見ていろんな事に挑戦し、悩み、努力しながら我が道を切り開いて行きます。未知の可能性に邁進して行くその姿はとても愛おしく映り、自分事のように応援したくなりますよね。そんな憧れる未来が待っている若者たちでも早い段階で何かしらの障害や挫折を経験し思い悩んでいる方々も片や存在していることでしょう。

日の当たるところを真っ直ぐすんなりと歩んで来れた人、そうでない人。悲喜こもごもな様々な事情をみんな抱えて生きているのだと思います。決して順風満帆に歩んでいない若者たち、でもどこかでそこから抜け出したいと考えているけど一人ではどうにもならないと諦めきっている若者たち。

本日紹介します「夜のクラゲは泳げない」というアニメは、そんな状況下に置かれているつまづきがちな10代の女子たちが、ふとしたことがきっかけで出会い、互いに触発されてそこから再び新たな一歩を踏み出すという青春群像劇です。暗闇から日の当たる場所を見つけ出そうと共通の目標に向かって一緒に奮闘していく彼女たちの毎日にスポットを当てた青春グラフティ、なんていうのもたまにはいかがでしょうか。

おじさんには一生懸命な若者たちの姿はとてもまぶしく映りますが、何かに挑戦する姿勢は年齢に関係なくいつまでも無くさないようにしたいものですよね。そんなちょっとしたカンフル剤的若者アニメを今回はお勧めいたします。

夜のクラゲは泳げない2

かつて小学生の頃、街の壁画を描くコンテストで原案が選ばれ、クラゲの壁画を描いたことがある輝かしい過去を持つ女子高生の”光月 まひる”。しかし、今はごくごく普通の量産型高校生になっていた。

渋谷へハロウィンコスプレで出かけようと友達から誘われたまひるは、そのコスプレ衣装を買いに夜の渋谷に出かけた。お店でコスプレ衣装を探していると派手めな衣装に目が留まった。まひるはそれを手に取ろうとしたがタッチの差で派手めな格好の女の子が先にその商品を手にした。仕方なくまひるはその隣のやや控えめな衣装を買って店を出た。

その後まひるは、かつて自分が描いたクラゲの壁画を眺めようと渋谷のその場所を訪れた。そしてまひるは絵にまつわる昔の記憶を思い出していた。壁画を描いたその当時、自分が描いたその絵を友達に見せようと一緒に壁画前にやって来たまひる。しかし、壁画を見るなり友達二人は変なクラゲの絵だと話し始めた。その絵を描いたのは自分なんだと本当は言いたかったまひるだが、へんな絵だと否定されてしまい思わず壁画に描かれた自分の名前を隠しながら友達の会話に同意してしまう。まひるはそのことがトラウマとなってその後は一切絵を描かなくなり、目立つことは極力しない、ごく普通の高校生になってしまったのだ。現在のクラゲの壁画にはところどころ落書きがされていた。

店先で見たカワイイ靴下を買っての帰り道、再びまひるがその壁画前に差し掛かると、その壁画に自身のライブ配信の案内ポスターを貼りながらライブパフォーマンスを披露している地下アイドルらしき女子がいた。

「やめて!これ以上私の絵を汚さないで!」とそう叫びたかったまひるをよそに、隣から「おい!私の好きな絵を汚してんじゃねえ!」と大声で叫ぶ女の子が現れた。自分の思いを代弁してくれたその女の子が気になったまひるはそこから立ち去ったその子の後を追った。しかし、途中で尾行していることに気付かれてしまったまひるは何故尾行をしてきたのかその子から理由を問いただされてしまう。自分が描いた壁画をかばってくれたこと、その絵を描いたのが自分であることを彼女に伝え、それを証明するためにまひるは自分のスマホのアカウントを彼女に見せる。そこには”海月ヨル”と書かれた名前とクラゲの壁画が貼られていた。

まひるは彼女にどうして絵をかばってくれたのかを尋ねた。彼女は中学の時に初めてまひるのクラゲの壁画に出会い、一目ぼれしてそれからずっとその絵を好きでいてくれていることがわかった。彼女は”山ノ 内 花音(かの)”、高校2年生。もとアイドルとのこと。かつてアイドル時代に炎上するような事件を起こして今はアイドルはやめ、ネットに自作の曲をアップする匿名シンガーをやっているのだと。彼女が目指すのはフォロワー10万人で、かつての自分をバカにした人たちを見返し、自分を嫌った人たちも自身の歌で感動させたいらしい。

夜のクラゲは泳げない3

彼女の匿名シンガーとしてのアカウントを見せてもらうとその中にJELEE(ジェリー)という名のアーティスト名とクラゲとは似つかない自称クラゲの自作イラストが貼られていた。彼女いわく、クラゲは英語でゼリーフィッシュ(jellyfish)という事からアーティスト名をジェリーにしていると(スペルは間違っているが)。花音は自分の曲をまひるに聴いてもらおうとスマホのイヤホンを差し出した。まひるはその曲を聴いた。カッコいい曲だとまひるは花音に曲の感想を伝えた。すると花音は、クラゲのイラストは本当の自分を表現しているのだと言い始めた。

すべてはクラゲの壁画が自分に影響を与えていることを花音はまひるに伝える。知らなところで自分の絵が誰かに影響を与えていたことを初めて知ったまひるは恥ずかしそうにありがとう、と花音に気持ちを伝える。花音はまひるに本物のクラゲの絵を描いてほしいとお願いする。しかし、ごく普通の高校生に成り下がってしまったまひるは”特別な存在”の花音に気後れしてその提案を断ってしまう。それを聞いた花音は、「まひるは普通の人間だったんだね。」と残念そうに思う気持ちを返した。モヤモヤした気持ちを抱えながらまひるは家路についた。

お風呂に入りながら花音の過去記事をネットで調べるまひる。彼女はアイドルグループ「サンフラワードールズ」のリーダー兼センターの”橘 ののか”として活躍していた。しかし、とある暴力事件を起こしてグループを脱退との記事が出てきた。詳しい事はわからないが、それでも再起をかけて音楽活動をしようとしている花音の強い意志を感じるまひるだった。

ハロウィンコスプレ衣装で友達と渋谷に繰り出したまひる。すると、自分が買おうとしたコスプレ衣装を身に着けた子をまひるは渋谷の街中で見つけた。まひるはその子を追いかけた。着いた先はまひるの描いた壁画がある場所だった。その壁画の前では先日の地下アイドルがまた路上ライブをしていた。偶然なのか、その子は花音のオリジナル曲をコピーして歌っていた。それを聴いたまひるは「私の好きな歌を汚してんじゃねえ!」と思わず小声でつぶやいてしまう。すると隣から「私の好きな歌を汚してんじゃねえ!」と大声で叫ぶ花音の姿があった。まひるが買い損ねたコスプレ衣装をまとった花音だった。

「誰の好きな曲だって?」花音はまひるをいじる。そしてまひるの耳元で「ヨルのクラゲの絵の前で歌いたい!」そうつぶやきながら路上のギターリストからギターを借りてギター片手に自分のオリジナルソングを歌い出した。まひるはその行動に揺り動かされ、クラゲの絵の上に貼られた地下アイドルのポスターを引きちぎり、花音のリクエストに応えて持っていた口紅でクラゲの壁画に顔を描いた。それは二人のコラボが初めて実現した瞬間だった。

歌い終わった花音はまひるの手を取り夜の渋谷の街へと走り出す。「花音ちゃん、クラゲってさ、一人では泳げないし輝くこともできないけど、外から光を貯め込んだら自分でも輝けるようになるの。だから、私も、私も花音ちゃんのそばにいたら輝けるかな?」花音は答える。「もちろん!だから私のために描いてよ!」二匹のクラゲたちは新たな光を貯め込み、輝き始めた。(第1話)

夜のクラゲは泳げない1

自分だけの問題だとそもそもが他人には関係ない事なので自分が変わりたいと思っていても、自らが動かない限りは状況は何も変わりません。しかし、他人との関りの中で人のために動かないといけない、あるいは人のために動いてみようと心が動かされた時、人は新た行動を起こすことが出来るのかもしれませんね。私たちは日々の生活の中で何気に他人との接触・関りが自分の行動エネルギーに大きく作用することを学習していて、その経験をいつの間にか実践しているといった具合なんじゃないかと思います。

人との関り、自分以外の存在が自身に与えるてくれる影響・パワーは計り知れないものがあるかもしれません。今年の5月、千葉にいる親友からラストメッセージのような電話が入りました。もともと難病を背負っていた彼ですが、さらに別な病気も併発していて治療が思わしくなく、食事も満足に摂れずに体重が激減して今は40kgを下回っているとの事でした。自分ばかりがどうしてこんな状況に置かれてしまったのかという理不尽さも手伝って生きる希望を無くして自暴自棄になっており、彼曰く、自分が生きているうちに千葉に一度会いに来てほしいと懇願されました。

私は妻にその事を話し、彼に会いに行く了承を得て彼にその旨を伝えました。するとしばらくして彼から電話があり、どうせ来てくれるなら秋までに自分なりにリハビリして体力をつけて外出先で一緒に食事を楽しみたいので秋になったら来てほしい、とのことでした。私が会いに行くことがどうやら彼の生きる希望の一つになったようです。その後2~3週間に1度ぐらい電話をくれるようになり、ちまたの世間話をかわすぐらい明るい雰囲気を感じることが出来るようになりました。治療薬も適合し始めているようで何よりです。

万人が皆平等ではないので、人それぞれの与えられた環境下で自分なりのポテンシャルで自分なりに人生を進めていくしかない、ということですね。自分と他者との繋がり・作用を上手く用いて悔いのない生き方をしていきたいものです。自分だけではどうしようもない事、あるいは動けない事、そして堀固まって変えられない考え方も”他者との繋がりを通しで変わることもある”、という事がこの作品から得られることでしょうか。

それとこの作品、最近のネット時代の良し悪しにも物語上で触れていますので、各々がSNSも含めたネット社会にどう関わっていくかの指標にもなるかもしれません。溢れるネット情報の収集と自身からの発進も人それぞれの時代。法整備が立ち遅れているSNS全盛のネット時代の副作用で、昔よりも他人の目を気にしながら生活しないといけない、ある意味自由度合いが低くなったような生きにくい世の中にもなってきていると思います。他人からの誹謗・中傷もかなり問題視されている今、互いにそういったものに晒されない生き方を自身としても気をつけていかないといけませんよね。

夜のクラゲは泳げない4

この作品は、「推しの子」「ちいかわ」を制作しているアニメーション制作会社”動画工房”による原作を”JELEE”とするオリジナルアニメです。ジャンルは青春。
監督/「エロマンガ先生」を監督した”竹下 良平”さん、シリーズ構成・脚本/”屋久 ユウキ”さん、キャラクターデザイン/「魔法少女まどか☆マギカ」総作画監督、「月刊少女野崎くん」「多田君は恋をしない」のキャラクターデザインを担当した”谷口 淳一郎”さんです。

TVアニメ化され2024年4月~6月に”BS11”で全12話が全国放送されました。インターネットでは”dアニメストア”、”U-NEXT”、”Netflix”、”ABEMA”、”Amazon Prime Video”、”バンダイチャンネル”、”Hulu”、”ニコニコチャンネル”、”FOD”他で配信されています。

コミカライズ・ノベライズもされてまして2024年4月より”藤居 にこ”さん作画による同タイトル漫画が講談社コミックより2巻 発売となりました。また2024年5月より”屋久 ユウキ”さん著作で同タイトル小説もガガガ文庫(小学館)より3巻 発売されております。

出演されている声優さんですが、メインヒロインは4人です。
◆光月 まひる役:”伊藤 美来”さんで「五等分の花嫁」中野 美玖役、「白い砂のアクアトープ」海咲野 くくる役などを演じた方です。
◆山ノ内 花音(かの)役:”高橋 李依”さんで「この素晴らしい世界に祝福を!」めぐみん役、「からかい上手の高木さん」高木さん役を演じた方です。
◆渡瀬 キウイ役:”富田 美憂”さんで「メイドインアビス」リコ役、「機動戦士ガンダム~水星の魔女~」チュチュ役を演じた方です。
◆高梨・キム・アヌーク・めい役:”島袋 美由利”さんで「さよなら私のクラマー」恩田 希役を演じた方です。

4人の声優さんがそれぞれの役割どころで4人の個性を引き出して物語を上手く構成づけております。青春群像劇ですので、それぞれの自身のパート部分では多少目立ちながらも音楽グループとして一緒に共通の目標に向かって行く様では調和がとれていて、スムーズに物語を観て行けます。特に4人の中でも物語上ツートップの伊藤さんと高橋さんはお二人の掛け合いも多く、多くの見どころを作っていらっしゃるので二人のやり取りにも注目して観てくださいね。

最後はオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。

どちらもリズミカルでノリが良く、一生懸命に前向きに毎日を送ろうとする多感な青春時代を謳歌する若者世代のメッセージ曲となっています。とても良い曲なので実際のオープニング・エンディングテーマではなく、長めに聴ける各アーティストさんのPVを貼ってみましたのでご堪能くださいませ!

オープニングテーマ「イロドリ/カノエラナ」
エンディングテーマ「1日25時間。/ツルシマアンナ」


いつか輝こうと未来に向かって前に進む青春真っただ中の方々には何事にも代えがたい一生懸命さと尊さを感じます。そんな刺激を受けながら私たちもいつまでも輝きを失わないようにして前向きに行けたらいいですよね。

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シュワッとはじけるサイダーのような感動の瞬間、そんな時間がずっと続く毎日でありますように!と願いたくなる作品。「ホリミヤ」

恋も友情も家族との絆も描かれた青春ラブコメ。そんな観たい要素がすべて詰まったアソートタイプのほど良い作品はそうそうお目にかかれません。大抵はラブコメならラブコメ寄りのストーリーになり、青春ものなら青春らしいエピソードでまとまります。わずか13話のストーリーにいろんな要素がバランスよく入った作品には、劇的な話の展開があるわけではなく、どちらかと言うと登場人物たちの何気ない日常エピソードで占められています。だからこそ肩に力が入らずに親近感を持って観ることができ、共感も得やすいという特徴があるかと思います。各キャラの心の機敏も捉えたエピソードに時に笑い、時に涙しそうになる心温まる作品。それが今回紹介する「ホリミヤ」という作品です。 

今回、何故この作品を紹介するに至ったかと言いますと、基本、私はラブコメ好き好き人間ですのでラブコメ大いに結構なのですが、単にラブコメにとどまらず、主人公の周りの人物たちも含めた人と人との繋がりにスポットが当てられた作品でしたので、みなさんにも共感してもらえるんじゃないかと感じたからです。

この作品には基本、悪い人は登場しません。いろんなタイプの個性的なキャラがたくさん登場するのですが、友人同士、先生と生徒、幼馴染み、兄と妹、姉と弟、姉と妹、親と子、彼氏と彼女の両親・弟と、それぞれの関係性もたくさん描かれていて、縦の糸と横の糸のそれぞれのつながりがとても興味深く、そのどれもが尊く感じられる作品なのです。温かみのあるそれぞれのエピソードは観ていてとても穏やかな気持ちになります。時折キュンと切なくなる場面もありますが、それはそれでみなさんも通ってきた青春あるあるなのです。

また、個性派キャラのそれぞれの群像劇にも注目です。人にはそれぞれの内面が備わっていますが、他人にどう映るかはその人の行動によって認識されています。真実も偽りもその人の行動いかんによって人は他人に受け入れられている、あるいは受け入れられていないのです。それが良いか悪いかはさておき、人ひとりひとりに割とフォーカスが当てられた”人間観察アニメ”とも言える作品かもしれません。

ホリミヤ1

土台、人間は一人では生きられません。一人で生きているようでいろんな人の影響を受けながら日々を過ごしています。どうせそれらの影響を受けるのであれば、楽しく前向きに過ごせる毎日であった方がいいような気がします。一度の人生なら尚の事。楽しく過ごせるためには自分だけではなく、他人から良い影響を受ける必要もあると思います。そう仕向けるためには先ず、自分からそういった働きかけを他人にして行かなきゃなりませんよね。一人では何も変わりませんが、自分が相手に投げかけることで、まわりが反応して動く。それによって目の前の事態が変わる。

楽しく面白い人生、それは劇的な何かではなく、私たちのすごく身近な小さな喜びや、あるいは些細な幸せの積み重ねで築き上げられていくものなんじゃないかなって思います。この作品を観るとそんな気持ちになりました。 人と関わる事も案外悪くない、と自然にそう想えてしまう、「ホリミヤ」はそんな作品です。

まずこの作品は”堀さんと宮村くん”の略称がタイトルになっています。堀さんという女子と宮村くんという男子を中心としたラブコメがメインであり、その周りの友人と家族にまつわるエピソードで構成されています。

クラスでも目立たない根暗でぼっちな長髪メガネ男子・宮村が、ふとしたことがきっかけで同じクラスの成績優秀・スポーツ万能・明るくきれいな人気女子・堀さんと仲良くなり、彼女がきっかけで彼のまわりには徐々に友達の輪が広がっていき、彼の日常はカラフルに彩られていくといったお話しです。

片桐高校3年1組の宮村と堀さん。宮村は堀さんに名前と容姿ぐらいしか認識されていない存在(当然、話をしたこともない間柄)であったが、とあることがきっかけで堀さんと親しくなり、堀さんの家にもちょくちょくお邪魔する関係になる。

宮村は学校では服装も含めて地味な存在だが、私服の彼は学校とはかなり違っていて、学校以外では誰も彼を宮村だと認識できないくらいの変わり様である。耳にピアスを付け、長髪を束ねてメガネを外した彼はそれなりにイケメンに見える。ちなみに彼の実家はケーキ屋であり、それなりに宮村もケーキがつくれる腕前を持っている。

宮村が堀さんの家から出てくるところを同級生に観られたことで、二人は学校で一大スクープにとりあげられてしまう。男子からの告白を受けても断り続ける堀さんと仲良さげな宮村の関係に、まわりからは釣り合わないとの大多数の意見が寄せられる。付き合っているわけでもないのだが、宮村がまわりからそう判断されることに堀さんは怒りを爆発させる。堀さんは外見で人を判断しない人である。

堀さんは一見派手な外見に観られるが、実は家庭的な女子で、保育園に通う弟のお迎えに行ったり働いている親の代わりに家事をこなしたりするために、学校が終わると友達の誘いも断って早めに帰宅する毎日を送っている。影ながら努力するタイプの子であり、そういった事情は学校の友人には一切話しをしていない。流行に疎く、知っている歌は弟と一緒に観るアニメのテーマソング。

ホリミヤ3

大まかな作品の内容についてはこのぐらいにとどめておきますね。これ以上書くとこれから作品を観る方の楽しみを奪ってしまいますので。

この作品の優れているところは、一番にストーリーの良さがあげられます。さりげない自然なストーリー展開の中に登場人物たちの関係性がしっかりと語られ、起承転結でわかり易いですね。

次にキャラデザですが、個人的にはかなり私好みのキレイ&カワイイ系のキャラデザでとても気に入っています。見た目が良いと自ずと画面い食いつきます(笑)。他の作品で私の好きなキャラデザだなって思って調べたらこの作品と同じキャラクターデザイナーにぶつかりました。詳しくは後述いたしますね。

さらにそのキャラに息吹を吹き込む声優さんがとにかく皆さんお上手な方ばかりです。各キャラ共にキャラ立ちしていまして、キャラ同士の掛け合いでの間の取り方も絶妙なのでギャグパートもシリアスパートもそれぞれメリハリがあって、終始楽しめます。

キャラデザ&キャストの良さはもちろんですが、作画の方も丁寧に仕上がっている作品かと思います。

「ホリミヤ」は2期まで放送されました。1期は、堀さんと宮村の二人の出会いと二人の友人たち・家族たちとの高校卒業までの間の様々なエピソードが綴られています。2期は、1期で語られなかった高校最後の1年間の友人たちとの青春エピソードが詳しく楽しく語られています。どちらもシュワッとはじけるサイダーのような、一瞬一瞬に心躍るエピソードがたくさん入っていますのでどうぞお楽しみに!

この作品はウエブサイト「読解アヘン」に連載中のHEROさんによる漫画「堀さんと宮村くん」が原作となっております。”スクエア・エニックス”出版社の「月刊Gファンタジー」で2011年11月号~2021年4月まで漫画「ホリミヤ」が連載され、その後アニメ化し、2021年1月~4月に第1期・全13話「ホリミヤ」が”TOKYO MX”と”BS11”他で全国放送されました。インターネットでは”ABEMA”、”U-NEXT”、”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”バンダイチャンネル”、”FOD”、”Hulu”他で配信。

2023年7月~9月に第2期・全13話「ホリミヤ-piece-」も”TOKYO MX”と”BS11”他で全国放送されました。ネット配信も第1期とほぼ同様です。2期タイトルにはpieceeがついていますが、ジグソーパズルのピースを指しています。どれもが大切な存在、、無くせない青春のエピソード、という意味のようです。

作品の監督は”石浜 真史”さん。シリーズ構成・脚本は「セキレイ」「WORKING!!」「四月は君の嘘」のシリーズ構成も担当したフリーライターの”吉岡 たかを”さん。キャラクターデザインは「たまゆら」シリーズ、「妖狐×僕SS(いぬぼくシークレットサービス)」「変態王子と笑わない猫」「がっこうぐらし!」「田中くんはいつもけだるげ」のキャラクターデザインも手掛けたアニメーター兼キャラクターデザイナーの”飯塚 晴子”さん。アニメーション制作は「明日ちゃんのセーラー服」「その着せ替え人形は恋をする」「ぼっち・ざ・ろっく!」「SPY×FAMILY」「冴えない彼女の育てかた」など、観る方の記憶に残るような作品を立て続けに世に排出し続けている”Clover Works”です。

ホリミヤ5

さて、今回の作品の声優さんですが、主人公の堀 京子役は”戸松 遥”さん、宮村 伊澄役は”内山 昂輝”さんです。

戸松さんは「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」/安城 鳴子、「ソートアート・オンライン」シリーズ/アスナ、「異世界おじさん」/エルフ、「君は放課後インソムニア」/白丸 結役も演じた方です。気の強そうな女子からそうでない恥ずかしがりの女子まで様々なタイプの女子役を演じていまして、今回の堀さんは時と場合によってその両面を垣間見ることが出来る起伏の激しい女子を好演されています。

内山さんは「ハイキュー!!」シリーズ/月島 蛍、「呪術廻戦」/狗巻 棘、「Buddy Daddies」/諏訪 、「山田くんとLv999の恋をする」/山田 秋斗役を演じた方です。無骨でクール系なキャラ役が多い方ですが、今回はクールだけど徐々に周りと打ち解けてひょうきんな面も魅せるようになる男子の変わり様を見事に演じています。

主人公の二人をはじめその他には友人関係役で”岡本 信彦”さん、”福山 潤”さん、”M・A・O”さんなどの実力声優さんが登場します。ナレーターとしてTVでも活躍されている”津田 健次郎”さんもちょっとスケコマシな先生役として登場。そして完全におかしい?堀さんのお父さん役をイケボな”小野 大輔”さんがユーモラスに演じています。その他にも安定した実力のある声優さんがシリアスとギャグも満載で脇を固めていますので、見応え(聴き応え)は十分ですよ。

最後はこの作品の世界観たっぷりのOPとEDの紹介です。今回は私の好きな2期の方を紹介いたします。

オープニングテーマ「幸せ/Omoinoteke」
エンディングテーマ「URL/坂口 有望」

幸せはあなたの身近にきっとあります。自分を認めてくれる存在がいてくれる、ただそれだけで人は幸せを感じることが出来ます。そんな当たり前を思い起こさせてくれる本作品はいかがでしょうか?ぜひ、多くの方に観ていただけたなら幸いです。


私は一年に一度だけアニメのキャラを模写したイラストを描きます。おじさんにもブログでのお友達がいまして、その方の5月10日のお誕生日にイラストを贈っています。そして、先月10月29日は私の誕生日でしたが、その方から(私は”時雨お嬢様”と呼ばせていただいてます)今年は「鬼滅の刃」の”胡蝶しのぶ”さんのイラストをいただきました!しのぶさんは時雨お嬢様と私の共通の推しキャラでありまして、それで今年はしのぶさんを描いてくれたんです。嬉しいですね。

sinobu202310.png

しのぶさんは笑顔が素敵な美人さんキャラですが、その明るく朗らかで優しそうなイメージをイラストに再現してくれています。心が和みますね。トレードマークの蝶柄の羽織と髪飾りも丁寧に描かれ、華やかな色遣いでとても素敵です。しのぶさんならではの特徴ある女性らしい日輪刀もしっかりと描かれていて完璧です!時雨お嬢様ありがとうごございました!

「鬼滅の刃」「プリキュア」シリーズ、ジャンプ系作品やその他可愛らしい系の作品がお好みな時雨お嬢様は絵師様でもあります。ブログはこちらなのでぜひ、遊びに行ってみてくださいね。五月雨日記<仮の宿>←こちらをクリック

私も今年は時雨お嬢様のお誕生日にしのぶさんを描いて贈りましたよ。

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大切な場所、大切なもの、大切な人。見つけてみて!ひとそれぞれの大切が自分の近くにもきっとあるはず。「スキップとローファー」

アニメでの青春・ラブコメジャンルあたりだと大抵、見てくれの良いカワイイ女子やきれいな女子、対する男子はそれなりのイケメンが主人公とだいたい相場は決まってますよね。そうした美男美女の二人が最悪のアクシデントで出会い、物語が進行していくというパターンなどがわりと多かったりします。こういうパターンだと万人受けする内容なので特に死角はなく、安定的に観進めていくことができますが、自分の好みの作画やキャラでないと見始めても途中離脱という場合もあり得ます。薄っぺらくない飽きられないストーリー(脚本)というのも作品選びにはとても重要だったりします。

主人公の男女のどちらかが割と普通なキャラだとインパクトがやや薄れますので、尚のことキャラの個性を際立たせる内面の深彫りとか作品全体の巧みなストーリ-なりが必要になってくるかと。作品は脚本・作画・キャラ・声優・音楽などで構成されていますが、重要視する部分は人によって異なります。それらの要素の総合点が優れているものは自ずと多くの方に支持される作品に成りえます。

すべての要素でハイスコアを叩き出せる作品は一部に限られますが、例えば「鬼滅の刃」「SPY×FAMILY」あたりはどの要素でも高いスコアをたたき出した作品だと思います。そうしたモンスター作品が面白いのは当然ですが、それに追随するような隠れた作品を見つけ、それに触れた時は至福の喜びを感じたりします。

王道的なアニメに飽きた方、繊細なストーリーをみて観たいと思っている方にお勧めなのが、ストーリー(脚本)とキャラ個性・音楽に優れた青春アニメ「スキップとローファー」です。

等身大の高校生男女の悩み多きまっすぐな個性がぶつかり、そして和む、きらきら青春アニメを観てみてはいかがでしょうか?全12話にたくさんの登場キャラによるそれぞれの喜怒哀楽の感情が込められた、心の機敏も繊細に描かれた作品です。何気ないお互いの会話のキャッチボールにたくさんのドラマが存在しております。一人の人間として登場人物のそれぞれの個性にフォーカスしている作品ですので、若い方ばかりじゃなくすべての方に存分に楽しんでもらえる要素がたくさん詰まっている青春群像劇です。

スキップとローファー16

主人公の”岩倉 美津未(みつみ)”15歳には明確な人生設計(夢)がある。T大の法学部を首席で卒業、その後は官僚になり、定年後は市長になって過疎化している地元の町の財政を大幅に改善、死んだらお骨は日本海に撒いてもらう事である。石川県の端っこにある小さな町で神童と呼ばれた彼女は官僚になるために上京し、東京の高偏差値高校へ見事に首席で入学を果たした。

常に完璧を目指す彼女ではあったが、入学式の当日、居候する叔母の家から早めに家を出たものの駅で迷い、満員電車に揺られて気持ち歩くなり駅のトイレ入り口の壁にもたれかかっていた。同じくして入学式に慌てることもなく遅刻登校する一人の男子・”志摩 聡介”は、駅のトイレ入り口の壁にへばりついている同じ制服を着た美津未のことを見つけると、「あのう、大丈夫ですか?」と声をかけてきた。大丈夫ではなかった。

彼女はこの世が終わったような顔をしながら彼に言った。「学校へはどうやって行くのですか?」彼は答える。「なんだ、迷子。俺も遅刻!一緒に行こうよ」二人は電車に揺られ、やがて二人が目指す”つばめ西高”のある駅に降り立った。「歩いたら10分ぐらいだけど、走る?」聡介の言葉を聞いて二人は走り出す。途中で転んだ彼女は靴下を脱ぎ、ローファーを持ちながら学校目指して再び裸足で全力で走り出した。つられた聡介も後を追いかけ走り出す。その甲斐あって、二人はどうにか入学式の途中に滑り込んだ。

まもなく美津未の名前が呼ばれた。彼女は主席であるがゆえに新入生代表の挨拶を仰せつかっていたのだ。登壇し校長と向かい合った彼女はポケットを探す。無い、挨拶状が無いのだ。書いてきたはずの新入生代表挨拶状が無いことに気付いた彼女は、一呼吸置いてから冷静にそらで挨拶のスピーチをし始めたのだ。それを観た新入生一同が彼女に釘付けとなる。見事最後まで完璧なぐらいにスピーチをこなした美津未であった。

下壇してホッとした瞬間、彼女は満員電車に揺られた事と寝不足で吐き気をもようした。美津未の担任である女性がその進路に立っていたため、見事に彼女のリバースしたものを全身で受け止めてしまった。初日にして美津未はみんなの記憶に残る人物となった。”吐いた人”という事で。入学式が終わり、生徒全員がクラスへ戻った。すると、美津未と同じクラスに今朝一緒に登校した志摩君がいた。偶然にも彼と同じクラスになったらしい。出会ったときは気持ちの余裕がなかったので気が付かなかったが、よく見るとかなりのイケメンでおまけにやさしい都会的な男子と言うことに彼女は気が付く。良い事もあるものだ。

家に帰り、叔母のナオちゃんと食事をしながら今日1日が無難に終わったことを報告する美津未。内心では「今日の失敗はノーカウント、初日という事で」と前向きに考え、立ち直りの早い美津未であった。早めに布団に入り明日に備えようとする彼女だったが、明日のクラスでの自己紹介のことを考え始めたら原稿にまとめたくなり机に向かい、ああでもないこうでもないと。翌朝、ナオちゃんと挨拶を交わした美津未の目は充血し、怖い顔立ちとなっていた。完璧な人生設計を描く、彼女の前途多難な高校生活は順調に?スタートした。(第1話)

スキップとローファー3

この作品は、講談社が発行する月刊青年雑誌「月刊アフタヌーン」に2018年10月号より連載されている、漫画家・”高松 美咲”さん同タイトル漫画が原作です。2023年5月に第47回講談社漫画賞も受賞している作品です。アニメ化され、2023年4~6月に全12話が”BS朝日”他で全国放送されました。”Amazon Prime Video”をはじめ、”ABEMA”、”Netflix”、”dアニメストア”、”U-NEXT”、”ニコニコチャンネル”、”バンダイチャンネル”他でインタ-ネット配信もされています。

監督・シリーズ構成はアニメ監督・演出家の”出合 古都美”さん。「夏目友人帳」シリーズの5期・6期の監督も担当された方です。また、アニメ作品の本編の前と後には必ずオープニングテーマ(OP)やエンディングテーマ(ED)が流れるのがお約束事ですが、アニメ作品のイメージや世界感が表現されていて、いわば作品の案内看板に値する大事なショートムービーですが、そうしたOPやEDを数多く手がけている、絵コンテ・演出に長けた監督さんです。

当作品のOPにも携わっていますが、ネットでは主人公の男女二人のダンスシーンを観ていると何故か泣けてくるという方が多くいらっしゃいます。この作品の世界観が凝縮されているからかもしれませんね。

出合さんが絵コンテ・演出を主に担当された作品を紹介しますと「神のみぞ知るセカイ」のデジタルチックな演出からの現実世界との融合、「からかい上手の高木さん」の片田舎で繰り広げられる平和な学生の日常風景、「ローリング☆ガールズ」のカッコカワイイ女子ロックグループの日常など。実際に観ていただければワクワクと楽しいが共存する世界を多く作ってらっしゃる方なのがわかります。ぜひ、こちらものぞいてくださいね。

キャラクターデザインは”梅下 麻奈未”さん。アニメーション制作は人間味のあるあたたかい作品が多い”P.A.WORKS”です。

スキップとローファー14

作品の見どころは、官僚になることを目指して田舎から東京の高校へ入学を果たした主人公・岩倉 美津未が、どのくらいストイックに夢に向かって突き進んでいくことが出来るのか?そして片田舎で同級生が8人という環境で育った彼女が、都会の大勢の生徒の中で上手くコミュニケーションをはかっていくことができるのか?成績はトップクラスでもそれ以外は天然で周りと比べてズレているところが多い彼女。それでも真面目で裏表のない性格で弱い立場の人にも優しくできる気のいい性格の彼女。転んでも立ち上がりは早いと自負する彼女の真っ直ぐさが上手くいかせる場面があるのかにも注目です。

彼女を取り巻く様々な人間関係も興味深いところです。地元の両親と弟と妹、そして親友とその他の友人との関係。東京で同居する叔母との関係。東京の高校のクラスメート、出会った先輩たちとの関係。そこにはいろいろな距離感と関係性が存在します。周りとズレてはいるものの人を前向きにさせる人あたりの良い性格が手伝って、自然と彼女の周りには人が集まってきます。やがて彼女に感化される人間も出てきます。なにゆえに彼女に共感を覚えるのか?見た目ではない、人としての魅力が彼女にあるという事でしょう。そんな彼女の立ち振る舞いにも注目して観ていただければ作品をより楽しめます。

また、同じクラスの身近な男子である志摩 聡介との距離感にも注目です。都会の高校で美津未に出来た初めての男友達ですが、同学年女子にとどまらず先輩女子からも告られる、優しくて笑顔が素敵なイケメン男子なのです。彼もまた美津未に刺激を受ける一人であり、一人の人間・友人として彼女に接しています。美津未もまた然りで、誰にでも優しく接する彼を素晴らしい人と思っています。時に二人の関係が異性を意識しないこともないわけではなく、美津未にとっては志摩君への感情が恋かどうかすらわかってはいないのですが、一人の人間として好感を持っていて友達付き合いをしているといった具合なのです。

そして、この作品には美津未を取り巻く多くの高校生が登場しますが、人それぞれに大なり小なりの悩みを抱えて生きています。美津未と関わることで良い影響を受け、前向きに自分を出して行ける人間に変化して行きます。純真無垢で自然体な彼女のように本来の自然体な生き方に変わっていく、といった感じでしょうか。そうした周りの個性的な面々の群像劇も同時に見どころとなっています。

もう一人の主人公・志摩くんもどことなく優しさの中に影を持つキャラなのですが、美津未と接する事で彼の中の世界の見え方や価値観が少しずつ変わっていく様子も見ていただきたいところです。自分らしさを隠して生きるよりはさらけ出して生きることが望ましいと思う方もいると思います。何が自分らしいのか、どうすれば自分らしく生きて行けるのか?そうしたテーマも自然と考えさせてくれる作品でもあります。

スキップとローファー5

この作品を演じている声優さんですが、主人公・美津未役は”黒沢 ともよ”さんが演じています。「響け!ユーフォニアム」の主人公・黄前 久美子、「さよなら私のクラマー」の周防すみれ役も演じた方ですが、現在は女優・声優・歌手としても幅広い領域で活動されていて、4歳からTVやCM・舞台に出ている筋金入りの演技派声優さんです。黄前久美子役を演じていた時は独特の喋り方で他の声優さんよりも印象に残る声優さんだと思ったことがありましたが、経歴を観て思わず納得した次第です。

もう一人の主人公・志摩 聡介役を演じた方は”江越 彬紀(えごし あきのり)”さんです。彼はこの作品が声優2作目のフレッシュな方ですが、それを感じさせない安定感のある演技に思えました。とにかく、爽やかで優し気な雰囲気が志摩くんにピッタリですごく良かったですね。今後の他作品への登板にも期待しております。

スタッフロールを観ると美津未の母役を”能登 麻美子”さんが方言を交えて演じていました。「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の主人公・スレッタの母役を演じていましたが、今回は全くわかりませんでした。さすがはプロですね、感心しました! 

そういえばこの作品に面白いところがありました。大抵のアニメですが、各話に大方、タイトルがついていますがこの作品は全12話に”物事の状態を表す擬態語(オノマトペ)”が使われています。例えば第3話だと「フワフワ バチバチ」、第5話では「チクチク いそいそ」、第9話なら「トロトロ ルンルン」といったタイトルなのです。登場人物の微妙な感情・状態をタイトルでも表現されているんだと思いますが、面白さと繊細さを感じました。みなさんもこの作品をご覧になる機会がありましたら12話のタイトルを観てから視聴されることをお勧めいたします。

最後は作品のオープニングテーマとエンディングテーマの紹介でおしまいです。

OPは、まぶしすぎるぐらいのキラキラした青春の1ページを駆け抜けるような、疾走感のある軽快なリズムの1曲です。”メロウ”とは”穏やかな”という意味がありますが、作品のテイストが具現化された須田さんの曲に心を奪われて、OPだけで何度でも観聴きしてしまいます。志摩くんと美津未の一生懸命にかつ楽しそうに踊るダンスシーンが登場しますが、青春いっぱいの二人を存分に感じさせてくれる映像としてもとても素晴らしいいOPだと思います。

EDは、登場人物たちの楽しげな日常を振り返るような、優しくて暖かくてほんわかした気持ちになれる曲です。歌い手の逢田さんいわく、「この楽曲を聴いて、明日も頑張ってみようかなという気持ちになって頂けたらと」という思いで歌われているそうです。こちらの優しい世界も映像と合わせてご覧くださいませ。

オープニングテーマ「メロウ/須田 景凪」
エンディングテーマ「ハナウタとまわり道/逢田 利香子」
  
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一人だったら出来なかった事も二人でならきっと出来るはず。共通項の化学変化が別世界へ二人をいざなう。「君は放課後インソムニア」

「眠ろうとしてもどうしても眠れない」という不眠体験は、みなさんも何かしら経験があることかと思います。心配事がある時や楽しいイベントの前日など、あるいは日常と違う旅行先などへ出かけた夜は枕が違って眠れなくなる、なんてことがあったり。一過性の不眠症状であればまたすぐに眠れるようになりますけど。

厚生労働省の不眠症についての記事によると、一般成人の30~40%の方が何らかの不眠症状を持っていて、どちらかと言うと女性に多い症状だそうです。不眠症状には、寝つきの悪い「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めて二度寝ができない「早朝覚醒」などのタイプがあるそうです。不眠症状のある方のうち、慢性不眠症は成人の約10%に見られ(ということは人口の約3~4%の方は不眠症?)、その原因はストレス・こころやからだの病気・薬の副作用など様々で、原因に応じた対処が必要とのこと。

加齢とともに不眠症状は増加し、60歳以上では約半数以上の方で何らかの不眠症状が認められようになるそうです。不眠が続くと日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・抑うつ・頭重・めまい・食欲不振などの様々な不調が出るようになり、このように「1. 夜間の不眠が続き」「2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」、この二つが認められたときには不眠症と診断されるそうです。

また、不眠症は慢性不眠症(慢性不眠障害)と短期不眠症(短期不眠障害)の二つに分けられます。不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合は慢性不眠症、3カ月未満の場合は短期不眠症と診断されます。不眠が続くと不眠恐怖が生じ、緊張や睡眠状態へのこだわりのために、なおさら不眠が悪化するという悪循環に陥る場合も。家庭での不眠対処で効果が出ないときは専門医に相談しましょう、との事です。

とはいえ、不眠症は特殊な病気ではないそうで、よくある普通の病気とのこと。国民病とも言われるこの病気で実際、日本では成人の5%が不眠のため睡眠薬を服用しているそうです。睡眠薬に対する過度の心配はいらないそうで、現在使われている睡眠薬は適切に使用すれば安全だそうです。

私はどちらかと言うと割とすぐに眠れる方ですが、加齢による眠りが浅くなる症状「中途覚醒」はあるかと思います。今まで眠りについてなんてあまり考えたことがなかったのですが、こうしたことを調べる事となったのは不眠症をとりあげたアニメを観たことがきっかけです。

そのアニメとは「君は放課後インソムニア」です。ジャンルは”青春”・”ラブストーリー”。インソムニアとは不眠症を指す言葉です。

君は放課後インソムニア1

不眠症の影響で日中は常に眠い高校1年生男子”中見 丸太(なかみ がんた)”。学校の文化祭の準備の最中に段ボールを探しに、今は誰も在籍していない天文部の部室へ足を踏み入れた。すると、なんとそこには死んだように寝ていた女子”曲 伊咲(まがり いさき)”がいた。今まで話したこともない同じクラスの女子との思いがけない出逢い。彼女も不眠症で睡眠不足を補うためにそこで仮眠をとっていた同類の先住人だった。

二人は意気投合してその場所をより快適な空間にしようといろんな私物を持ち寄り始める。しかし、その甲斐むなしく二人は養護教師の”倉敷 兎子(とうこ)”に天文部の無断使用をみつかってしまう。万事休すの状況で、丸太はやっと見つけた自分と伊咲の居場所を手放したくない一心で、天文部員になればここにいさせてもらえるか?を倉敷に尋ねる。しかし、この事実を知った以上、とにかく学校側へ事の経緯を報告しなければならないという考えを二人に伝えた。二人はその安住の場所を守り通すことが出来るのだろうか?

翌日、二人は校内放送で職員室に呼び出される。覚悟して二人は職員室に入る。しかし以外にも倉敷は不眠症の二人に理解を示し、学校側へ二人が天文部に入ることを副校長と学年主任に掛け合ってくれていたのだ。石川県にある九曜高校は文部科学省指定のスーパーサイエンスハイスクールのため素晴らしい天文台が学校に設置されていて、学校側もその運営にちょうど対処しなければいけないと考えていた時期であった。

渡りに船の二人の入部に副校長も学年主任も大手を挙げて歓迎してくれたのだ。そして全く知らない天文部の顧問に倉敷自身も協力をしてくれた形である。もちろん、二人は天文部へ入ることを承諾し、安住の地は守られた。手始めに小型の天体望遠鏡で天体観測記録をつけることを指導された二人は屋上で望遠鏡を組み立て星を観た。二人の目の前には無数の星がきらめく夜空が広がっていた。

天文部としての活動予算を学校側から出してもらうためには天文部としての実績を作らなければならない。丸太は父からもらった一眼レフカメラで星空の写真撮影を開始しようと考える。倉敷は、天文学部のOGで、かつて全国天体写真コンテストで大賞も取ったことのある”白丸 結”の居場所を二人に伝え、会ってみることを二人に勧める。ゲームセンターで働いていた白丸は一見怖そうな第一印象だったが、割に面倒見の良い先輩で、天体写真でのカメラの使い方を丸太にあれこれと教えてくれた。

不眠症がきっかけとなって伊咲と知り合ったり、天文部に入部したり、顧問や先輩との関りが出来たり、そして伊咲の友人との交流も増えたりと、丸太の日常は少しずつ意味のあるものに変化して行くのだった。「中見の眠れないことにも何らかの意味があるのかもしれない」倉敷の何気ない一言に答えを巡らそうとする丸太だった。

自分の居場所を守るために始めた天文部だったが、丸太は白丸先輩の天体写真の指導も手伝っていつしかその魅力にハマり始めていく。先輩の撮った天体写真のようなものを自分でも撮ってみたいと明確な目標が定まった丸太は、伊咲と一緒に天体写真の世界の扉を徐々に開き始めるのだった。

君は放課後インソムニア2

この作品は内に秘めた悩みを持つ高校生男女の青春と、二人の淡い恋愛も兼ね備えたありそうでなさそうな、なさそうでありそうな物語です。それぞれが一人で抱えていた問題が、ある時二人が出会ったことで淀んだものが動き始め、二人の新たな世界が星空のように広がっていく。目指す目標が出来た二人はそれに向かって邁進しながら爽やかでいて、それとなく二人の冒険の一幕もあったりと、誠実でまっすぐに前に向かっていく二人と、それを応援する友人・教師・先輩との交流もあり、心温まるお話がたくさん描かれた素敵な作品です。

そして、星空がとてもきれいに描かれた作画にも目が留まる作品でもあります。また、オープニングテーマ曲は「カブトムシ」の名曲で知られるあの”aiko”さんが歌っていて、ロマンティックな世界をさらに演出しているところも印象的です。舞台は石川県の能登半島ですが、景観も良さげなスポットがたくさんありそうで、聖地巡礼としても訪れたくなる要素も併せ持つ作品かと思います。

ストーリー・作画・音楽もどれも素晴らしいですが、キャラクターである二人の設定も良いですね。決めたことは突き詰める、途中で投げ出さない丸太と、人には心配をかけないように弱みは決して人に見せずに明るく振る舞う伊咲。二人がお互いに惹かれ合っていくのは自分にはないものをお互いが補ってくれる存在であることと、互いに尊敬できる信頼感があるからだろうと思います。そんな素敵な二人のやり取りにも注目です。

この作品は、小学館で発刊の青年漫画雑誌「週刊ビックコミックスピリッツ」で2019年5月より連載中の、作者”オジロマコト”さんによる同タイトル漫画が原作です。監督は”池田 ユウキ”さん、脚本・シリーズ構成は”池田 臨太郎”さん、キャラクターデザインは”福田 裕樹”さん。アニメーション制作は”ライデンフィルム”。

アニメ化され、2023年4月~7月で全13話がテレビ東京系列で放送されました。”dアニメストア”、”ABEMA”、”Amazon Prime Video”、”バンダイチャンネル”、”U-NEXT”、”FOD”他インターネットにて配信あり。

主人公の中見 丸太役は「弱キャラ友崎くん」/主人公・友崎 文也、「よふかしのうた」/主人公・夜守 コウを演じた”佐藤 元”さん。線が細そうな役どころが多い印象ですが、今回は信念をもって真っ直ぐに進むクールな優等生タイプを演じています。片やの曲 伊咲は”田村 好(このみ)”さんが明朗快活な女子高生を演じています。田村さんについては他作品でのデータが無いので割とフレッシュな声優さんかと思われますが、伊咲のキャラにとてもマッチした印象を受け、作品に集中できる安心感のある声優さんではないでしょうか。今後、様々な作品への露出が増えることに期待したいですね。

君は放課後インソムニア3

気持ちが落ち着かない時には普段はじっくりと見ない夜空の星を眺めて観る、なんてことも現代人にはたまには必要なことかもしれませんよね。

最後はこの作品の世界観を増幅させるオープニング・エンディング曲をぜひ、お聴きください!

オープニングテーマ「いつ逢えたら/aiko」
エンディングテーマ「ラプス/Homecomings」

また、主演/”森 七菜”さん、”奥平 大兼”さんによる実写版映画も2023年6月23日より劇場で公開されています。機会があればアニメと実写を見比べて観るのも良いかもですね。

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takapon46

Author:takapon46
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
マジンガーZにパイルダ~オン!ヤマトと999の主人公達と一緒に旅していたアニメ世代の私も今は40歳。嘘です。年齢だけは立派な50歳になりました、てへぺろ。40歳を過ぎた頃から再び、アニメの世界へ戻って来まして、今は専ら深夜帯アニメに夢中です。私なりに選りすぐりだと思うアニメを紹介しておりますので、良かったら覗いていって下さいね。

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