アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が28日会談しましたが、激しい口論となってしまいましあた。これで停戦合意は当面は頓挫しそうですし、アメリカのウクライナ支援は止まるかもしれません。
NHKニュースでは会談の全文を翻訳して公開しています。一部を引用します。
(略)
トランプ大統領:「あなたにはカードがない。あなたは簡単に負ける。ウクライナの人たちは死んでいく」
ゼレンスキー大統領:「やめてほしい」
トランプ大統領:「ウクライナは兵力が不足している。いいことかもしれない。あなたは『停戦はいらない、停戦はしたくない。まだやりたい。あんなものがほしい』と言う。もし今すぐ停戦できるなら、銃弾を止め、兵士が殺されるのを止められるよう、受け入れるべきだ」
ゼレンスキー大統領:「もちろん戦争を止めたいと思っている」
トランプ大統領:「だが、停戦はいやだと言うのか」
ゼレンスキー大統領:「保証込みの停戦が必要だと言っている」
トランプ大統領:「いかなる合意よりも停戦が早い」
ゼレンスキー大統領:「ウクライナの人たちに停戦についてどう思うか尋ねてみてはどうか」
トランプ大統領:「それは私の話ではない、バイデンという賢くない男の話だ。オバマの話だ」
ゼレンスキー大統領:「おたくの大統領の話だ」
トランプ大統領:「何だって。オバマはシーツをあげて、私はジャベリン(携行型対戦車ミサイル)をあげた。戦車を倒すためにジャベリンを送ったんだ。オバマはシーツを送った。もっと感謝すべきだ。あなたは手札がないんだから。われわれがいれば、カードを手にする。われわれがいなければ、カードはない。態度を変えなければならないとなると、大変そうだ」
記者:「もしロシアが停戦を破ったら、和平交渉を中断したらどうなるのか、どうするのか」
トランプ大統領:「どうするも何も、今あなたの頭に爆弾が落ちたらどうするのか。彼ら(ロシア)が破ったらどうなるのかなど、知ったことではない。バイデンと(の合意)なら破るだろう。バイデンへの敬意はなかった。オバマにも敬意はなかった。
私のことは尊敬している。プーチン氏は私と一緒に多くの苦難を経験した。うそっぱちの魔女狩りに遭って、彼とロシアは利用された。ロシア、ロシアと。聞いたことがあるか。詐欺師のハンター・バイデン、ジョー・バイデンのぺてんだった。ヒラリー・クリントン、ずるいアダム・シフ、民主党のぺてんだった。彼(プーチン氏)はそんな目に遭った。われわれは戦争に至らなかった。彼はそんな目に遭った。彼はそんなことで非難を受けた。彼は関係なかった。
ハンター・バイデンのトイレから出てきた。ハンター・バイデンの寝室から出てきた。不愉快だった。後になって『この最悪なノートパソコンはロシア製だった』などと言うんだ。51人のエージェントも出てきた。すべてがぺてんだった。彼はそれに耐えねばならかった。こうしたことで非難されていた。
私が言えるのは、彼はオバマやブッシュとの取り決めなら破っていたかもしれないということだ。バイデンとの合意でも破っていたかもしれない。破らなかったかもしれない。どうなったかはわからない。だが、私との間では破らなかった。彼は取り決めをしたがっている。できるかはわからない。問題は、私があなたを強くしたということだ。アメリカがいなければあなたは強くなれないと思う。ウクライナの人々はとても勇敢だ」
(略)
やり取りの全文を読に、悪いのは米大統領と副大統領だと思いました。一部には、深謀遠慮でゼレンスキーをはめたという説もありますが、このやり取りを読む限り信じられません。米大統領副大統領ともに勝手に興奮しています。
もちろん、ゼレンスキー大統領は無暗にトランプ氏を怒らせたという面もあります。その点で稚拙だっという批判はあり得るでしょう。
しかし、それでも米国の両大統領がおかしなことを言っていることにかわりはありません。
ロシアが停戦合意を破ったらどうするか、というごく常識的な質問にまともに答えていません。過去の米政権がどうであったかを訊きたいのではなく、今後ロシアが破った場合の対応を訊かれているのです。トランプ氏は、ただひたすらプーチン氏を信じるという、馬鹿げたほどいナイーブな答えしかできていません。
また、両人はさかんに、アメリカに感謝しろと言っています。しかし、いままで支援してきたのはバイデン政権です。
トランプ氏は、バイデン政権の支援もアメリカがやったものだからという理由で感謝を求める一方、バイデン政権がロシアの侵略を止められなかったのはアメリカの失政ではなくバイデン政権の失政にしています。つまり都合のいい使い分けをしています。
世の中にはおかしな指導者が少なからずいますが、米国のような先進国がこのような指導者を出してしいることに慄然とします。