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蔦屋重三郎と浮世絵 「歌麿美人」の謎を解く

蔦屋重三郎と浮世絵 「歌麿美人」の謎を解く/松嶋 雅人
2024年12月10日/208ページ
目次:歌麿のリアリズム―浮世絵美人画の旋風 なぜ「歌麿」だったのか 蔦重のリアリズム―はじまりは吉原 飛躍のカギは「狂歌ネットワーク」 出る杭は打たれても出る―蔦重と筆禍 写楽のリアリズム―蔦屋の誤算 貫かれた蔦屋イズム



 蔦屋重三郎の活動を追いながらその手法の特色を取り上げ、彼の考え方や革新性をまとめています。
 また、その背景として、当時の江戸庶民は新し物好きであったことのことで、彼はそれにこたえることで商売になると考えた、と筆者は推測しています。




 昔に限らず商売人は誇張して伝えられるものですが。
意外に思うかもしれませんが、商売人としては、かなり 堅実派 です。(76ページ)
 絵本などを次々に企画していったそうですが、その反面、一定の需要が見込める往来物(教科書)も継続的に手掛けていたといいます。
 新しいものに何度も挑戦するにはリスクがつきものとはいいますが、継続して挑戦し続けるためには、どんな商売でもそのための基盤が必要なのでしょう。




 禁令に触れて書物が絶版になることもあったようです。
風紀を乱す戯作を取り締まるための〝見せしめ〟だったと言われますが、実はそれほどの 重刑ではなかった ようにも思います。(133ページ)
 だからこそ、その翌年には歌麿の美人大首絵シリーズが大ヒットしているといいます。
 実は、幕府は業界のチェック機能を向上させようとあえて摘発したのだと、筆者は推測しています。
 確かに出版自体を取り締まることで、民衆の書物への興味が薄れてしまっては元も子もありません。




 東洲斎写楽についても誤解があるといいます。
いまだに「写楽は謎の人物」と言う人がいるようですが、(略)斎藤十郎兵衛に間違いありません。(150ページ)
 彼の活動期間は1年間に満たなかったといいますが、謎の人物とすることで興味を惹かれるのは否定できませんね。
 ただし、確定的な斎藤とする確定的な資料もないそうですが。






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