朝。



雪。

のち、快晴。



くま「細君、あれ」

氷の上に、

鴨。

わたし「寒くないのかな」

くま「寒そうですね」



朝食は、

バイキング。



サラダやフルーツを、

朝からたっぷり、

頂く。



卵料理は、

チーズオムレツを、

リクエスト。



完璧な、

ホテルメイドの朝食。

わたし「幸せだ…」

のんびり、

ゆったりの、朝ごはん。



ホテルアイランド＆リゾートは、

部屋の配置も、

他者の気配を、

感じにくい、造りになっている。



喧騒を逃れて、



たまに一息つきたい時、

希望を、

叶えてくれる場所。

くま「細君、行きますよ」

わたし「はーい」

チェックアウト後、

観光案内所にて。



可愛い。

ジャンプして、

つららが刺さるといい。



可愛い。

頭上だけじゃなく、

足元にも、

注意した方がいい。

アイランドホテル＆リゾート那須

前回は、夏まっさかり



くま「細君（わたしの事）の、好きなホテルですよ」

イエス！



全29室の、

小さなホテル。



シンプルで、

控えめで、空間が広い。

のんびりするのに、

一番必要なもの。



冬の夕暮れ。



くま「景色が、すごく綺麗です」

わたし「ほんとだー」

緩やかな起伏に、

雪が、

細かく光を反射して、

青い陰影が、

際立つ。



くま「今日は、キャンセルが多いみたいです」

わたし「雪、すごいもんね」

くま「この辺りで、これ位積もるのは珍しいですよ」

ほら、と

くまが指をさす。



雪の中の、椰子の木。

くま「あれなんか、すごくシュールです」

わたし「ほんとにね…」





大浴場。

アルカリ泉質の、

天然温泉。

pHは8.5と高め。

トレッキングでくたびれた体に、

じんわりと、沁みる。



外は、

黄昏時。

静かに、夜が来る。

塩原温泉ビジターセンター



週末の大雪。

東京からの、キャンセル多数。

ガイドさん「雪は極上、少人数、

最高です、もはやプライベートです！」

熱く語る。



本格的なスノーシュートレッキングは、

初めて。

“和かんじき”よりも、

ハードな予感に、

インドア派のわたし、

やや怯える。

蔵王でのんびり、和かんじき



バスでびゅーん。



ガイドさん「はい、登りますよ～」

森を抜け、

大沼を目指す。



ガイドさん「はい、降りますよ～」

何気にスパルタ。

わたし「踵から、踵から降りる…」

サクリ、

わたし「わああっ」

尻餅をつきつつ、

落下。

もとより、

運動神経は、

無い。



雪を払いのけ、

道を作り、

ひたすら進む。



息が上がり、

血液が巡る。

吸い込んだ空気は、

冷たくて、

透明。





雪に寄り添う、

淡い、影。



人の手に余る、

美しいもの。



ガイドさん「はい、ここでお昼でーす」

温かい麦茶と、

おいなりさんを、

もぐもぐ。

それから、

チョコレートを一粒。



くまは満足して、

ゴロゴロ。

わたし「冷えるよー」

くま「大丈夫です、楽チンですよ」

数分後。

くま「さぶいです…」



新湯富士。





風の通り道。

雪の表面はやや固く、

中は、

ふわりと柔らかいまま。

閉じ込められた、

青に、

見蕩れる。



わたし「写真撮るよ～」

くま、笑顔全開。

わたし「違う。かげ、影！」

くま「え、あ、こっち」

わたし「うわー」

踏まれる。



ヤドリギの実は、

レンジャク（連雀）の大好物。





木道に、

降り積もった雪。

先を行く人ほど、

体力の消耗が激しい。



ガイドさん「車道が！雪でまっさらです！

素晴らしい、行きますよ！」

笑顔で頷き、

他人に、

道を譲る。



お天気と、

雪と、

ガイドさんに恵まれて、

初めてのトレッキングは、

ごきげんに、

幕を閉じる。

大出館、と言えば、

墨の湯。



日本でただ一つ、

鉄分を多く含んだ、

赤茶色ではなく、

黒い、

お湯。



右が、墨の湯。

左が、鹿の湯。

基本は混浴。

女性専用の、

時間帯に、パチリ。



墨の湯。

透明度は、

五ｃｍ程。

小さな、黒い湯の花が、

こまかく浮かんでいる。



洗面器に、

汲みだしてみる。

水色はおそらく、透明。

黒い湯の花が、

お湯全体を黒く、

見せている様な。

“タオルが真っ黒に染まる”

と聞いていたが、

うーむ。



鹿の湯も、

この日は白濁というより、

錆色。

かなり熱い。



貸切風呂が開いていたので、

タイミングよく、

入る。



こちらは、

改装したばかり。



わたし「墨の湯、あんまり黒くなかったよ」

くま「僕もです」

わたし「お湯に浸かると、体は見えなくなるけど」

くま「えっ」

曰く、くまが入った時間帯は、

かなり、透明度が高かったらしい。

くま「震災後に、少し泉質が変わったとも、

聞くんですよね…」

お湯は、生き物。



ともあれ、

硫黄、ナトリウム、塩素を

多く含んだ炭酸泉は、

とても良いお湯。

何度でも、

くまは、

いそいそと、

浸かりにゆく。



朝ごはん。

お部屋で頂く。

くま「このまま、

スノーシューに行きますよ」

凍える寒さに、

ふたり、

重装備。

夕食は、

お部屋で頂く。



全てのお料理が、

お膳で、

一度に運ばれてくる。

くま「あ、こういう形なんですね」

わたし「殿様セットだね」

高足膳、

というらしい。

当然というか、

お品書きは、無い。



お刺身。



大根のひき肉餡かけ。



もずくと、じゅんさい。

とろろとイクラのせ。

かなりの量だが、

酢の物好きのくま、

もぐもぐと平らげる。



烏賊としめじ、水菜。

マヨネーズには、とんぶりとかにカマ？

不思議な組み合わせだが、

美味。



このお魚、

冷たかった…。



牛肉、舞茸、しいたけ、水菜。

量が程よく、

ポン酢でさらりと頂く。



デザートは、

パイナップル。

なぜかパセリ。



お吸い物、ご飯、香の物。

ご飯は、柔らかめ。

客層に、

合わせているのかもしれない。

全体的に、

可もなく不可もなくと言った所。

くま曰く、

くま「おばあちゃんの家に、

来たみたいです…」

言いえて妙。

レインボーブリッジが、

通行止めになった、

大雪の日。



塩原温泉郷　元湯温泉

大出館。

くま「ここ、ボロボロなんですよ」

わたし「古いって事？」

くま「それもあるんですけど」



くま「温泉の成分が強すぎて、

壁とかタイルとか、すぐ腐食するし」

わたし「ふーん」

くま「電気製品なんかは、

一年で駄目になるそうです」

わたし「えっ」

不経済すぎる。





電話機のレトロ感に、

衝撃。

何やら、

北温泉を、

彷彿とさせる。

テルマエ・ロマエな北温泉



お宿は、

元湯温泉の中でも、

高台にある為、

一段と、雪深い。





内湯。

お湯は、熱め。



鈍色のお湯は、

掛け流し。

硫黄に混じって、

微かに、

鉄のような匂い。



露天風呂。



“五色のお湯”を謳うだけあり、

天候によって、

湯色は様々に変わる、らしい。





この日のお湯は、

抹茶ミルク色。

ややぬるめで、

お湯が、

やわらかい。



気温は、

マイナス５℃。

生き物の気配は無く、

雪は、

しんしんと、

降り積もる。

朝ごはん。

席につくと、

速やかに配膳され、

目の前で蓋が、開けられる。

くま「うーん、合理的です」

わたし「キウイに穴があいてるよー」

くま「これ位（の距離感）が、良いですよね」

わたし「あ、芯を取ってるのか」

朝の、

会話は、

かみ合わない。



温かい湯豆腐。



チェックアウトは、

11時と、遅め。

休日の朝を、

のんびりと、

過ごす。



対岸に、

岩の湯と不動の湯、

公共の露天風呂がある。



くま「宿のお風呂からも見えたけど、

どんな感じか、行ってみましょう」

てくてく。



吊り橋の向こうに、

岩の湯。

ばっちり視線が合う。

色々と、

問題あり。

速やかに、

退散。

夕食は、

お部屋で頂く。



くま「松竹梅の、梅ですよ」

わたし「うんうん、十分だよー」

食前酒　なし酒

旬菜　

高原大根山芋寄せ　天イクラ　美味出し汁　南京豆腐　鉄火味噌

山芋のもったり感と、

南瓜のねっとり感。

見た目よりも、食べ応えがある。



桂むきした大根に、

桜の花びらの、あしらい。

わたし「わー、食べられるかな？」

くま「和食は、基本的に全部食べられますよ」

瑞々しい大根は、

さくさくとした、歯ざわり。

お料理で、

春を待つ。



造里　

旬魚盛り　芽物一式





鍋物

薬膳仕立　栃木和牛　伊達鶏　那須白美人葱　山榎茸　タモギ茸　梅麩

鍋で、

薬膳ベースは、

珍しい。



進肴

舞茸土瓶蒸し　海老　鱧　銀杏　三つ葉　酢橘



焼物

清流岩魚塩焼き　栗羊羹　はじかみ

わたし「これ、羊羹だ」

くま「や、違うでしょう」

くま、もぐもぐ。

くま「ほんとだ、栗羊羹です…」

異色のコラボに、

ふたり、やや困惑する。



蓋物

フォアグラ磯辺饅頭　洋がらし　べっ甲餡

くま「何か、すごいですね」

わたし「“ばくだん岩”みたい…」



中はこんな感じ。



留肴　

日光湯葉　フルーツトマト　丹波占地茸　オレンジジュレ

酸味が効いており、

くま、大満足。



香の物　季節の漬物

食事　国内産コシヒカリ　じゃこ有馬山椒煮

止椀　赤出し仕立　なら茸　青葱　庄内麩　粉山椒



水菓子

林檎黒蜜ワイン煮　生クリーム　フルーツ

趣向を凝らしたお料理に、

大満足。

塩原温泉郷　福渡温泉



湯ったりの宿　松楓楼　松屋。



ロビーの、

色彩センスは、

さておき。



渓谷に面した、

お部屋。

『春や秋は、景色がとても綺麗ですよ』

と、

お宿の人が教えてくださる。



まずはお風呂へ。



内風呂。





お湯は、

無色透明。



熱めのお湯。

くせが無く、

のんびりと、

浸かる。



露天風呂。



ここのお湯は、

上流の河川敷から、

自然湧出したもの。

加水せず、

空気で冷やしている。



一月の空気は、

しんとして、

厳か。