総選挙結果記事の続きです。続いては敗者と言われている政党を中心に見ていきます。前編はこちらより
Choose or Loose 令和の形を模索する衆院選 エピローグその1:負担軽減の声をつかんだ勝者たち
選挙区で見せた維持と若き政調会長の没落が示すもの~日本維新の会~
さて改選前勢力44議席から6議席、前回2021年の総選挙から3議席減少させた日本維新の会、比例を見ると2021年25議席から15議席と10議席実に4割減少し、万博と兵庫県知事の所謂パワハラ疑惑による逆風の強さを感じさせます。一方選挙区を見ると2021年16議席から23議席に7議席1.5倍近く増加させています。前回擁立を見送った大阪府内の公明党候補者のいる選挙区でも候補者を擁立し、大阪府の19選挙区を独占したのが目立ちますがその一方で前回は大阪以外では兵庫県で1議席だったのに対し、京都・滋賀・広島・福岡で議席を確保し、大阪・関西以外でも選挙区の議席を確保しています。これを見ると自民に負けない大きな逆風と国民民主党の追い上げの中で歯を食いしばって選挙区で頑張り国政第3党として踏みとどまったという感さえあります。
【速報】維新・役員会で馬場代表と藤田幹事長に辞任要求 衆院選敗北で「大惨敗の責任を取るべき」@FNNプライムオンライン2024/10/30より
日本維新の会の浅田参院会長は30日、国会議員団役員会の席で、「今回の大惨敗の責任を取って辞意を表すべきだ」と、馬場代表と藤田幹事長の引責辞任を求めた。
とは言え一昨年の参院選では第2党立件民主党を上回る比例票を獲得し、昨年の地方選では関西を中心に躍進したことを考えると馬場代表への風当たりは強く過半数割れした自民よりも激しく辞任要求が議員から出てきています。もともと維新は橋下徹・松井一郎と言う大阪府知事・市長経験者が中心にいて現在でも吉村大阪府知事の存在が大きいだけに今後原点回帰が起こるかもしれません。
東京1区で維新音喜多氏の敗北確実 ブロガー議員、暴行訴えも@共同通信2024/10/27より
東京1区で日本維新の会新人の音喜多駿政調会長が敗北確実となった。自民党派閥裏金事件を批判し、現役世代の手取り増を訴えたが及ばなかった。
1区には自民党前職の山田美樹元環境副大臣や、立憲民主党前職の海江田万里前衆院副議長ら計9人が乱立した。
音喜多氏は東京都議を経て、2019年参院選東京選挙区で初当選。23年に衆院へのくら替えを表明した。ブログで積極的に情報発信をする「ブロガー議員」としても知られる。選挙戦終盤の25日、演説後に取り囲まれ暴行されたと訴えた。
また今後の維新の展開を考えるうえで象徴的な存在は馬場代表以上に音喜多俊氏かもしれません。党3役でありながら選挙区で当選争いに入り込むことができず比例復活すらできない惨敗で演説後に取り囲まれ暴行されたと訴えても誰も同情しないという惨状を演じました。もともと小池都知事を生み出した都民ファーストの会の中心人物でその人脈から若くして政調会長になったものの、昨年の地方選では関東地方で伸び悩み、今年の都知事選では候補者を擁立するわけでもなくかと言ってブームを起こした石丸候補を取り込むことにも失敗しています。ある意味で追い風が吹いているときにきちんとした基盤を築けなかったのが今回の結果につながったといっても良いかもしれません。
Choose or Loose~ポストコロナ時代の統一地方選挙そのエピローグ2~維新は何故立民に勝てなかったのか、3月10日に決まった維新の敗北
高橋しょうごの言葉を思い出す選挙~都知事選2024に思う~
維新の会新人・外山斎氏「浅い考え」と非難 音喜多駿政調会長の参院出馬意欲報道 「安易な出戻りを許せば、組織は衰退する」@中日スポーツ2024/10/30より
衆院選で落選した日本維新の会新人で、元参院議員の外山斎氏(48)が30日、X(旧ツイッター)を更新。東京1区で議席を得られなかった維新の音喜多駿政調会長が、来夏の参院選に出馬意欲を示したとの一部報道を受け、「こんな浅い考えなのは残念」と強い言葉で批判した。
そして来年の参院選での出馬意欲を示した音喜多氏に対し、早速批判の声が上がっています。来年の参議院選挙東京選挙区で考えると総務会長である柳ヶ瀬参議院議員やかつて都知事選挙に立候補し、今回の衆院選の東京都内の選挙区の落選議員で維新における最多得票した小野泰輔氏などほかにも有力候補がいるだけに音喜多氏の今後は厳しいものがあると思われます。そして言い方はよくないですが音喜多氏の没落は維新の何度目かの東京進出の失敗も意味しているように思えてなりません。今後も国政において東京・関東地区で比例票・議席の確保のため候補者は出すかもしれませんが主軸を本拠地のある関西、そして今回選挙区で当選者を出し橋頭保を築いたともいえる中国・九州など西日本に主軸を移してくるのではと感じます。
潜在的な危機が一足早くやってきた~公明党~
続いては公明党、公明党は全体では与党への逆風の影響もあってか32議席から24議席と8議席減少、うち比例は23議席から20議席と3議席、選挙区は9議席から4議席と5議席減少しました。選挙区に関しては大阪での日本維新の会との共存関係が破綻したことで4議席減少したことが大きいです。
埼玉14区 国民 鈴木義弘氏が当選 公明 石井代表は落選@NHK2024/10/28より
埼玉14区で公明党の石井啓一代表が落選しました。
石井氏は66歳。 旧建設省の職員を経て1993年の衆議院選挙で初当選しました。
これまでに国土交通大臣や、党の政務調査会長、幹事長などを歴任し、先月、党の新しい代表に就任しました。
選挙戦では、自民党の政治とカネの問題を受けた徹底した政治改革や、物価高対策などを訴え、11回目の当選を目指しましたが小選挙区で敗れ、比例代表で重複立候補もしていないことから落選しました。
公明党の現職の代表が落選するのは、2009年の衆議院選挙で、当時の太田代表が落選して以来となります。
ただ最もショックだったのは石井代表が落選したことでしょうか?代表の落選は野党転落した2009年以来、普段は確実な票読みと連立与党自民党との協力関係により堅実に選挙区候補を当選させてきたことを考えると今回の選挙での与党への逆風は2009年以来の非常事態だったと言えるでしょう。また中長期的に見ると若い世代の支持率が低く、潜在的だった危機的状況が一足早く訪れたのかもしれません。
公明党 石井代表 代表を辞任する意向を表明@NHK2024/10/31より
公明党の石井代表は、衆議院選挙で党が議席を減らした責任をとりたいとして代表を辞任する意向を表明しました。
石井代表は31日の党の中央幹事会で「今回、非常に厳しい選挙結果となった。これはすべて代表である私の責任であり、代表の職を辞することを決めた」と述べました。
その上で「速やかに党の再建に向けた体制を構築してもらいたい」と述べました。
公明党は後任人事の調整を進め、11月9日に臨時党大会を開いて新たな代表を決めることにしています。
そんな中で当の石井代表は代表辞任の意向を表明しました。厳しい中どのように立て直すか注目したいところです。
躍進する新党の陰で存在意義に陰り~共産党・社民党~
共産党は前回に比べて選挙区は現状維持、比例区は9議席→7議席と2議席減少、社民党は選挙区1議席を維持しました。確かに共産党は議席を減らしているものの社民党は現状維持でいっけんそこまで敗北職は濃いようには感じませんが、共産党はれいわ新撰組、社民党は三政党・日本保守党の後塵を拝し、存在意義の陰りを感じさせる結果となりました。
連合会長「共産党と共闘しなくても勝てる」 衆院選、立憲躍進で@毎日新聞2024/10/28より
連合の芳野友子会長は28日の記者会見で、立憲民主党が共産党の候補者と競合する選挙区を抱えながら躍進した衆院選の結果について、「共産党と共闘しなくても勝てることが明らかになった」との認識を示した。
立憲民主党の強力な支持基盤である連合の芳野会長が「共産党と共闘しなくても勝てることが明らかになった」と述べて話題になっています。実際2010年代後半以降共産党は立憲民主党のとの選挙協力などで公明党と同様の支持者の高齢化の中で存在感を高めていったわけですが、今回選挙協力をしない中で立憲民主党は躍進した半面共産党は議席を減らしてれいわ新撰組の後塵を拝してしまったわけです。
共産党などに裁判を起こします@かみや貴行のブログ 1%でなく99%のための福岡市政を2024/10/30 私への不当な除籍・解雇を撤回させ、パワハラを償わせようと思います。
私の生活や尊厳がかかった切実なものですが、同時に共産党を立て直す一助になるはずだと信じています。
そんな中でかつて福岡市長選挙にも立候補したかみや貴行の除籍に対して訴訟が起こされるようです。党首公選制を訴えて除名されたジャーナリストの松竹伸幸もそうですが、排他的な印象を与えるのは厳しいように感じます。現状支持者の高齢化で新しい若い支持者をつかむ必要があると思いますが、今回の選挙で左派の代表政党が共産党かられいわ新撰組に移り変わっていく事で厳しさが加速していくように感じるのは私だけでしょうか?
自民党 改選議席は実に56減少、前回との比較では選挙区57,比例13と目を覆うような結果、いわゆる裏金問題と言うよりも物価高を中心とする経済状況に対する有権者の不満が爆発した大きな逆風の大きさを感じさせました。2009年の政権交代時以来の議席数、細川連立政権が実現した1993年の衆院選よりも議席数が少ない大敗でした。
自民、国民民主の幹部会談 過半数割れ国会運営で経済対策めぐり協議@朝日新聞2024/10/31より
衆院選での与党過半数割れを受け、自民党と野党第3党の国民民主党は31日午前、幹事長・国会対策委員長会談を開いた。自民は政府・与党として来月中旬の決定を目指す総合経済対策で国民民主の独自政策を盛り込む代わりに、補正予算案の賛成など国会運営で協力を得たい考えだ。
自民の森山裕幹事長と国民民主の榛葉賀津也幹事長らが会談し、総合経済対策や来年度の当初予算と税制改正の内容について、担当者らが協議する方針を確認した。11月9日以降に党首会談を行うことも合意した。公明党も同1日に国民民主と幹事長らが会談する予定だ。
しかし維新馬場代表への辞任要求や公明石井代表の辞任表明と言う状況に比べて、小泉選対委員長が辞表を提出しましたが、石破首相は減らした議席を補うべく国民民主党との協議を行っています。古い言葉ではありますが「想定内だ」とばかりの石破首相の動きは個人的にはある意味で不思議に感じます。
自民党派閥の栄枯盛衰 最大・安倍派が大幅減、党内統治は流動化@朝日新聞2024/10/31より
自民党派閥の裏金問題が焦点となった衆院選を経て、自民党内の「数の力学」が変化しそうだ。問題の中心で最大派閥だった安倍派が大きく議員を減らす一方、他派閥も大物議員が引退するなど縮小が続いた。一部を除き派閥は解散の流れだが、新たな秩序が生まれるかは見通せない。
実際いわゆる裏金問題以降の流れを見るといわゆる安倍派を中心とした大派閥の影響力をそぐ方向にあり、その流れの一環として今回の当選数における敗北があり、所謂安倍一強と呼ばれた時代からの政治体制の切り替えの為に今回の選挙は行われたとすら思えるほどです。
国民 首相指名選挙 決選投票含め玉木代表投票方針で了承@NHK2024/10/30より
特別国会で行われる総理大臣指名選挙をめぐり、国民民主党は30日朝の役員会で、決選投票になった場合も含め、玉木代表に投票する方針を了承しました。
立民は連携呼びかけへ 首相指名選挙に向けた野党の動きは@NHK2024/10/28より
衆議院選挙の結果を踏まえた対応について、日本維新の会の藤田幹事長は、自民・公明両党の連立政権への参加や、立憲民主党との連携に否定的な考えを示したうえで、政策ごとに各党と協議していきたいという考えを示しました。
一方で野党を見ると与野党逆転で政権交代のチャンスである中で野党第2党日本維新の会、第3党国民民主党は立憲民主党にも自民党にくみしない方向性を示し、野田首相実現は難しそうですし、また細川政権の様に国民民主党玉木代表や維新馬場代表を首相にすることで野党を結集させるような動きもありません。そう考えると現状予断を許さない状況ではあるものの、野党が団結しての政権交代の可能性は低く野党との協力関係を築きつつ石破首相が続きそうに思えます。むしろ議席を増やし、与野党逆転を実現したものの野党をまとめることができず、政権交代を実現できそうにない野田氏のほうがむしろ敗者にすら思えてくるのは私だけでしょうか?
だれが勝とうが難しい現状、切れず、正しいことに流されず慎重な政権運営ができるのか~まとめ~
日銀 政策金利据え置き決定 賃金動向など慎重に見極めと判断か@NHK2024/10/31より
日銀は、31日まで開いた金融政策決定会合で、いまの金融政策を維持することを決めました。政策金利を0.25%程度で据え置き、当面は賃金や物価の動向、それにアメリカ経済の先行きを慎重に見極めるべきと判断したとみられます。
しかしだれが勝っても負けても現在の状況は難しい、ロシア・ウクライナ、イスラエルの戦争は続き、アメリカ大統領は誰になるか予断を許さない、中国では若者の高失業率で社会が不安定化しています。当然日本も安泰と言うのは厳しい状況にあり、インフレにより国民生活は疲弊しています。日銀が政策金利据え置きを決めましたが、その背景にはこんな現状の難しさがあります。その難しい中正しいことに逃げず、慎重に状況を見極め慎重に最悪を避ける政権運営ができるか、特別国会で決まる新しい政権にはその実現を期待したいところです。