2023年05月

お金の話外伝その3 都会の独身女性と言うお客様~スープストック騒動に思う~

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余生を過ごす彼らには縁のない話211系@高崎駅

SoupStockTokyoのとある発表
(4月25日8時更新)Soup Stock Tokyoの離乳食・キッズセット@SoupStockTokyoより
離乳食・キッズセットに込めた想い
私たちには、創業当初から大切にしている「Soup for all!」という価値観があります。
スープは0歳から100歳まで、私たちの一番身近にある食べ物として、年齢も性別も国籍をも超えて愛されている存在です。~中略~
お客様のライフステージが変わり、ご家族やお子様と一緒にご来店いただく方も増えてきた中、Soup Stock Tokyoとしてお子様の成長を一緒に見届けることができればという思い、そしてお父さんやお母さんと一緒に食事の時間を楽しんでいただきたいという思いから、離乳食のご提供をはじめました。もう少し大きくなったお子様に向けては、キッズセットもご用意しております。



さてスープ、カレーを中心とした軽食を提供し独身女性に人気があるらしい飲食チェーンであるスープストックトーキョーが赤ちゃん連れのお客さんに対して離乳食の無償提供を行うことを先月発表しました。個人的には利用したことがなかったですし、ご飯を食べるのであればもう少しボリューム的にきちんとした所に行くのでどうでもよかったのですがただ「大盤振る舞いだな」と「それができるくらい子供が少ないんだな」と妙な感慨にふけったのを覚えています。実際同じものかどうかは分かりませんが通販の離乳食セットは1食あたり800円程度、マクドナルドのハッピーセットなどとは比べ物にならないレベルの大盤振る舞いとは感じます。

離乳食無償提供と言う施策に怒った独身女性たち

そしてこの発表で話題になったのは独身女性ユーザーらしき人たちからの少し気持ちの良くない反応「乞食根性丸出しの子持ち様」、「うるさい客」、「お子さん達の奇声と親さん達の天井知らずの要求」と子供を持つ主に母親たちへの嫌悪が前面に出たツイートが少なからず見受けられました。



またそんな反応に対する辛辣な意見も目立ちました。この意見のツイ主は婚活のコンサルタントさんみたいですが、多分上の様なきつい独身女性の顧客が多いのかなとも思います。

離乳食提供開始の反響を受けまして@SoupStockTokyoより
4月25日に開始した「離乳食後期の全店無料提供」の取り組みに対して、さまざまなお声をいただきました。~中略~
このたびの「離乳食後期の全店無料提供」は、この「Soup for all!」の取り組みのひとつであり、小さなお子様連れという理由で外食店での飲食をためらう方の助けになればと始めたものです。
一部店舗で実施してきた取り組みでしたが、多くのお客様からご好評をいただき全国の店舗にて開始することにいたしました
実際にお越しいただいた際には、狭い店内ではサービスが行き届かずご不便をおかけすることもあるかもしれませんが、心を込めてお迎えさせていただきます。どうぞ気兼ねなくご利用ください。


SoupStockTokyo側からしてみると実際クレームを出している独身女性に来るなと言うわけではなくもともと利用していた元独身の子持ちの女性が子供連れで来てほしいということであり、一部店舗で試行した上での実施であり、またクレームを出している女性たちに落ち着いてもらうべくプレスリリースを出しています。商売をやっている人からすれば当たり前の話ですが新規顧客を開拓するよりも既存顧客を維持するほうが圧倒的に簡単であり、あくまで「これまでの顧客である独身女性」の利用は維持しつつ開拓するのが比較的容易な「結婚・出産を経て足が遠のいた既婚・子持ち女性」の回帰を促すと言う顧客開拓策と言えます。

独身女性に愛される事を目指した結果、もう半分の市場の開拓が困難なお店が出来上がってしまった
吉野家初の女性対象メニュー「コモサラセット」登場@マイナビウーマン2013/10/31より
牛丼のチェーン店を展開する吉野家は、11月1日(金)より、女性を対象に開発された「コモサラセット」を、全国の吉野家で新発売する
好調の吉野家、「女性向け牛丼」で追い上げなるか@President2017/1/14より
最近は吉野家もベジタブル牛丼(ベジ丼)など女性向けメニューを出すようになった。メニュー開発やマーケティングで差が開いたゼンショーと同じ戦略でなく、独自の方向性を志向していくと思われる。
黒い吉野家って?カフェみたいなおしゃれ店舗に潜入@Lets Enjoy Tokyo2020/3/3より
より
気になる店内に足を踏み入れると、通常の「吉野家」とはまるで異なる装い。・・・このナチュラルで落ち着いた雰囲気、完全にカフェじゃん!
お店で聞いてみたところ、同店のような“黒吉野家”は現在全国に100店舗ほど展開中。都内には10店舗あり、ここ恵比寿駅前店が第一号店なのだそう。
「食事空間の提供」をコンセプトに、女性一人や家族連れでも入りやすく、のんびりできるお店を目指しているという“黒吉野家”。確かにこのお店作りは、従来の店舗にない大きな魅力でしょう。~中略~
せっかくなので、今回は‟黒吉野家“限定メニューをいただくことに。
まずは、女性に好評というシーズン限定メニュー「チーズバジル丼」(並盛458円/税抜)。チーズを使ったアレンジ牛丼は根強い人気があるそうです。


さてそんなSoupStockTokyoの子供連れ女性引き込み策ですが商売と言う前提で考えると不思議に思うことはないでしょうか?「女性と同じくらいの人口がいる男性を引き込まないのはなぜか?」。とあるツイートのおかげで比較対象となってしまった吉野家と比較すると猶更それを感じます。実際ここ10年の吉野家を見ると黒吉野家と呼ばれる試験型店舗を作ったことはあるものの数百円するであろう離乳食無償提供のような大盤振る舞いは行わずあくまで新メニュー開発を中心とした正攻法の努力で大きなクレーム無く「もう半分の市場」と言える女性市場の開拓を行っています

【知らなくて大恥】「スープストックトーキョー」にオッサンが初めて行ったら…ムチャな要求で女性客の視線を集め爆死した@ロケットニュース24 2021/6/21より
すげーオシャレな店なんだぜ。客の女性率だってめっちゃ高いんだぜ。そんな店に、生まれて初めて行ってきた。オッサンである記者(39才)が、つい先日1人で行ってきたんだ。念願の初スープストックトーキョー!~中略~
それにしても、エゲつない女性率だ。というか、店の客で男性は自分だけではないか。女性専用車両に迷い込んだらこんな気持ちなのかな……と思いながら、空いていたカウンター席に着席。言うまでもなく、両隣もその隣も女性だ。
「すみませーん、この『オマール海老のビスク』にエビの身が入ってなくて……。結構食べちゃったところ申し訳ないんですが、身が入ってるものに交換してもらったりとか出来ます?」
その瞬間!
なぜか、両サイドから視線を感じるではないか。もっと言うと、遠くの席からも視線を感じた。店の女性がチラッとこちらを見ているのだ。まぁたしかに、カッコいい申し出でないのは認める。


しかしSoupStockTokyoを見ると難しいと言わざるを得ません。確かに独身女性のお眼鏡にかなうお店になる努力は素晴らしかったですが、その結果できた店舗は男性をおびき寄せない店舗であり、今回の騒動から見えてきたのはかつてのお得意様である既婚・子持ち女性を呼び戻すにも離乳食無償提供と言う大盤振る舞いと、ネットを中心とした既存顧客である独身女性の大きな反発です。言ってみれば独身女性に愛される事を目指した結果、もう半分の市場開拓が困難なお店が出来上がってしまったわけです。

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出生数、合計特殊出生率の推移@令和2年版厚生労働白書より

平成の時代「都会の独身女性向けのハイセンスな飲食店」と言うのは華やかな成長産業でした。男女雇用機会均等法以降「働く」女性が増え、未婚率の向上がその市場を拡大させていきました。特に団塊ジュニア女性が社会に出だした1990年代は急激に拡大し、21世紀以降も未婚率の上昇で成長を維持していました。

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表:2018年度女性給与所得(平成30年民間給与実態統計調査@国税庁 より作成)

しかしその内実は多くの女性の所得は男性だったら低所得と呼ばれる年収300万円以下、しかし実家住まいの女性が多かったことで親世代が健在のうちは低所得者層も高所得者層も変わらず「働く女性」としてこの華やかな消費に参加できていたのがトップランナーであるバブル世代、頭数の多い団塊ジュニアが高齢化し、所得の多寡を覆い隠していたベールがはがれはじめたのと続く世代が少子化により減少したことが平成の華やかな成長産業「都会の独身女性向け飲食店」の成長を止めてしまい、そしてその拡張性の乏しさを露呈したのがこのSoupStockTokyoの騒動なのではないでしょうか

飲食店における人手不足の原因とは?人手不足解消のための解決策を紹介@Square2023/1/30より
ウィズコロナ、アフターコロナが叫ばれ、経済活動が正常化に向かう中で、企業の人手不足が深刻さを増しています。帝国データバンクが2022年9月に行った調査によると、正社員が「人手不足である」と回答した企業は半数以上にのぼりました。さらに、非正社員の人手不足割合に関しては「飲食店」が全業種中で唯一の7割台となり、深刻な人手不足が課題となっていることがわかります。


そして現在飲食業では深刻な人手不足が起こっています。今後成長が止まり、面倒くさい(イメージのある)お客様を抱える「都会の独身女性向け飲食店」は投資家からも勤務者からも嫌われ全体としてはシュリンクしていかざるを得ません。「都会の独身女性向け飲食店」が最も華やかだった時代を知っている身からすれば残念なことですが。

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選挙の1月でした。

さて統一地方選挙を全力で満喫した4月のランキングです。
1.令和の大きな宿題その20 少子化の先にある女性が兵役から逃げられない時代~中国人口減少を枕に考える~
2.令和の大きな宿題その18~中高年独身女性の貧困問題を整理する~
3.Choose or Loose~ポストコロナ時代の統一地方選挙~その2 PTA外注化が問うもの
4.Choose or Loose課題多き参院選2022その1平成女子に見る少子化対策の曲がり角
5.Choose or Loose~ポストコロナ時代の統一地方選挙~その4 次の選挙を見据え躍進する人たち、ネットを見て衰退する人たち

1位は令和の大きな宿題その20 少子化の先にある女性が兵役から逃げられない時代~中国人口減少を枕に考える~、先月5位からの返り咲きで2月以来の1位です。

インドが人口世界一、中国抜くと国連-全世界の2割近くに@bloomberg2023/4/19

先月はブルームバーグがインドが中国の人口を抜いたことを報道しました。21世紀に入ってから成長国の代名詞として存在感を示してきた中国が曲がり角に差し掛かった事、そして中国も含め東アジアで起こって来た日本以上の少子化が台湾の女性徴兵によって「単なる子供が減って来た」と言う状況の次が見え始めてきたことを題材にしたこの記事が注目されたのはそんな曲がり角が意識されることが増えたからと考えられます。

2位には令和の大きな宿題その18~中高年独身女性の貧困問題を整理する~が2月以来のランクインとなりました。

収入にのしかかる家賃 中高年シングル女性が直面する住まいの問題@朝日新聞2023/4/22

さて昨年来中高年シングル女性の貧困の問題の報道が増えてきたように思います。とは言え高齢者福祉と子育て支援の狭間で行政がつぎ込めるリソースも限られてくるかなとも思っています。お金の話を書いているのはそんな側面もあります。貧困が自己責任と責めるわけではないですが、自分でやれることをやる事で固定費を減らし、貯金をしたり、給料が少し減ってもびくともしない体制を揃えておくのは男女関係なく必要になっていくのかなと思います。特に家とクルマをどうするかと言うのは今後重要になるのではと感じます。

お金の話その3~単身赴任のおっさんに学ぶクルマなしの地方・郊外生活~

3位にはChoose or Loose~ポストコロナ時代の統一地方選挙~その2 PTA外注化が問うものが入りました。統一地方選挙特集では一番見られた記事です。今回の選挙では無投票の選挙の増加が話題になりましたが、その背景にはPTAの外注化に代表される地域コミュニティの崩壊があるのではと言う問題提起をしてみました。昔はベッドタウンも含めて数少ない成り立っている地域コミュニティであったPTAに代表される教育・子育てコミュニティも共働きの増加や未婚化、商店街の衰退などで限界を迎えつつあります。その再生には配当も考えた上で独身者を巻き込んでいくのが良いのではと思いますが果たしてどうなっていくのか今後も注目したいところです。

4位にはChoose or Loose課題多き参院選2022その1平成女子に見る少子化対策の曲がり角が入りました。

フラット35の金利引き下げ方針 子育て層や若年夫婦、所得制限なし@朝日新聞2023/3/29

岸田首相の異次元の少子化対策が注目(?)されています。背景を考えると2019年以降出生率の大きな低下の要因である平成生まれの女性の出生率激減があるのではと考えています。保育園整備や各種補助と言った既存の少子化対策が通用しない平成女性向けの少子化対策が異次元の少子化対策だと思うのですが、何となく表に出る対策でなく陰で行われる目立たない判断が肝になってくるんじゃないかなと思いますがいかがでしょうか?

5位にはChoose or Loose~ポストコロナ時代の統一地方選挙~その4 次の選挙を見据え躍進する人たち、ネットを見て衰退する人たちが入りました。

Choose or Loose~ポストコロナ時代の統一地方選挙そのエピローグ2~維新は何故立民に勝てなかったのか、3月10日に決まった維新の敗北

ランクインした記事は県知事・県議会議員選挙が終わったタイミングでの中間決算の様な記事で維新の大量立候補を評価し、ネット議論に足を突っ込んで現場を冷ましていった共産党など左派野党の体たらくを責める記事として書いたのですが、その後維新は立憲民主党に負けたという記事も書いています。この2つは矛盾しているように見えますが基本的な見方は一緒で「維新は大量立候補で躍進したけど立民も伸びたからすぐに野党第一党交代はないだろうな」と言った感じです。だからこそ「この20%に入れなかった候補者たちは当選した議員たちと共に「次の選挙に向けて」維新の基盤を開拓していくのではないかと思います。」と言う書き方をしています。言って見れば次の選挙以降で関西以外でも立民と戦える基盤を築けるのかなと言う見方です。その上で良く考えると神奈川県知事選挙出てたら状況が大きく変わっただろうなと気付いて書いたのが昨日の記事です。
正直な所立民は今の様なワイドショーやタブロイド紙の様な事をやり続けていたら厳しいです。正直な所現与党が出さないような新しいテーマを掘り起こすという野党第一党としてふさわしい仕事を行うことを期待しています。

如何だったでしょうか?読者の皆さんと筆者にとって5月が良い1月になりますように。

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