余生を過ごす彼らには縁のない話211系@高崎駅
SoupStockTokyoのとある発表
(4月25日8時更新)Soup Stock Tokyoの離乳食・キッズセット@SoupStockTokyoより
離乳食・キッズセットに込めた想い
私たちには、創業当初から大切にしている「Soup for all!」という価値観があります。
スープは0歳から100歳まで、私たちの一番身近にある食べ物として、年齢も性別も国籍をも超えて愛されている存在です。~中略~
お客様のライフステージが変わり、ご家族やお子様と一緒にご来店いただく方も増えてきた中、Soup Stock Tokyoとしてお子様の成長を一緒に見届けることができればという思い、そしてお父さんやお母さんと一緒に食事の時間を楽しんでいただきたいという思いから、離乳食のご提供をはじめました。もう少し大きくなったお子様に向けては、キッズセットもご用意しております。
さてスープ、カレーを中心とした軽食を提供し独身女性に人気があるらしい飲食チェーンであるスープストックトーキョーが赤ちゃん連れのお客さんに対して離乳食の無償提供を行うことを先月発表しました。個人的には利用したことがなかったですし、ご飯を食べるのであればもう少しボリューム的にきちんとした所に行くのでどうでもよかったのですがただ「大盤振る舞いだな」と「それができるくらい子供が少ないんだな」と妙な感慨にふけったのを覚えています。実際同じものかどうかは分かりませんが通販の離乳食セットは1食あたり800円程度、マクドナルドのハッピーセットなどとは比べ物にならないレベルの大盤振る舞いとは感じます。
離乳食無償提供と言う施策に怒った独身女性たち
あーこれスープストック終わったな
— 野菜マシマシ油少なめ煮卵ちゃん (@aetherkimodeath) April 19, 2023
元々カウンターのみとか狭い店が多いのにそこに乞食根性丸出しの子持ち様がワラワラやってくるんでしょ?完全に今までの客逃げるじゃんね
つーかもう1枚目の画像からして汚くて嫌悪感 https://t.co/1XCe7MivgX
あーあこうしてうるさい客ばかりなのが目に見えてる
— 素裸仏🎀₍Ꙭ̂₎🎀 (@2ndslime) April 19, 2023
おひとり様を大事にしない店なんだなぁ
お子さん達の奇声と親さん達の天井知らずの要求で店員さんがノイローゼにならないか心配
— カグー (@kawaii_kaguuuuu) April 19, 2023
そしてこの発表で話題になったのは独身女性ユーザーらしき人たちからの少し気持ちの良くない反応「乞食根性丸出しの子持ち様」、「うるさい客」、「お子さん達の奇声と親さん達の天井知らずの要求」と子供を持つ主に母親たちへの嫌悪が前面に出たツイートが少なからず見受けられました。
スープストックトーキョーはこのツイに文句つけるような独身女性はもう顧客じゃないって遠まわしに言ってるんですよ。こういうのに気づけ無いからいつまでたってもあなた達は独身なんです。 https://t.co/8MQcYHU5md
— ひかりん@婚活阿修羅Ⅱ (@hikarin22) April 19, 2023
またそんな反応に対する辛辣な意見も目立ちました。この意見のツイ主は婚活のコンサルタントさんみたいですが、多分上の様なきつい独身女性の顧客が多いのかなとも思います。
離乳食提供開始の反響を受けまして@SoupStockTokyoより
4月25日に開始した「離乳食後期の全店無料提供」の取り組みに対して、さまざまなお声をいただきました。~中略~
このたびの「離乳食後期の全店無料提供」は、この「Soup for all!」の取り組みのひとつであり、小さなお子様連れという理由で外食店での飲食をためらう方の助けになればと始めたものです。
一部店舗で実施してきた取り組みでしたが、多くのお客様からご好評をいただき全国の店舗にて開始することにいたしました。
実際にお越しいただいた際には、狭い店内ではサービスが行き届かずご不便をおかけすることもあるかもしれませんが、心を込めてお迎えさせていただきます。どうぞ気兼ねなくご利用ください。
SoupStockTokyo側からしてみると実際クレームを出している独身女性に来るなと言うわけではなくもともと利用していた元独身の子持ちの女性が子供連れで来てほしいということであり、一部店舗で試行した上での実施であり、またクレームを出している女性たちに落ち着いてもらうべくプレスリリースを出しています。商売をやっている人からすれば当たり前の話ですが新規顧客を開拓するよりも既存顧客を維持するほうが圧倒的に簡単であり、あくまで「これまでの顧客である独身女性」の利用は維持しつつ開拓するのが比較的容易な「結婚・出産を経て足が遠のいた既婚・子持ち女性」の回帰を促すと言う顧客開拓策と言えます。
独身女性に愛される事を目指した結果、もう半分の市場の開拓が困難なお店が出来上がってしまった
吉野家初の女性対象メニュー「コモサラセット」登場@マイナビウーマン2013/10/31より
牛丼のチェーン店を展開する吉野家は、11月1日(金)より、女性を対象に開発された「コモサラセット」を、全国の吉野家で新発売する。
好調の吉野家、「女性向け牛丼」で追い上げなるか@President2017/1/14より
最近は吉野家もベジタブル牛丼(ベジ丼)など女性向けメニューを出すようになった。メニュー開発やマーケティングで差が開いたゼンショーと同じ戦略でなく、独自の方向性を志向していくと思われる。
黒い吉野家って?カフェみたいなおしゃれ店舗に潜入@Lets Enjoy Tokyo2020/3/3より
より
気になる店内に足を踏み入れると、通常の「吉野家」とはまるで異なる装い。・・・このナチュラルで落ち着いた雰囲気、完全にカフェじゃん!
お店で聞いてみたところ、同店のような“黒吉野家”は現在全国に100店舗ほど展開中。都内には10店舗あり、ここ恵比寿駅前店が第一号店なのだそう。
「食事空間の提供」をコンセプトに、女性一人や家族連れでも入りやすく、のんびりできるお店を目指しているという“黒吉野家”。確かにこのお店作りは、従来の店舗にない大きな魅力でしょう。~中略~
せっかくなので、今回は‟黒吉野家“限定メニューをいただくことに。
まずは、女性に好評というシーズン限定メニュー「チーズバジル丼」(並盛458円/税抜)。チーズを使ったアレンジ牛丼は根強い人気があるそうです。
さてそんなSoupStockTokyoの子供連れ女性引き込み策ですが商売と言う前提で考えると不思議に思うことはないでしょうか?「女性と同じくらいの人口がいる男性を引き込まないのはなぜか?」。とあるツイートのおかげで比較対象となってしまった吉野家と比較すると猶更それを感じます。実際ここ10年の吉野家を見ると黒吉野家と呼ばれる試験型店舗を作ったことはあるものの数百円するであろう離乳食無償提供のような大盤振る舞いは行わずあくまで新メニュー開発を中心とした正攻法の努力で大きなクレーム無く「もう半分の市場」と言える女性市場の開拓を行っています。
【知らなくて大恥】「スープストックトーキョー」にオッサンが初めて行ったら…ムチャな要求で女性客の視線を集め爆死した@ロケットニュース24 2021/6/21より
すげーオシャレな店なんだぜ。客の女性率だってめっちゃ高いんだぜ。そんな店に、生まれて初めて行ってきた。オッサンである記者(39才)が、つい先日1人で行ってきたんだ。念願の初スープストックトーキョー!~中略~
それにしても、エゲつない女性率だ。というか、店の客で男性は自分だけではないか。女性専用車両に迷い込んだらこんな気持ちなのかな……と思いながら、空いていたカウンター席に着席。言うまでもなく、両隣もその隣も女性だ。
「すみませーん、この『オマール海老のビスク』にエビの身が入ってなくて……。結構食べちゃったところ申し訳ないんですが、身が入ってるものに交換してもらったりとか出来ます?」
その瞬間!
なぜか、両サイドから視線を感じるではないか。もっと言うと、遠くの席からも視線を感じた。店の女性がチラッとこちらを見ているのだ。まぁたしかに、カッコいい申し出でないのは認める。
「お飲み物もいかがですか」と言われて、凛とした自立する女性としてアイスティーもうっかり注文してしまうんやけど、ワイはトータルで1300円やった。
— ゆな先生 (@JapanTank) April 24, 2023
帰り際、20代後半の高身長スーツイケメンが店に入ろうとしてきたんよ.
店内にいた女性みんなが一斉に男性の方を見たで。
めっちゃチラチラ見てた。
しかしSoupStockTokyoを見ると難しいと言わざるを得ません。確かに独身女性のお眼鏡にかなうお店になる努力は素晴らしかったですが、その結果できた店舗は男性をおびき寄せない店舗であり、今回の騒動から見えてきたのはかつてのお得意様である既婚・子持ち女性を呼び戻すにも離乳食無償提供と言う大盤振る舞いと、ネットを中心とした既存顧客である独身女性の大きな反発です。言ってみれば独身女性に愛される事を目指した結果、もう半分の市場開拓が困難なお店が出来上がってしまったわけです。
出生数、合計特殊出生率の推移@令和2年版厚生労働白書より
平成の時代「都会の独身女性向けのハイセンスな飲食店」と言うのは華やかな成長産業でした。男女雇用機会均等法以降「働く」女性が増え、未婚率の向上がその市場を拡大させていきました。特に団塊ジュニア女性が社会に出だした1990年代は急激に拡大し、21世紀以降も未婚率の上昇で成長を維持していました。
表:2018年度女性給与所得(平成30年民間給与実態統計調査@国税庁 より作成)
しかしその内実は多くの女性の所得は男性だったら低所得と呼ばれる年収300万円以下、しかし実家住まいの女性が多かったことで親世代が健在のうちは低所得者層も高所得者層も変わらず「働く女性」としてこの華やかな消費に参加できていたのがトップランナーであるバブル世代、頭数の多い団塊ジュニアが高齢化し、所得の多寡を覆い隠していたベールがはがれはじめたのと続く世代が少子化により減少したことが平成の華やかな成長産業「都会の独身女性向け飲食店」の成長を止めてしまい、そしてその拡張性の乏しさを露呈したのがこのSoupStockTokyoの騒動なのではないでしょうか?
飲食店における人手不足の原因とは?人手不足解消のための解決策を紹介@Square2023/1/30より
ウィズコロナ、アフターコロナが叫ばれ、経済活動が正常化に向かう中で、企業の人手不足が深刻さを増しています。帝国データバンクが2022年9月に行った調査によると、正社員が「人手不足である」と回答した企業は半数以上にのぼりました。さらに、非正社員の人手不足割合に関しては「飲食店」が全業種中で唯一の7割台となり、深刻な人手不足が課題となっていることがわかります。
そして現在飲食業では深刻な人手不足が起こっています。今後成長が止まり、面倒くさい(イメージのある)お客様を抱える「都会の独身女性向け飲食店」は投資家からも勤務者からも嫌われ全体としてはシュリンクしていかざるを得ません。「都会の独身女性向け飲食店」が最も華やかだった時代を知っている身からすれば残念なことですが。